TikTok難民が「小紅書」に大移動 最高裁の閉鎖支持受け、大きな利益を得る
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Monday, January 20, 2025
中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の売却または閉鎖を求める法律を巡る訴訟で最高裁判所が、合憲と判断したことで、中国のハイテク企業と検閲機関は今後、その恩恵を受けることになりそうだ。
トランプ新政権がTikTokの米国事業の今後について方針を決めようとしている中、「小さな赤い本」を意味する中国製SNS「小紅書」は、アップルのApp Storeで携帯電話やタブレット向けにダウンロードされたアプリのトップになっている。米国のユーザーは、このアプリを「RedNote(レッドノート)」と呼んでいる。
2013年に上海で設立された小紅書のウェブサイトによると、中国のネット通販大手アリババ・グループ、IT大手の騰訊(テンセント)、ベンチャーキャピタル「ZhenFund(真格基金)」が出資している。
「小紅書の本社は上海にあり、武漢に研究開発センター、北京にオフィスがある。2020年現在、従業員数は1000人を超えている」
しかし、中国ルーツのTikTokに関する国家安全保障上の懸念と同じものが、小紅書でも浮上している。小紅書の膨大なデータは中国に保管されていて、中国共産党の軍民融合政策により、民間のハイテク企業は政府の情報機関や安全保障機関と協力することが義務付けられている。
アリババ傘下のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によると、小紅書は昨年アリババとのプロジェクトを完了し、アリババの監視下にある500ペタバイトのデータを「データレイク(大量のデータ保管所)」に移した。
サウスチャイナ・モーニング・ポストは11月、「このデータレイクには、11年前の操業開始以来、小紅書が蓄積してきた生データと重要データがすべて含まれている。1ペタバイトのデータは約1万1000本の4K高画質映像を保存することができ、1本の平均サイズが90ギガバイト、長さが2時間だとすると、2年半以上ノンストップで見続ける必要がある」と伝えた。
アリババは賭けに出たようだ。アリババの株価は17日、最高裁がTikTokの分割または閉鎖を求める法律を支持する全会一致の判決を下した後、ニューヨーク証券取引所のザラ場の取引で2%以上急上昇した。
小紅書の急成長によって新たな仕事を獲得しているのは、中国のデジタル検閲官だ。
技術系出版の「ワイアード」によると、デジタルコンテンツ監視員の求人募集が先週から本格的に始まった。ワイアードは、「小紅書の外国人の友人のアカウントによる動画をモデレート(監視)する」求人情報が公開されていることを指摘、ある求人には「小紅書、短期緊急募集-TikTok難民のモデレート、短期(契約)可」と記されている。
求人広告の緊急性は、小紅書の使用を開始した西側ユーザーの急増を反映しているが、それはまた、米国の対応への中国からの反発を示すものかもしれない。
技術系出版社「サ・インフォメーション」によると、中国の規制当局は先週、小紅書に登場する英語コンテンツについて、同社に懸念を示したという。
小紅書はすでに検閲で成果を挙げているようだ。
リベラルな米ハイテク業界団体「チェンバーズ・オブ・プログレス」の創設者アダム・コバセビッチ氏は、アカウントを作成し、1989年の天安門広場での民主化デモ参加者の虐殺を想起させる画像と、「ウイグル人支持者」であることを示すキャプションを投稿した。この画像とキャプションは2日以内に削除された。米国など各国政府は、中国西部に多く住むイスラム教徒である少数民族ウイグル族に対する組織的な弾圧キャンペーンを中国が行っていると非難している。
「私は天安門とチベットの自由について2つの投稿をした。プロフィル(小紅書が削除した)を『ウイグル人々に正義を』に変更した。その結果、私のアカウントは凍結され、投稿は削除された」