世界の自動車市場、再編へ トランプ関税の衝撃広がる

2025年3月26日水曜日、カリフォルニア州ロングビーチのロングビーチ港にある北米で最も重要な車両輸入処理施設、トヨタ・ロジスティクス・サービス社で保管されるトヨタの新車。(AP Photo/Damian Dovarganes)
By Tom Howell Jr. – The Washington Times – Monday, May 26, 2025
トランプ米大統領が国外で製造された自動車、部品に高関税を課して数週間、メーカーが生産拠点を米国内に移したり、代替市場に目を向けたりするなど、世界市場に衝撃が広がっている。
アジア諸国は、輸出依存度の高い自動車産業への打撃軽減のため、政府補助金の導入を議論している。米国の消費者は、関税の影響前に買い急いでいるもようだ。
S&Pグローバル・モビリティの自動車アナリスト、ステファニー・ブリンリー氏は、「3月、4月の売り上げは予想を上回った」と強調した。
トランプ氏は、米通商拡大法232条を根拠に、国家安全保障のために関税を課すと表明、「産業基盤とサプライチェーン(供給網)を脅かす過剰な輸入」によって、国内の自動車産業が弱体化したと主張している。
関税引き上げを受け、ドイツのベンツは、米国への工場移転を推進し、2027年からアラバマ州タスカルーサで新車を生産すると発表。同国アウディは、5月末まで価格を維持しながら、「関税環境の変化による長期的な影響の評価を行う」とした。
日本のトヨタはウェストバージニア州でのハイブリッド車の生産を増強している。韓国の産業通商資源省は、欧州などへの自動車輸出の急増と、米国向け輸出の「関税などの影響」による減少を報告。また同国の現代自動車は、76億㌦(約1兆950億円)を投じてジョージア州に電気自動車(EV)工場を建設することを決定した。
トランプ氏は、米メーカーの生産拡大を望んでいる。24年、米国内で販売された乗用車、スポーツ用多目的車(SUV)、小型トラックは約1600万台だが、うち約半分が輸入車だった。だが、アナリストらは「メイド・イン・アメリカ」の急増はすぐには起こらないと指摘する。