敵対国の核脅威「前例のない」規模で増大 次期戦略軍司令官が警告

(2025年11月16日)

米空軍新型ステルス核巡航ミサイルの初公開非公式画像。(撮影:ライアン・ワタムラ)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, November 12, 2025

 米戦略軍の次期司令官は最近、中国などの敵対国からの核の脅威が「前例のない」規模で増大していると述べた。

 現在、戦略軍の副司令官を務めるリチャード・コレル海軍中将はまた、中国が急速に核兵器を増強しており、老朽化した米国の核戦力全体を全面的に近代化する必要があると議会に警告した。

 コレル氏は、上院軍事委員会への書面回答で次のように述べた。

 「中国が核戦力の拡大、近代化、多様化を積極的に進めているため、完全に近代化され、柔軟で、全領域に対応する戦略的抑止力の必要性が一段と高まっている」

 中国軍は、米国によるインド太平洋地域への介入を思いとどまらせ、抑止し、撃退するための先進的な核兵器搭載ミサイル・爆撃機・潜水艦の整備に注力し続けている。

 コレル氏は「中国は、これらの新たな能力によって、既存の米国と同盟国のミサイル防衛システムに対抗し、これによってとりわけ国家が存亡の危機に瀕した場合の核攻撃の判断に影響を与え得ると考えている」と述べた。

 また、中国は、極超音速ミサイルや空中発射弾道ミサイルなどの新兵器に加え、新たな軍事ドクトリンの採用などの改革によって、日本から南シナ海まで連なる「第一列島線」の内外で統合軍事能力の試験を開始しているという。

 コレル氏は、戦略軍が核・非核能力をすべての作戦領域で統合するよう、計画と作戦を見直していると説明した。

 「これは、米国が自国の利益や同盟国・パートナー国の利益を守ることを決してためらわないこと、抑止が失敗した場合に、大統領の目標を達成しうる戦闘準備の整った部隊を保有していることを中国に明確に示すことになる」と語った。

 米国は現在、老朽化した核戦力の近代化を進めており、センチネル地上配備ミサイル、コロンビア級ミサイル潜水艦、新型のB21爆撃機の整備を進めている。1960年代に初めて配備された核指揮統制システムも更新される。

 コレル氏は「今日、米国は国家の歴史の中で前例のない戦略環境の一つに直面している」と述べた。

 また同氏は、信頼できる核戦力は、本土防衛と地域・戦域抑止の双方を提供できるものでなければならず、運動エネルギー兵器と非運動エネルギー兵器を組み合わせて戦略的攻撃を行うことにより、敵に利益を与えない、あるいは代償を支払わせることができると語った。

 「われわれの戦力態勢には、通常兵器と核兵器の両方の能力について射程、柔軟性、生存性、戦略的曖昧性を高める多様なプラットフォームと兵器体系が含まれるべきだ」

 コレル氏は、核弾頭搭載の潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)や新型極超音速攻撃ミサイルが、抑止力の強化に必要だと述べた。

 「通常弾頭の極超音速攻撃兵器によって、核使用へとエスカレートすることなく、遠距離で、防御が固く、時間的制約の厳しい脅威に対処することが可能になる」

 「これらの兵器は、あらゆる段階の紛争で、任務立案者に幅広い通常兵器の選択肢を提供することで、核のトライアド(3本柱)の抑止効果を補完する」

 中国の急速な核戦力増強に加えて、ロシアと北朝鮮もまた、新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配備し、先進的な極超音速兵器を開発するなどして、核戦力を拡張、近代化しているとコレル氏は述べた。

 「さらに、ロシアと中国は、新型の戦略原潜と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機、米国のミサイル防衛システムを突破するための新兵器を開発、またはすでに配備している」

 「これらの国々は核能力を近代化、拡張し、新たな能力の開発を進めており、こうした高度な兵器の配備に伴って脅威を増大させている」

 中国の新型攻撃兵器には、宇宙空間を何万キロも飛行して地上目標を攻撃できる核ミサイルが含まれる。

 ロシアの新型兵器には、原子力推進巡航ミサイルや、メガトン級核弾頭を搭載した高速水中ドローンがある。

 コレル氏は、センチネル・ミサイル、コロンビア級潜水艦、B21で戦略抑止力を確保すると述べた。

 これほどの規模の核近代化は、過去約40年間実施されてこなかった。

 「その結果、関連するインフラ、製造能力、防衛産業基盤は著しく弱体化した」

 これら3つの核近代化プログラムはいずれも遅延しているが、現行の戦力で中国、ロシア、北朝鮮という3核保有国を抑止するには十分だとコレル氏は述べた。

 中国、ロシア、北朝鮮に対する抑止力を強化するためにはどのような調整が必要かという質問にコレル氏はこう答えた。

 「NC3を含む全面的な核近代化に引き続き取り組む必要がある。硬化・深層地下目標用兵器の配備、極超音速兵器の開発、通常・核兵器の統合、戦域核戦力の強化のための補完的能力を持つことが必要となる」

 NC3とは、核指揮・統制・通信を意味する。

 コレル氏はまた、核指揮システムに対するサイバー攻撃の危険性についても警告し、この2年間で安全性が高まったと述べた。

 コレル氏は、空軍の新型核巡航ミサイル「長距離スタンドオフ(LRSO)」が、米国の近代化の重要なシステムの一つであると述べた。

米インド太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督が、2024年8月27日火曜日、フィリピンのマニラで米インド太平洋軍主催の国際軍事会議で演説を行った。(AP通信/アーロン・ファビラ撮影)

米陸軍、西太平洋テニアン島に新型極超音速ミサイルを配備

(2026年07月29日)
写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

「中国の『超限戦』への備え不十分」専門家が警告

(2026年07月27日)
2025年11月1日土曜日、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平国家主席(左)が韓国の李在明大統領と握手を交わした。(聯合ニュース/AP通信)

下院国防法案、中国の韓国への影響力巡り調査義務付け

(2026年07月25日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2025年4月3日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で開催されたNATO外相会議に出席するため到着した際、報道陣の取材に応じた。(AP通信/バージニア・メイヨー撮影)

リトアニア外相、ロシアの破壊工作は「侵略行為」 米軍駐留継続に期待

(2026年07月21日)
新華社通信が公開したこの写真は、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルの発射実験の様子を捉えたものだ。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

中露、スターリンク攻撃計画を極秘協議 軍事協力の実態判明

(2026年07月19日)
フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

中国は依然国際法に違反 南シナ海仲裁判断10年で米軍

(2026年07月18日)
新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

(2026年07月13日)
2024年8月4日、ウクライナ国内の非公開の場所に設置されたパトリオット防空ミサイルシステムの上空を、ウクライナ空軍のF-16戦闘機が飛行している。(AP通信/エフレム・ルカツキー撮影、資料写真)

トランプ氏、ウクライナが「パトリオット」製造 専門家は生産開始に数年

(2026年07月12日)
→その他のニュース