米軍、韓国への原潜供与は対中戦略の一環 韓国政府は反発

(2025年11月20日)

韓国国防省が提供した写真で、2023年7月24日(月)、韓国・済州島の海軍基地に到着した米原子力潜水艦「アナポリス」号を前に、韓国海軍の兵士たちが手を振っている。韓国軍は24日、原子力推進の米潜水艦が韓国に到着したと発表した。今月に入って朝鮮半島に展開する米海軍の主要戦力としては2度目の展開となり、北朝鮮の核脅威に対抗する同盟国の軍事力示威を強化するものだ。(韓国国防省提供/AP通信)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, November 17, 2025

 【ソウル(韓国)】 米軍幹部が、中国を抑止し、封じ込めるための米国主導の取り組みの中で、韓国を前方で重要な役割を担う存在として位置づけた。米軍幹部によるこのような発言は3日間で2度目。防衛戦略の転換であり、韓国にとっては重大な変化だ。

 韓国の軍事力は基本的に北朝鮮に向けられたものであり、李在明政権が主要な貿易相手国の中国との関係改善に熱意を示していることもあり、この主張が波紋を呼んでいる。

 そのタイミングが重要だ。このわずか2週間前、韓国を訪問したトランプ大統領が、米国の攻撃型原子力潜水艦の韓国による保有を承認したばかりだ。韓国は原潜の保有を20年以上前から求めており、李氏の要求を受け入れた格好だ。

 在韓米軍のザビエル・ブランソン司令官は18日、この地域での韓国の地政学的位置、特に中国に対する地政学的位置への新たな見解を表明した。

 ブランソン氏の論考は在韓米軍のウェブサイトに掲載され、その3日前には、ダリル・コードル米海軍作戦部長(大将)が同様の発言をしていた。

 コードル氏は、韓国の造船能力を視察した際に記者団に対し、韓国が米国から提供される予定の原潜が中国抑止の取り組みに加わることは「当然、考えている」と述べた。

 ブランソン氏は、アジア大陸の中で唯一、米軍が配備されている朝鮮半島の位置の重要性を強調し、地図上の「戦略的要衝」と表現した。

 「すでに朝鮮半島には兵力が配備されているが、これらは、遠方にあり支援が必要な兵力と見るより、危機や有事の際に米国が進入しなければならないバブルの内側にすでに配備されている兵力とみるべきだ」

 このバブルの外周は以前から第一列島線と言われてきた。中国本土の東海岸沖にあるフィリピン、台湾、日本をつないだ線であり、中国海軍が太平洋に出るにはこの線を突破または迂回する必要がある。

 韓国はこの線の内側に位置している。

 ブランソン氏は「距離についてよく見てみると、ハンフリーズ基地は潜在的脅威に近い。平壌から約250キロ、北京から約980キロ、ウラジオストクから約800キロだ。韓国は、ロシアからの北方の脅威に対処すると同時に、中国の間の海域で中国の活動に対して西側が対処できる位置にある」と指摘している。

 ハンフリーズ基地は2018年に本格的に活動を開始。韓国最大の米軍基地であり、世界的にも米国外で最大の米軍基地だ。ハンフリーズ基地は、ソウルの南約60キロ、韓国西部の黄海に近い。

 そのため、ハンフリーズ基地と二つの補助空軍基地、烏山と群山は、非武装地帯で隔てられた北朝鮮よりも、中国に対抗するためのもののように見える。

 ブランソン氏は「北京から見ると、烏山空軍基地などに駐留する米軍は、複雑な戦力投射を必要とする遠方の脅威に対してではなく、中国内またはその周辺のすぐ近くの脅威に効果を発揮するために配置されているように見える」と書いている。

 一方でブランソン氏は台湾には言及していない。台湾については中国が領有を主張し、それに対し米国は「戦略的曖昧性」の原則を取り、態度を明確にしてこなかった。だが、この地域の米国の同盟国、韓国、日本、フィリピンを束ねることによる効果については明確に指摘した。

 「これら3つの相互防衛条約のパートナーを、別々の二国間関係ではなく、三角形の頂点として見ると、集団としてどのようなことが可能かが見えてくる」

 コードル司令官は、韓国海軍が取得する予定の原子力潜水艦の役割に触れたが、数や引き渡しの時期については明らかにされていない。

 「そのような能力があれば、米国は協力関係に期待できるようになると思う。…米国がペーシングスレット(対処すべき主要な脅威)と考えるもの、つまり中国に対する共通の目標を達成するために同盟として協力できるはずだ」

 それは韓国の上層部にとって劇的な態勢の変化を意味する。韓国と中国は朝鮮戦争で戦ったが、両国は1992年に完全な外交関係を樹立した。

 それ以来、経済関係は急速に拡大している。2009年には中国が米国を抜いて韓国の最大の輸出先となったが、2024年には米国が逆転し、両国合わせたシェアは20%となっている。

 特に李政権は、韓国領が中国に対抗するために使われる可能性があるという指摘に反発している。

 10月には安圭伯国防相が国会国防委員会で、在韓米軍の役割に中国を抑止することが含まれているという主張に「同意できない」と述べた。

 将官や当局者らは、台湾の防衛やその他の地域内の有事に部隊は関与できないと述べてきた。北朝鮮が韓国を攻撃する機会を提供する可能性があるからだ。

 10月の李氏とトランプ氏の首脳会談後のフォローアップを詳述したホワイトハウスのウェブサイトに掲載されたファクトシートには、台湾に関する記述はわずか1行、両大統領は「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調した」だけだった。

 韓国の退役将官、全仁範氏はワシントン・タイムズに対し、台湾を想定した訓練や緊急時対応計画を行ったことも聞いたこともまったくなかったと語った。

 コードル氏は、韓国軍は朝鮮半島のことだけに捉われていてはいけないとの見方を示した。

 「大きな力には大きな責任が伴う。韓国にはこれらの潜水艦を世界中に展開させ、単なる地域海軍からグローバル海軍へと移行する責任があると思う」

写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

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