中国メディア、高市首相の台湾有事発言を受け日本へ核攻撃示唆

(2025年11月28日)

中国の習近平国家主席(右)が2025年10月31日、韓国・慶州での会談に先立ち、日本の高市早苗首相と握手を交わす。(共同通信AP通信経由、ファイル写真)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, November 24, 2025

 中国の反日プロパガンダは、台湾防衛に関する日本の公式発言を受けて異例の高レベルに達している。あるメディアは日本の「軍国主義」を終わらせるために核ミサイル攻撃を行うよう呼び掛けた。

 中国共産党の影響を受けているとみられるオンラインメディア「観察者網」は11月18日、高市早苗首相の下で日本は「軍国主義の復活へと突き進んでいる」と報じた。

 英語に翻訳された記事は、国連憲章の「旧敵国条項」や中国の「歴史的怨念」、つまり日本の第2次世界大戦中の行動を引き合いに出し、日本への軍事行動を正当化できると主張した。

 「日本に対して戦争を開始することに心理的な壁はなく、国際法上も正当化できる」

 また、核弾頭72発を搭載した3個ミサイル旅団で、日本の主要な軍事、産業、インフラ目標を破壊できると主張した。

 専門家らは現在の日本との関係を巡る中国のプロパガンダについて、過去数十年で最も激しく、この報道はその一環との見方を示している。発端は高市氏が国会で、台湾有事は集団的自衛権の行使を認める「(日本の)存立危機事態になり得る」と答弁したことだ。

 これを受けて中国の王毅共産党政治局員兼外相は23日、台湾有事への軍事介入を示唆した日本は「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」と述べた。

 「日本の現在の指導者が、台湾問題への軍事介入を試みるという誤ったシグナルを公然と発したことは衝撃的だ。言うべきでないことを言い、触れてはならないレッドラインを越えた」と王氏は述べた。

 また王氏は、日本が誤りを続けるなら、「正義を唱えるすべての国々、人々は、日本の歴史的犯罪を改めて見直す権利があり、日本の軍国主義復活を断固として阻止する責任がある」と述べた。

 台湾問題は、24日に行われたトランプ大統領と習近平国家主席の電話会談でも取り上げられた。

 国営メディアによれば、習氏はトランプ氏に対し、中国による台湾の統一は「戦後国際秩序の中で不可欠な部分だ」と述べた。

 国営メディアによると、電話会談での台湾の議論は「特定の国」、つまり日本が主権問題で中国を挑発したことに関係している。

 トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、この電話会談は韓国での会談のフォローアップだったと強調した。台湾には言及せず、4月に中国を訪問する計画や、来年後半に習氏が米国を訪問する予定を発表した。

 新華社通信は、トランプ氏が習氏を「偉大な指導者」と呼び、両国は韓国・釜山での合意をすべて実行していると述べたと伝えた。

 中国の日本への経済・軍事的威圧が強まる中、保守派の高市氏は発言を撤回しない意向だ。

 日本の小泉進次郎防衛相は23日、自衛隊が与那国島の基地に中距離地対空ミサイル部隊の配備を「着実に進めている」と述べた。与那国島は台湾東から約110キロの距離にある。

 中国外務省の毛寧報道局長は、このミサイル配備計画は意図的に「軍事的対立をあおる」行為だと述べた。

 毛氏は記者団に「日本の右翼勢力は…日本とこの地域を破滅へと導いている」とした上で、こういった行動は「極めて危険で、近隣諸国と国際社会は深刻な懸念を持つべきだ」と主張した。これは特に高市氏の答弁を踏まえた発言だ。

 小泉氏は、ミサイルはこの島を守るものだと述べた。

 「この部隊を配備することで、むしろわが国への武力攻撃の可能性は低下すると考えている」

 ロイター通信によると、台湾の?志中外交部次長は立法委員(国会議員)に、日本は主権国家として自国の安全を守るための措置を講じる権利があると指摘、与那国島が台湾に近いことを強調した。

 「日本が関連する軍事施設を強化することは、基本的に台湾海峡の安全維持に役立つ。日本が台湾への領土的野心も敵意も持っていない以上、当然ながら私たちの国益にも資する」

 一方、中国人民解放軍ロケット軍は「これが戦争が起こった場合のわれわれの回答だ!」というタイトルの動画をX(旧ツイッター)に投稿した。

 動画には、戦闘準備をする中国軍兵士、飛行する戦闘機、パレードのミサイル、発射されるミサイルが映っている。

 観察者網の報道によれば、ロケット軍は現在200キロトン級核弾頭を搭載した中距離ミサイル3個旅団を保有している。

 記事には、東京中心部で200キロトン級核弾頭が爆発した場合の破壊範囲図が掲載されており、爆発で50万人が死亡し100万人以上が負傷する可能性があると説明されている。

 報道は、核攻撃の目標を軍事、産業、インフラの3種類に分類している。これらの攻撃は、中国が核兵器の先制不使用政策を掲げているにもかかわらず正当化されると述べた。

標的としては、防衛省本省のほか、空港、海軍基地、東京北部の横田基地などが含まれる。

 他に6つの陸自基地も約20発の核弾頭で攻撃される。

 使用されるミサイルは特定されていないが、核・通常弾頭を搭載可能な準中距離弾道ミサイル (MRBM)「東風21(DF21)」の写真が掲載されている。

 続いて、産業目標への核攻撃で日本の戦争遂行能力を破壊するとし、対象にはトヨタ自動車、三菱重工、川崎重工、日産自動車、東芝、日本製鉄、日鉄が含まれる。ソニーやパナソニックの工場も核攻撃対象とされ、合計32発の核弾頭が使用されるとした。

 インフラ攻撃には計20発が割り当てられ、港湾、原発、石油精製所、ダムが含まれる。

「これら72発の核弾頭が投射されれば、日本の産業、軍事力は完全に破壊され、今後何十年もいかなる野心も持てなくなる」と記事は結論づけている。

 「生じる人道的大惨事や異常な人口減少については、日本国民はそれくらい苦しまなければ状況を理解できないというしかない」

 記事には、内容は投稿者であるジャン・ジョンリン氏の個人的見解であるとするただし書きがある。

 しかし、中国では国家検閲が厳格であり、中国共産党の許可なくオンラインやメディアで情報を発信することはできない。

 シンクタンク、国際戦略評価センターの中国問題専門家リック・フィッシャー氏は、トランプ政権は日本を標的にした中国の動きに対抗する政治戦、反プロパガンダ活動を開始すべきだと述べた。

 「中国の脅迫は狂気であり、米政府高官らが同盟国、パートナー国と協調して非難しなければならない」とフィッシャー氏は述べた。

 「観察者網の記事のように日本に対して露骨な核の脅しを行ったのだから、国連安全保障理事会が非難するなどの明確な制裁が科せられるべきだ。核攻撃の脅しを受けた都市から中国人を追放することもありうる」

 米政府は以前から、中国が短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を通じてSNSを武器化し、現在はXを使って米国の同盟国に対して仮想核戦争を仕掛けており、いずれ米国にも向けられる恐れがあるとして警戒している。

 太平洋地域の主要な米同盟国である日本に対する露骨な攻撃であり、中国共産党は現代の文明化された世界の一員としての資格はないとフィッシャー氏は述べた。

 「今こそ中国が文明世界の中で享受している特権を列挙し、可能なものは取り上げることで、中国共産党が文明の敵であることを中国国民に明確に示すべき時だ」

 中国政府やメディアが核攻撃計画を明らかにしたのは初めてではない。

 2013年には、共産党機関紙系、環球時報が、潜水艦発射核ミサイルで米都市を攻撃する計画を詳述した記事を掲載した。

 その報道では、中国の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2(JL2)」でシアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴなどの都市を攻撃することが想定されていた。

記事には、3日間にわたるシアトルへの20発の核ミサイル攻撃による爆風や放射線による被害が図示されていた。

 記事は「中国の1メガトン級の小型核弾頭技術を生かして、094型原潜に搭載した12発の巨浪2核ミサイルを撃ち込めば、500万~1200万人を殺害し、非常に明確な抑止効果となる」と指摘していた。

 1996年には、人民解放軍の熊光楷中将が、米国を核兵器で攻撃する用意があることを示唆した。

 熊氏は元米政府当局者に、米国は台湾よりもロサンゼルスの方が心配であり、台湾を守ることはないと語った。この発言は当時の現職の米当局者らに核の脅しとして報告された。

 シンクタンク、ゲートストーン研究所の中国問題専門家ゴードン・チャン氏によると、日本の防衛省が11月17日、米海兵隊岩国基地に日米軍事演習のために配備されていた中距離ミサイル「タイフォン」1基を撤収させたと発表した。

 中国は、このミサイル配備が地域の安全を脅かすとして反発していた。

 チャン氏は、米国が中国と日本の緊張が高まっている時にミサイルを撤去したことで、中国の宣伝機関が、米国が日本を見捨てたという物語を広める格好の材料になったと述べた。

 「(日本を見捨てたという)事実はない。だが、米戦争省(国防総省)は中国が、米国が中国からの圧力に屈したように見せかけることで得点を稼ごうとするであろうことを予見すべきだった」と述べた。

 「中国との戦争リスクが過去に例がないほど高まっている今、米国は日本から重要な兵器を撤去した。最悪のタイミングだ」

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