「宇宙は既に争奪戦状態」 米、迎撃システム「ゴールデンドーム」構築へ自信

(2025年12月10日)

2025年5月12日(月)、ワシントンD.C.のホワイトハウス、ルーズベルトルームでドナルド・トランプ大統領によるイベントに先立ち、提案されているミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカ」のポスターが展示されている。(AP Photo/Mark Schiefelbein)

By Guy Taylor – The Washington Times – Sunday, December 7, 2025

 【シミバレー(米カリフォルニア州)】トランプ大統領が提唱した次世代ミサイル防衛システム構想「ゴールデンドーム」の責任者は、ここ数カ月で300社以上の民間企業と「1対1」の会談を重ね、極秘の計画を推進してきたと述べた。2028年半ばまでに全米本土に配備される予定。

 米宇宙軍作戦副部長のマイケル・ゲトライン大将は、毎年開催されているレーガン国防フォーラムで講演し、ゴールデンドームの多層防衛システムの構造は依然として機密扱いだが、「産業界のパートナーはわれわれの取り組みについてかなり深く理解してくれている」と確信していると述べた。

 巨額の国家安全保障計画であるゴールデンドームはトランプ政権の看板政策だ。

 この計画に必要となる技術、特に宇宙配備の設備と従来型の地上配備型ミサイル迎撃システムの比重に関する臆測が数カ月前から飛び交っていた。8月には国防総省がかん口令を敷き、関係者が公の場で発言することが禁じられた。

 ゲトライン氏は6日、政治指導者や国防関係者が集う重要年次会議の一つであるこのフォーラムで、システムについてわずかだが発言。システムは、既存の地上配備型ミサイル防衛システムに加え、将来の宇宙配備システム(宇宙配備ミサイル迎撃システムを含む可能性あり)を統合したものになる可能性を示唆した。

 「ゴールデンドームは、国土に対する攻撃から国家を守るための多層防衛能力を構築する」

 宇宙配備システムに関する機密は依然厳重に守られている。ブルームバーグ通信によると、宇宙軍は先月、宇宙迎撃機の試作機の開発に向け、複数の企業グループと小規模契約を密かに交わした。国防総省は企業名を公表しておらず、契約額は詳細開示が必要となる金額の基準を下回っていた。

 ゲトライン氏は週末の発言で、米国の敵対国、特に中国とロシアの情報機関が注視している現状を踏まえ、機密保持の必要性を強調した。

 ゲトライン氏は、米防衛技術大手数社の幹部で埋め尽くされたロナルド・レーガン大統領図書館で「産業界と革新的かつ新たな方法で連携し…透明性を保ちながらゴールデンドーム構想を推進している」と語った。

 「このような業界のシンポジウムでは公表できないことでも、1対1の対話では公表する。

業界シンポジウムではできない。聴衆は皆さんだけではないからだ。その中には、われわれの活動を知られたくない人物もいる。それらの人物にわれわれの活動内容を知られたくない。事前に情報を与えたくない。しかし、競争で優位に立つわれわれのパートナー企業が全面的に協力していることは承知している。十分な情報を提供している」

ロシアの「入れ子人形」衛星

 ゲトライン氏は、ロシアと中国が宇宙を軍事化していると述べた。

 「宇宙はもはや聖域ではない。敵対勢力は何年も前から、宇宙を危険にさらしてきた。中国はミサイルで人工衛星を攻撃し、破壊する能力を持っている。宇宙にロボットを配置し、別の衛星を『拉致』し、別の場所へ移動させる能力も持っている。ロシアは宇宙にマトリョーシカ(入れ子人形)型衛星を展開しており、衛星の中に別の衛星があり、さらに破壊用の弾頭がその中に隠されている。つまり宇宙は既に争奪戦状態にある」

 ゲトライン氏はゴールデンドーム計画の主要な目的は、中国とロシアに対する「信頼できる抑止力」を確立することにあると述べた。

 議会は今年、この計画に245億ドルの資金を承認した。防衛産業筋によれば、今後数年間でシステム開発費は大幅に増加する見込みだ。

 国家安全保障関連機関では、中国やロシアだけでなく北朝鮮やイランからの核・弾道ミサイル脅威が高まる中、ミサイル防衛システムの構築は緊急課題との認識で共通している。

 一部の議員は予算を厳しく監視しており、支出の透明性について懸念を表明している。

 上院軍事委員会の民主党筆頭委員ジャック・リード上院議員(ロードアイランド州)は、ゴールデンドーム計画がトランプ政権にとって「裏金」のようなものとなり、任意に支出される恐れがあると警告している。

 しかし計画への支持は広範に及ぶ。フォーラムに先立って発表された年次レーガン国防調査によると、調査対象の68%がゴールデンドーム開発を支持すると回答した。

 上院軍事委員会のデブ・フィッシャー委員(共和党、ネブラスカ州)は、この計画の秘匿性について擁護した。

 「われわれの国で行うあらゆること、特にこの件に関しては、主要な敵対勢力が強い関心を抱いている。そのため、当面の間、こうした情報の多くを厳重に管理する必要がある」

段階的導入

 トロイ・メインク空軍長官もフィッシャー、ゲトライン両氏と共にパネリストとして参加した。ノースロップ・グラマンの最高経営責任者(CEO)、社長、取締役会長を務めるキャシー・ワーデン氏も同席した。

 ワーデン氏は、ゴールデンドーム構想を実現するために「活用できる能力はわが国に多く存在する」と指摘、「業界全体の取り組みが必要となる」と語った。

 「この産業基盤はあらゆる規模の企業からなり、そこに参画する企業はこのミッションを支援する準備を整え、人材だけでなく、システム構築に必要な能力への投資によって支えてくれている。この業界がこの国のためにこの能力を実戦配備する上で必要な能力を備えていると確信している」

 ゲトライン氏は「ゴールデンドームを実現する技術は存在する」と断言した。

 「技術的に問題はない。あらゆる要素技術は何らかの形で実証済みだ。真の課題は、これまで統合されたことのない能力をどう結びつけるか――ネットワークで接続したシステム・オブ・システムズ型アーキテクチャーを構築し、米国のイノベーション産業基盤全体をどう活用するかだ」

 ゲトライン氏はゴールデンドームが段階的に展開され、技術的に進化していく可能性を示唆した。「多層防衛能力を段階的に構築していく」と同氏は述べた。

 「大統領は2028年夏までに運用可能な能力を確立するよう要請しており、われわれはそのスケジュールに沿って進めている。最終的な能力ではないが、2028年夏までに高度な脅威から国家を保護・防衛する能力を確保する」

2025年11月1日土曜日、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平国家主席(左)が韓国の李在明大統領と握手を交わした。(聯合ニュース/AP通信)

下院国防法案、中国の韓国への影響力巡り調査義務付け

(2026年07月25日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2025年4月3日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で開催されたNATO外相会議に出席するため到着した際、報道陣の取材に応じた。(AP通信/バージニア・メイヨー撮影)

リトアニア外相、ロシアの破壊工作は「侵略行為」 米軍駐留継続に期待

(2026年07月21日)
新華社通信が公開したこの写真は、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルの発射実験の様子を捉えたものだ。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

中露、スターリンク攻撃計画を極秘協議 軍事協力の実態判明

(2026年07月19日)
フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

中国は依然国際法に違反 南シナ海仲裁判断10年で米軍

(2026年07月18日)
新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

(2026年07月13日)
2024年8月4日、ウクライナ国内の非公開の場所に設置されたパトリオット防空ミサイルシステムの上空を、ウクライナ空軍のF-16戦闘機が飛行している。(AP通信/エフレム・ルカツキー撮影、資料写真)

トランプ氏、ウクライナが「パトリオット」製造 専門家は生産開始に数年

(2026年07月12日)
2024年7月3日、カザフスタンのアスタナで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議の傍らで行われた会談で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と中国の習近平国家主席が握手を交わした。(セルゲイ・グネーエフ、スプートニク、クレムリン・プール写真、AP通信経由)

中国企業、ロシア占領下のウクライナに進出 経済的影響力を拡大

(2026年07月11日)
ウクライナの無人システム部隊K-2旅団の兵士が、2026年6月22日(月)、ウクライナのドネツク州前線で、ロシア軍陣地に向けて飛行する前に、中距離ドローンを離陸地点で運んでいる。(AP通信/エフゲニー・マロレトカ)

ウクライナ防衛産業、実戦経験生かし欧州との連携を深化

(2026年07月10日)
→その他のニュース