中国の核弾頭管理に脆弱性-米報告

(2026年3月17日)

2025年9月3日(水)、北京の天安門前で、第二次世界大戦における日本の降伏から80周年を記念して行われた軍事パレードに、液体燃料式大陸間戦略核ミサイル「DF-5C」が登場した。(AP通信/アンディ・ウォン)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, March 11, 2026

 中国人民解放軍ロケット軍は、核弾頭を山岳地帯の施設に保管、維持し、その規模は急速に拡大しているものの、これらの施設は米軍による攻撃や妨害に対して脆弱である可能性がある――。米軍系シンクタンクの報告書が明らかにした。

 この報告書は、中国の重要な戦略的機密に関する公開データを分析したもので、人民解放軍が戦略・戦術核弾頭をどのように保管、試験、警備、輸送しているかについて新たな詳細を示している。核弾頭は北京の南西約1200キロにある秦嶺山脈の施設に保管されている。

 米空軍の中国航空宇宙研究所は3月9日、報告書「刃の上の舞踏者―人民解放軍ロケット軍の核弾頭管理」を公表した。

 中国の核弾頭管理体制について米軍が行った準公式の評価であり、このような報告書が作成されることはあまりない。米政府当局者によれば、中国はこの11年間、核弾頭の備蓄を急速に拡大させてきた。

 弾頭保管の主要施設は陝西省宝鶏にある。ロケット軍第67基地に保管施設があり、洪川と呼ばれている。

 報告書によると、洪川から鉄道や車両、場合によっては航空機を用いて核弾頭を6つの別の基地へ輸送し、有事にはそこから全国のミサイル旅団に配分する。

 報告書は、核弾頭施設への先制攻撃を担当することになる米国防総省の戦争計画立案者にとって重要な情報を提示している。これは、中国が平時には弾頭をミサイルに装着しないという現行方針を前提にしたものだ。

 中国ロケット軍の弾頭管理体制の弱点の1つは、核兵器が一カ所の施設に集中して保管されている点だ。

 報告書は「施設は堅固に防護され、厳重に警備されているが、集中して設置されているため、極めて高いリスクを負っている」と指摘した。

 さらに施設周辺のインフラも限られており、出入りできる道路は狭い一本道しかない。「この道路を遮断すれば作戦は大きく遅れる可能性がある」という。

 集中的に管理されているため、弾頭を長距離にわたり道路や鉄道で頻繁に輸送する必要がある。このため「事故が起きたり、戦時の障害の影響を受ける可能性が高まる」と報告書は指摘する。

 また最近、中国北部に新たに建設された3つの大陸間弾道ミサイル(ICBM)基地を挙げ、今後これらの基地に弾頭を輸送する動きがあっても、阻止できる可能性は今後数年間で高まると強調した。

 核弾頭システムの弱点は、ロケット軍要員の健康問題の報告でも浮上している。保管施設の問題や手続きの不備、管理の緩さが原因だ。

 報告書は「ロケット軍はこの問題で大きな進展を遂げているように見えるが、完全に解決されたかどうかは不明だ」としている。

 一部施設では旧式のコンピューターシステムが使われており、サイバー攻撃を受ける可能性もある。米軍は、「レフト・オブ・ローンチ」と呼ばれる手法を研究しており、ミサイル発射前にサイバー攻撃などで制御システムを無力化することを狙っている。

 報告書は「核管理機器については、一部が外国製品に大きく依存しており、これが技術的に重大な弱点となる可能性がある。特に放射性物質の処理や障害物除去に必要な遠隔操作ロボットなど高度な機器がこれに該当する」と述べた。

 中国の核弾頭管理体制は、防護服、マスク、酸素ボンベ、放射線測定器などを米国、スウェーデン、ドイツ、フランス製の装備に依存している。ハネウェル、デュポン、3M製の機器も使用されているという。

 ロケット軍では人材問題も指摘されている。高度な教育と技能を持つ核弾頭管理要員の採用と維持は「継続的な課題」になっていると報告書は述べた。

 米国防総省によると、中国の核弾頭保有数は急増しており、約250発だった弾頭数は現在600発以上に増加した。今後数年で1500発に達する見通しだ。

 2016年から2021年にかけ、中国のミサイル旅団の数は約35%増加した。新設部隊の多くは核ミサイルまたは核・通常両用ミサイルを装備している。

 しかし核弾頭の急増にもかかわらず、支援する部隊はそれに見合ったペースで増えていない。

 報告書は「最小限抑止の時代に設計された小規模な体制が、増強された現在の作業量に耐えられるのか疑問だ。数年前の2倍の負担に達している場合もある。危機時に長期間高い要求が続けば、体制が強い圧力を受け、崩壊する可能性もある」と指摘した。

 ロケット軍は世界最大級のミサイル戦力を管理し、短距離、中距離、準中距離、長距離ミサイルのほか、巡航ミサイル、対艦ミサイル、新型極超音速ミサイルなどを装備している。

 報告書は、中国の資料を見る限り、秘密主義が徹底しており、人民解放軍の核兵器管理体制の分析は非常に難しいと指摘している。

 例えば人民解放軍は公開文書で「弾頭」という言葉をほとんど使わず、「特殊装備」や「国家の宝」といった婉曲表現を用いることが多い。中国語では複数の意味を持つ言葉だ。

 さらにこの2年間、中国当局が公開情報への締め付けを強めたことで、核兵器の分析は一層難しくなっているという。

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