キーウのドローン学校 戦い方模索するウクライナの若者たち

(2026年5月19日)

学生たちがFPVドローンの飛行準備をしている。ギヨーム・プタク/ワシントン・タイムズ

By Guillaume Ptak – Special to The Washington Times – Thursday, May 14, 2026

 【キーウ(ウクライナ)】金属的なうなり音を響かせながら、ドローンが離陸し、最初の障害物へ向かって飛び出した。機体は難なく通過する。

 次の試験は、そう簡単ではない。高さの異なる位置に金属製の輪が並べられている。操縦士は機体を安定させ、慎重に高度を上げる。しかし、一瞬ためらった。その結果、ドローンは輪に接触して床へ落下した。

 教官たちは怒鳴らない。ウクライナ第3軍団がキーウ州内のどこかで運営する訓練施設「キルハウスアカデミー」で繰り返される訓練を、静かに続けるだけだ。必要なのは「忍耐」「緻密」「反復」だ。

 機動力があり殺傷力の高いドローンが戦争を決定づけつつある中、「無人化」は命を守り、人的資源の不足を補う手段の1つだと、教官たちは受講生に語っている。

 ドローンの操縦だけでなく、故障時の修理方法も学ぶ。

■ドローン戦争の学校

 かつての工業施設を改装した訓練場では、受講生たちが一人称視点(FPV)ドローンをタイヤやパイプ、即席ゲートの間に通し、模擬目標へ向かわせている。目標には、ロシア軍戦車を模した模型や旧ソ連型バンも含まれる。

 上階の教室や作業場では、それとは違う緊張感が漂う。教官が講義を行う傍ら、受講生たちははんだ付けや不具合の修理を行い、次の飛行に備えている。

 アカデミーの講座一覧を見ると、内容が広範囲に及ぶことが分かる。FPVの基礎や高度な操縦だけでなく、ドローン工学、固定翼無人航空機(UAV)訓練、地上ロボットシステム、戦術医療、銃器訓練まで提供している。

 キルハウスにとって、ドローン学校は活動の一部に過ぎない。2024年初頭に始まったこのプログラムは、2025年初頭までにウクライナ国内4拠点に拡大した。現在はキーウ、リビウ、オデーサ、チェルカーシで講座を展開し、FPV基礎講座は民間人と軍関係者の双方に開放されている。

 形式は単純だが集中的で、昼間6回または夜間9回のセッションを通じ、講義、シミュレーター訓練、実機飛行が組み込まれている。

 こうした理論と実践の融合が、アカデミーの魅力であり、成功の要因でもある。

 ドローン製造に携わる29歳のオリアさんは、「実戦経験があり、本当に分かっている人たちから、体系的で包括的な知識を得たい」と語った。現代戦を形作るシステムへの理解を深めるため、受講したという。

 「講義と実習が結びついているので、知識を即座に試せるのが本当に役立つ」

 軍入隊のために受講しているわけではない。今の目的は、ドローン産業での仕事に生かすことだという。

 それでも、特に若いウクライナ人や初心者には、この訓練を強く勧めたいと話した。

■徴兵前の準備

 一方で、切実で現実的な理由で受講する者もいる。地質学を学ぶ24歳のフリホリーさんは、眼鏡をかけ、少年のような笑顔を見せながら、徴兵対象年齢に近づいているからと語った。

 熱狂的愛国者でも軍事マニアでもない。多くの若いウクライナ人と同様、現実をよく見ている。

 「徴兵は25歳からで、今24歳。だから少しずつ準備している。残念ながら、自分は歩兵としては役に立たないと思う。この講座のおかげで、少なくとも何らかの技能は身に付けられる」

 志願するつもりか、招集を待つのかと聞くと、少し間を置いて、こう語った。

 「たぶん待つと思う。自分から行くかどうかは分からない」

 こうしてこれからのことを考えられるところが、キルハウスのような場所が単なる訓練以上の意味を持つ理由であり、その講座が成功している背景でもある。そこには、ウクライナの戦争遂行を変えつつある2つの変化が交差している。すなわち、より厳格で強制力を伴う動員制度と、軍への参加をより選択的で専門的、魅力的に見せる取り組みだ。

■若者の動員に力

 ウクライナは2024年の動員制度改革で、兵役制度の法的枠組みを強化した。18~60歳の男性は軍登録情報の更新や登録書類の携帯を義務付けられ、より中央集権的な管理制度に従うこととなった。

 また、この法律は前線投入前の訓練を義務化し、平時徴兵制を基礎軍事訓練へ置き換えた。さらに徴兵年齢を27歳から25歳へ引き下げたが、政治的に微妙な問題である18~24歳の徴兵には踏み込まなかった。

 同時に国防省は、市場型の採用キャンペーンとも言える方向へ舵を切った。

 25年2月、国防省は「契約18-24」を開始した。18~24歳向けの志願型の制度で、歩兵なら1年契約、ドローン操縦士なら2年契約を提供する。100万フリブニャ(約360万円)支給、月額最大12万フリブニャの給与、国家負担の訓練、社会保障などが盛り込まれている。

 この制度は、死傷者や疲弊、慢性的な兵力不足に苦しむ軍へ若年層を呼び込もうとする試みと広く受け止められている。最近の推計によれば、ウクライナ軍の平均年齢は47歳であり、政府が正式徴兵を避けつつ若者勧誘に力を入れる理由を浮き彫りにしている。

 ただ、成果は今のところ限定的だ。

 ロイター通信は2025年4月、この制度開始から2カ月で参加者が500人未満だったと報じた。破格の金銭的優遇措置にもかかわらずである。同年12月には18~24歳が数百人規模で参加したものの、準備が十分でないまま前線投入され、深刻な損耗に直面した事例も報じられている。

■女性、ドローン、新たな人材供給ライン

 キルハウスは、若い世代の人材供給がどのように形成されつつあるかを示している。

 現在ここで技術者として働く若い女性兵士トラスタさんは、入隊から約3カ月だという。以前は人道支援プロジェクトのマネジャーだった。

 彼女は「ウクライナで最も効率的で、最高の旅団」だと考え、第3軍団を自ら選んだという。リビウからキーウへ移り、キルハウスでFPVと工学講座を修了。その後、訓練用ドローンの修理担当を任された。

 現在は、損傷したフレームやモーターからソフトウエア、飛行制御設定まで、訓練ドローンの故障対応に追われている。

 「前線の状況はこれらの技術に左右される。ドローン技術は本当に急速に進化している」

 彼女はAI支援照準や通信妨害耐性、ロシア軍電子戦との絶え間ない競争を挙げた。

 さらに、キルハウスは軍とウクライナ社会全体との関係の変化も象徴していると述べた。

 「友人の多くは今すぐ軍に入ろうとは思っていない。でも将来に備えて技能を学んでいる」

 この傾向は女性にも男性にも、さらにはシミュレーター訓練を受ける非常に若い世代にも見られるという。

 国防省の統計も同様の流れを示している。2025年2月時点で、軍採用センターへの問い合わせは4万2366件に達し、その21%が女性だった。

 同省によれば、人気の職種はUAVドローン操縦士、運転手、射撃専門職などだった。さらに2025年3月時点で、7万人超の女性が軍に所属し、そのうち5500人以上が前線勤務だった。2026年3月には総数が7万5000人を超えたとしている。

■「戦争」ではなく「役割」を選ぶ

 こうした数字は、ウクライナの動員の全体像を示すものではない。しかし、制度が向かう方向性は示している。

 国家は依然として徴兵制、厳格な執行、必要な場所への配置命令に依存している。一方で、「選択」「専門化」「ボーナス」「ブランド化」「若者向け訴求」といった市場の言語や手法も取り入れ始めている。

 キルハウスでは、その変化が教室や障害物コースの至る所で目に見える形となっている。進んで軍務に就きたい学生もいれば、将来の選択肢がなくなる可能性を見越し、前線歩兵として送られる前に技能を身に付けようとする学生もいる。

 多くの若いウクライナ人にとって、問題は「戦争が自分に及ぶかどうか」ではなく、「どの役割で関わることになるか」なのだ。

第93ホロドニー・ヤール独立機械化旅団の報道部が提供したこの写真では、兵士たちが2026年8月4日火曜日、ウクライナのドネツク州クラマトルスク前線都市付近のロシア軍陣地に向けて、多連装ロケットシステムBM-21「グラード」を発射する準備をしている。(イリーナ・リバコワ/ウクライナ第93機械化旅団提供、AP通信経由)

対ウクライナ・米国戦争でロシア・イランが連携 兵器、情報を供与

(2026年08月08日)
2026年7月22日(水)、コンゴ共和国イトゥリ州ブニア総合病院のエボラ治療センターで、医療従事者が救急車を消毒している。(AP通信/ディロール・ロツィマ・ディウドネ撮影)

エボラ危機、中国がコンゴで影響力拡大 米国の支援減も影響

(2026年08月07日)
韓国の李在明大統領は、2026年1月7日(水)、中国・上海で韓国メディア関係者との会合で発言した。(ハン・サンギュン/聯合ニュース提供、AP通信経由)

韓国当局、保守系米国人を出国禁止に 李大統領への名誉棄損で起訴

(2026年08月06日)
米インド太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督が、2024年8月27日火曜日、フィリピンのマニラで米インド太平洋軍主催の国際軍事会議で演説を行った。(AP通信/アーロン・ファビラ撮影)

米陸軍、西太平洋テニアン島に新型極超音速ミサイルを配備

(2026年07月29日)
写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

「中国の『超限戦』への備え不十分」専門家が警告

(2026年07月27日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2025年4月3日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で開催されたNATO外相会議に出席するため到着した際、報道陣の取材に応じた。(AP通信/バージニア・メイヨー撮影)

リトアニア外相、ロシアの破壊工作は「侵略行為」 米軍駐留継続に期待

(2026年07月21日)
新華社通信が公開したこの写真は、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルの発射実験の様子を捉えたものだ。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

中露、スターリンク攻撃計画を極秘協議 軍事協力の実態判明

(2026年07月19日)
フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

中国は依然国際法に違反 南シナ海仲裁判断10年で米軍

(2026年07月18日)
→その他のニュース