51番目の州? トランプ政権、カナダ・アルバータ州分離主義団体と秘密会談

(2026年2月8日)

アメリカ合衆国とカナダの国境を越えた直後の「アルバータ州へようこそ」の看板。ファイル写真提供:melissamn via Shutterstock.

By Jeff Mordock – The Washington Times – Updated: 6:15 p.m. on Thursday, February 5, 2026

 トランプ政権が、石油資源が豊富なアルバータ州のカナダからの分離独立を目指す無名の団体と、水面下で会合を重ねていたことが分かった。米加関係が緊張を増す中、新たな波紋を広げている。

 国務省当局者は4月以降、カナダからの分離を主張する「アルバータ繁栄プロジェクト(APP)」の指導者らと3回会談した。

 APPは、アルバータ州の独立を問う住民投票の実施を支持している。投票の予定はないが、実施されればカナダ第4の人口規模を持つアルバータ州が独立国家となる。関連団体の「ステイ・フリー・アルバータ」は、住民投票実施を求めて署名を集めている。投票には17万7000人の署名が必要だ。成功すれば、2026年後半から2027年5月にかけて実施される可能性がある。

 APPのミッチ・シルベストル最高経営責任者(CEO)はワシントン・タイムズに対し、米当局者との会合は、仮にアルバータがカナダから離脱した場合の通商協定の枠組みを検討することに焦点を当てたものだったと語った。APPに交渉権限がないことを認める一方で、独立が承認された場合の備えておくことが必要との考えを示した。

 「貿易の88%を米国と行っている。拙速に突き進み、初日からどことも通商協定がない状態になるのは賢明ではない。空気を測っておくことは重要だ」

 シルベストル氏は、トランプ政権側は分離独立運動を支援するとの約束や確約は一切しなかったと説明。さらに、カナダで最も分断を招く存在はトランプ米大統領だとして、同政権には独立運動から距離を置いてほしいとの意向を伝えたという。

 「何の約束もしていない。当然だ。アルバータの市民3人と約束を交わすことに意味がどこにあるのか」

 同氏は、目標は主権国家としてのアルバータだと強調した。

 「51番目の州になるためにやっていると思われたくはない。どちらの側も望んでいない。少なくともわれわれは望んでいない」

 ホワイトハウス当局者は会合を実施したかどうかの確認を避けた上で、「さまざまな市民社会団体と面会している。支持や約束は伝えていない」と述べた。

 もともと友好的とされてきた米加関係は、緊張が高まっている。

 トランプ氏はカナダ製品に高関税を課し、貿易戦争に発展させた。さらに、カナダを併合して米国の一部にすると繰り返し発言し、北大西洋条約機構(NATO)同盟国カナダの反発を招いてきた。

 カナダのマーク・カーニー首相は先月、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラムでの演説で、トランプ氏が世界秩序に「亀裂」をもたらしたと警告した。

 カーニー氏はまた、トランプ氏の関税への対抗措置として、対米貿易を減らし、中国やインドなどとの貿易拡大を図っている。

 アルバータ州出身のカーニー氏はトランプ政権当局者とアルバータ分離独立運動との会合についての質問に、「米政権がカナダの主権を尊重することを期待する」と述べ、トランプ氏が自身にアルバータ分離の問題を提起したことは一度もないと明らかにした。

 ブリティッシュコロンビア州のデービッド・エビー首相は「反逆行為だ」と強く非難した。

 「外国に行き、カナダを分断させるための支援を求める行為には、昔ながらの言葉がある。反逆だ。カナダの主権を十分に尊重してこなかった大統領に、国外からこの国を弱体化させ、分断する手助けを求めるのは、全く不適切だ」

 プロジェクトの法務顧問ジェフ・ラス氏は1月、アルバータが独立した場合に5000億ドルの与信枠を求めるため、米国の国務省と財務省の当局者との追加会合を模索していると語っている。シルベストル氏は、実際に与信枠を要請するかどうかの確認を避けた。

 アルバータ分離独立運動は1905年以来、形を変えながら存在してきた。1930年代に同州で結成された社会信用党では、分離独立が主要な政策の1つとなった。

 独立論の中心には、アルバータ州の石油産業がカナダに巨額の収入をもたらしているにもかかわらず、州の住民や企業からの税収からそれに見合うだけのものを得ていないという不満がある。

 近年では、西部の同州が持つ保守的な価値観が、自由主義的で人口の多い東部諸州によってかき消されているとの訴えに軸足が移っている。分離派は、政府の気候変動対策が、アルバータの石油産業を阻害していると主張する。

 アルバータは、太平洋岸のタンカーに石油を迅速に輸送するため新たなパイプライン建設を目指しているが、規制や環境面での反対が相次ぎ、計画は停滞している。

 シルベストル氏は「われわれは自由主義的な政府から離れなければならない。アルバータは常に保守的で、政府から適切な発言力を得られていない。政府はわれわれの石油産業を妨害している。それが離脱を望む最大の理由だ」と語った。

 アルバータ州の面積はテキサス州にほぼ匹敵し、人口は約500万人。カナダの石油生産の約84%を占めることから「エネルギー州」とも呼ばれ、10州の中で最も保守的とされる。

 ベセント米財務長官は先週、アルバータが「米国のパートナーになるのは自然なこと」と述べた。

 ベセント氏はポッドキャスターのジャック・ポソビエツ氏に「米国に入ってくるのを認めるべきだ。資源は豊富で、アルバータの人々は非常に独立心が強い」と語った。

 同氏は、カナダ政府が同州のパイプライン計画を阻止したことが、分離独立運動の勢いを増したとの見方を示した。

 「アルバータには莫大な天然資源があるが、太平洋へのパイプライン建設を認めてもらえない」

トランプ大統領(中央右)が中国の習近平国家主席と握手を交わす。メラニア・トランプ夫人(右)と彭麗媛夫人(左)が見守る中、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館に到着した。(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

米中会談、台湾を交渉材料と見るトランプ氏に専門家懸念 武器供与はG20後か

(2026年10月06日)
第65機械化旅団報道部が提供したこの写真には、2026年9月19日(土)、ウクライナのザポリージャ州で、ウクライナ兵がロシア軍陣地に向けてFPVドローンを発射する準備をしている様子が写っている。(アンドリー・アンドリエンコ/ウクライナ第65機械化旅団提供、AP通信経由)

ウクライナの教訓 兵器の調達・製造プロセス見直し迫られる米

(2026年10月05日)
中国の習近平国家主席とアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領のイラスト(リナス・ガーシス/ワシントン・タイムズ)

トランプ・習会談、華やかな演出の裏に厳しい現実 米ハドソン研究所中国センター所長 マイルズ・ユー

(2026年10月03日)
ドナルド・トランプ大統領(左)は、2025年8月25日、ワシントンD.C.のホワイトハウスに到着した韓国の李在明大統領を出迎えた。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影、資料写真)

米シンクタンク、アジアでの同盟縮小を提唱 「中国に戦略的利益」と反論も

(2026年10月01日)
ドナルド・トランプ大統領、メラニア・トランプ夫人、中国の習近平国家主席夫妻、そして米国国立公文書館長のブラッドフォード・ウィルソン氏が、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館で、憲法、権利章典、その他の文書を閲覧している。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

トランプ氏、習氏と国立公文書館訪問 独立宣言・権利章典を視察

(2026年09月30日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2026年9月8日火曜日、リトアニアの首都ビリニュスにある外務省で、オランダのトム・ベレンセン外相との会談後に行われた記者会見で発言した。(AP通信/ミンダウガス・クルビス撮影)

ロシアが欧州に「グレーゾーン」攻撃、強まるNATOの結束 リトアニア外相

(2026年09月27日)

米空軍、シンクタンクを閉鎖 中国の脅威分析へ影響懸念

(2026年09月26日)
2025年2月18日、韓国の坡州市(北朝鮮との国境付近)で、韓国軍兵士が有刺鉄線沿いをパトロールしている。(AP通信/アン・ヨンジュン撮影)

米国から中東への軍派遣圧力、高まる北の脅威 板挟みの韓国

(2026年09月24日)
FBI長官のカシュ・パテル氏

FBI、中国によるスパイ活動の急増を明らかに

(2026年09月23日)
この写真は北朝鮮政府が提供したもので、1994年6月17日、北朝鮮の南浦市で西海防壁を視察するジミー・カーター元米大統領(左)と当時の金日成主席が写っている。(朝鮮中央通信/朝鮮通信社提供、AP通信経由、資料写真)

北朝鮮、個人崇拝のルーツはキリスト教 敬虔な家庭で育った金日成氏 カナダ人ジャーナリストが新著

(2026年09月22日)
→その他のニュース