中国系ハッカー組織がアフガン政府にスパイ工作
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Thursday, July 1, 2021
中国語を操るハッカー集団がアフガニスタン政府の国家安全保障指導部にサイバー攻撃で侵入し、標的を定めたスパイ工作を行っていたことが分かった。
サイバーセキュリティー企業のチェックポイント社が明らかにした。
カリフォルニア州とイスラエルに本社を置く同社によると、ハッキング工作は2014年から始まった。工作活動の詳細は1日に公表されたが、世界各国、特に米国では中国によるサイバースパイや影響工作に関心が高まっている。例えば、バイデン政権はマイクロソフト・エクスチェンジのサーバーに不正侵入した集団を正式に特定する準備を進めているが、マイクロソフト社は中国で活動する、政府の支援を受けた集団の仕業だとみている。
チェックポイント社の調査チームは、中国語を操る「インディゴゼブラ」というハッカー集団が中国政府の指示や支援を受けているかどうかは分からないとしている。同社によると、ハッカー集団はアフガン大統領室を装ってアフガン国家安全保障会議に侵入し、その活動を隠すためにファイル保管サービスのドロップボックスを利用していた。
アフガン国家安全保障会議の職員は、大統領室から届いたように装った記者会見の添付資料を開いた。だが、調査チームによると、それによってハッカー集団が情報を盗み出すバックドア(裏口)が作られてしまったという。このバックドアはハッカー集団がコントロールするドロップボックスのアカウントに通じていて、ハッカー集団はドロップボックスを指令管制センターとして利用していた。
「ここで驚くべきは、この脅威主体がどのように省庁同士を欺く戦術を用いていたかだ。この戦術は卑劣であり、他人に自分たちの求めることをやらせるのに効果的だ。このケースでは、悪質な活動が主権の最高レベルで行われていたことになる」。チェックポイント社で脅威情報部門を率いるロテム・フィンケルスタイン氏は、声明でこう指摘した。「さらに、この脅威主体が探知されないように隠れるためにどのようにドロップボックスを利用していたかは、注目に値する。これはすべての人が察知し、警戒すべきテクニックだと思う」
フィンケルスタイン氏はワシントン・タイムズ紙に対し、同氏の調査チームはネット上にアップロードされたファイルや電子メールを発見し、このスパイ工作に気付いたと語った。
チェックポイント社の広報担当者エクラム・アフメド氏によると、調査チームはアフガン政府に通知しないことを決めており、アフガン政府は同社の顧客ではないという。200人の職員から成る調査チームは、米連邦捜査局(FBI)や欧州警察機関(ユーロポール)、欧州連合の法執行機関と定期的にやりとりしているが、これらの機関にも通報しなかったという。
代わりにチェックポイント社は報告書を公表し、報道機関に通知した。同社は世界各国に5400人以上の職員を抱え、昨年の年間収入は20億㌦を超える。
在米アフガン大使館とドロップボックス社にコメントを求めたが、返事はなかった。チェックポイント社は、アフガン以外に何カ国がインディゴゼブラの標的になっているかは分からないが、キルギスとウズベキスタンも被害を受けているとみている。
「この工作活動はアフガン、キルギス、ウズベクにとどまらない。これらはインディゴゼブラの被害リストに確実に入れられる国だ」と、フィンケルスタイン氏はワシントン・タイムズ紙への声明で指摘した。「彼らの攻撃基盤の分析から、旧ソ連諸国やそれ以外の国々も標的にしている可能性がある」