下院民主党、引退表明の議員に撤回呼び掛け-中間選挙
By Mica Soellner – The Washington Times – Tuesday, January 25, 2022
下院民主党は、11月の中間選挙に向け、党の議員らに引退計画を見送り、厳しい戦いになると予想されている選挙を乗り切るよう内々に働き掛けている。共和党の政権奪取を阻止するためだ。
議員らがワシントン・タイムズに語ったところによると、引退を表明している29人の民主党下院議員のうち、激戦区の議員も含めて、戦わずに議席を手放すことのないよう呼び掛けている。
エマニュエル・クリーバー議員(ミズーリ州)は、ロン・カインド議員(ウィスコンシン州)や他の民主党議員に、民主党が不利な激戦区での引退の決定を遅らせるように説得していると語った。
クリーバー氏はインタビューで、「数週間前に話したとき、『考え直してほしい』と言った。ロン・カインド氏が不出馬を表明したとき、誰も喜んでいなかった」と述べた。
ルイス・コレア下院議員(民主、カリフォルニア州)は、何人かの議員と話をしたが、引退を再考する者はいなかったという。
「発表した時点で、決断していたことは明らかだ」
コレア氏は、退職する議員が増えているのは、議会の両極化が進んでいることが原因だと指摘する。
コレア氏は、「引退を表明している議員の大部分は、議会での対立の激化を指摘している。私自身も3週間前に同じことを考えた。再選を目指すかどうか」と述べた。
中間選挙の現在の傾向から、民主党は、大統領ポストを失う可能性すらある。さらに民主党にとってよくないことがある。バイデン大統領の支持率が急速に低下していることだ。
下院民主党のある補佐官は、議員らが、引退する議員に私的な会話で再選に立候補するよう説得していても何ら不思議はないと語った。
「そういうことがあっても驚きはしない。(民主党下院選挙委員会=DCCC=のシーン・パトリック・マロニー議長らが)支持し、成功している議員に対し、とどまってほしいという思いを持ち、呼び掛けているのが現状だ」
DCCCは、コメントの要請に応じなかった。
引退によって、今年の選挙で共和党が勝つとみられている選挙区の民主党議員が特に打撃を受ける。カインド氏の選挙区や、イリノイ州のクアッドシティーズ地区のシェリ・ブストス議員の選挙区などだ。
カインド氏は、引退の決断は個人的なものであり、再考を求められても変わることはないと話している。
ウィスコンシン州南西部の選挙区で25年近く議席を維持し、会派内では最も中道的な民主党議員の一人とみなされている。
カインド氏はワシントン・タイムズに「結局は、再出馬するかどうか、あるいは初めて出馬するかどうかは、議員個人の決断だ。党指導部とDCCCは、議員やその家族で決めることであり、残りの人生をかけてやりたいかどうかという本質的に個人的な決断であることを理解しているのだと思う」と述べた。
民主党のストラテジスト、アントワン・シーライト氏によると、州の区割り変更の関係で難しい立場に立たされている議員もいるという。引退表明は避けられないという。
「選挙のたびに、人生の新たな局面に移行しようとする人は出てくるものだ。引退が多いことに驚いてはいない」
民主党で引退の意向を表明している著名人には、長年議員を務めたエディ・バーニス・ジョンソン下院議員(テキサス州)、ロサンゼルス市長選に出馬するカリフォルニア州のカレン・バス下院議員、オハイオ州の上院選に立候補する元大統領候補のティム・ライアン氏らがいる。
また、フロリダ州選出の民主党議員で、今年は再選が非常に難しいとされているステファニー・マーフィー下院議員も再選不出馬を表明した。
マーフィー氏は党の中道派「ブルードッグ連合」のメンバーで、2021年1月6日に起きた議会議事堂襲撃を調査する下院特別委員会の委員を務めている。
下院共和党の選挙部門は、委員会がターゲットにしている民主党下院議員のうち60人の弱い議員が中間選挙から身を引くことは理にかなっていると述べた。
全国共和党下院委員会のスポークスマン、マイク・バーグ氏は、「辞めると言っている下院民主党員は、賢い選択をしている。弱い民主党議員はそうするか、来年の秋に負けるかだ」と語った。
共和党では、イリノイ州のアダム・キンジンガー議員やカリフォルニア州のデビン・ヌネス議員など、十数人の下院議員が引退の意向を表明している。
ニューヨーク州選出のジョン・カトコ議員(共和)は今月、引退を表明した。
カトコ氏は、キンジンガー氏、オハイオ州のアンソニー・ゴンザレス下院議員に続いて、トランプ大統領の弾劾支持を受けて引退を決めた3人目の共和党議員だ。