米宇宙軍司令官、バイデン政権の穏健政策を支持

(2022年7月23日)

2020年5月6日、上院軍事委員会で証言する米宇宙軍のジョン・レイモンド宇宙作戦本部長(ファイル写真)。(Greg Nash/Pool via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, July 20, 2022

 新設された米宇宙軍のレイモンド司令官は、宇宙での軍の活動に関する国連主導の合意を受け入れるバイデン政権の取り組みに支持を表明した。歴代政権は、宇宙での米国の軍事力を制限するための兵器削減への中国とロシアのたくらみとして拒否してきた。

 レイモンド氏はさらに、バイデン政権が最近一方的に宣言した宇宙ごみを発生させる衛星破壊実験の禁止への支持も表明。宇宙での紛争を抑止し、宇宙での軍事行動に関する国際的な「規範」を確立するための取り組みを支持した。

 中露は、このような国際的な規範への違反を繰り返し、いくつもの宇宙兵器を製造、衛星攻撃兵器(ASAT)実験を実施してきたと批判されている。レイモンド氏は、宇宙で軍事的な規則を守らせることが難しいことを認めた。

 「しかし、ルールを定めておけば、赤信号を無視したときに、信号を無視したと言うことができる。悪事の発見にも役立つ」

 レイモンド氏はまた、国防総省が新たに表明した「統合抑止」を高く評価した。明確に定義されてはいないが、軍事力以外の手段も使い、同盟国と共に戦争を防止することを求めている。

 レイモンド氏は、コロラド州で行われたアスペン安全保障フォーラムで「抑止に失敗し、紛争に突入することになった場合、まず宇宙で始まるのではないかと考えている」と述べた。

 レイモンド氏は、宇宙軍が現在、保有を明らかにしている宇宙兵器は電子妨害装置だけであることには言及しなかった。それに対し中露は、複数の軌道上の衛星を破壊できるさまざまなタイプのミサイル、衛星を妨害、破壊可能な地上配備のレーザー兵器と電子妨害機器、敵国の衛星を補足したり、破壊したりできるロボット衛星を配備している。

 レイモンド氏は、米宇宙軍は宇宙兵器ではなく、攻撃から衛星を守るための対策を講じていると述べた。

 ロシアは昨年11月にミサイルで衛星を破壊した。これによって1500個の宇宙ごみが発生したとみられ、時速2万7000キロで飛行し、軌道上の他の衛星を損傷させる可能性がある。中国も2007年にミサイルで衛星を破壊した。3000個の宇宙ゴミが発生したとみられ、今も高速で軌道上を飛行している。

 レイモンド氏は、中国は宇宙戦争能力などの兵器開発を「急加速させた」と指摘した。中国の戦略家らは、米国の宇宙システムを軍事的な弱点と見なし、紛争時に標的と成り得ると考えている。

 しかし、レイモンド氏によると、米国は宇宙戦争能力で中露と競争するのではなく、「宇宙では、ルールベースの秩序を促進することに注力している」と述べた。

 「今直面している課題の一つは、ルールがないか、ほとんど存在していないことだ。開拓時代の西部のような状態だ」

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