バイデン氏の転倒で年齢や後継者への不安が再燃
By Seth McLaughlin – The Washington Times – Saturday, June 3, 2023
バイデン米大統領が空軍士官学校卒業式で転倒したことは、2024年の大統領選挙に向け、民主党内のバイデン氏しかいないという考え方に懸念を高めた。そしてライバルとなり得る人々に、選挙戦への土壇場の参戦に備える口実を与えている。
民主党の実力者たちは早くから80歳のバイデン氏の下で結集し、公然と力を示してきた。彼らは党を結束させ、2024年の共和党大統領候補指名争いとの差別化を図るため、年齢に関する懸念やバックアッププランの必要性について意に介していなかった。
しかし、党内関係者によると、舞台裏では活動家たちがバイデン氏の年齢に不満を抱き、他の民主党員もひそかに目立たない形で待機し、選択肢を探っていることは確かだ。
民主党関係者は、有権者の多くが年齢を最大の懸念材料として、バイデン氏が選挙戦を見送ることを望んでいるという世論調査結果を見ている。
バイデン氏が6月1日にコロラド州コロラドスプリングスにある空軍士官学校の卒業式で演説し、卒業証書を手渡した後、つまずいて転倒したことで、こうした懸念はさらに大きくなった。
卒業生が帽子を空に投げ、頭上で空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」の轟音が鳴り響く中、多くの聴衆の注目は壇上で倒れたバイデン氏に移った。
バイデン氏は駆け付けた空軍将校とシークレットサービスの助けを受けて立ち上がり、席に戻って式典の残り時間を過ごした。
バイデン氏はその後、テレプロンプターを支えていた幾つかの黒い砂袋につまずいたことを「サンドバッグになった」と冗談を言った。ホワイトハウスは記者団に、バイデン氏は「大丈夫だ」と断言した。
それでも、オークランド大学のデビッド・ドゥリオ教授(政治学)は、24年の選挙戦中にバイデン氏がけがや病気で簡単に退場する可能性があるという残酷な現実を指摘した。それに伴う混乱は、ネクストバッターズサークルで次期大統領選への飛び入り参戦の準備をしている民主党員にとって絶好のチャンスになるという。
「もしそうしないとしたら、彼らは利口ではない」とドゥリオ氏。「私たちが名前を思い付く限り、知名度が高く、成功した候補者・政治家の中で、戦略的に考え、チャンスが来た時に備えることなく、その座にたどり着いた者はいない」
「転倒によって年齢を巡る逆風が強まっているからと言って、バイデン氏が退くべきだと提案する者は誰もいない。だが、彼らは出馬を考えているに違いない。一生に一度のチャンスなのだ」
大統領継承順位1位のカマラ・ハリス副大統領は、指名を獲得する正当な資格がある。
21年にバイデン氏が大統領に就任して以来、同氏に仕えてきた58歳のハリス氏は、大統領の全国的な支援ネットワークを活用できるほか、多様な生い立ちをアピールし、政権内で積み上げた実績や、それ以前の上院議員、カリフォルニア州司法長官としての実績を土台として立候補できる。
しかし、ハリス氏は確実な「プランB」とは言えない。
「他の民主党員がハリス氏に取って代わろうとしないとは考えられない」とドゥリオ氏。「彼らはわれわれと同じようにハリス氏の好感度や支持率に関する世論調査を見ている。誰かが『ちょっと待って。よく考えよう』と主張すると思う」
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事とロー・カンナ下院議員は、バイデン氏を支持しているが、選挙運動のような形で全国的な知名度を高めている。