トランプ関税、算出法に賛否 反発する支持者も

(2025年4月9日)

2025年4月2日(水)、ワシントンのホワイトハウスのローズガーデンで行われた新関税の発表イベントで大統領令に署名したドナルド・トランプ大統領。(AP Photo/Evan Vucci)

By Jeff Mordock and Tom Howell Jr. – The Washington Times – Monday,April 7, 2025

 トランプ大統領の「相互」関税は、相手国が米国製品に課す関税ではなく、貿易赤字額に基づいて決められている。

 こういった複合的な措置を取ることで、トランプ氏は世界市場に混乱をまき散らし、各国は米国との貿易関係の再交渉を余儀なくされている。

 また、トランプ氏の熱烈な支持者らは、米国の製造業を強化し世界経済を再編成するというこの野心的な計画が奏功すると考えているが、反発しているトランプ支持者も一部にいる。

 米国は現在、一部の国に対して、その国が米国製品に課す関税よりもはるかに高い関税を課している。例えば、世界貿易機関(WTO)のデータによれば、米国は日本に対して24%の関税を課すが、日本の加重平均関税率は2.7%だ。

 南アフリカには30%の関税が課されるが、加重平均関税は6.3%。EUは20%の関税を課されるが、加重平均関税は3%である。

 欧州連合(EU)当局は、全面的な関税引き上げではなく、特定の米国製品に高関税を課すことで報復することを検討しているという。

 リバタリアン(自由至上主義者)団体ケイトー研究所の貿易政策上級研究員クラーク・パッカード氏は「ホワイトハウスが二国間の貿易収支をベースに関税計算を行ったことには非常に驚いた。二国間の貿易赤字は本質的に問題ではない。国家間で均衡のとれた貿易を実現することはほとんど不可能であり、必ずしも望ましいことではない」と言う。

 ホワイトハウスは、この計算には貿易赤字と輸入の数字を使用していると弁明している。

 ホワイトハウスは声明で、「この計算は、持続的な貿易赤字は、貿易の均衡を妨げる関税と非関税の複合的な要因によるということを前提にしている。関税は輸入を直接減らすことで効果を発揮する」と表明した。

 トランプ氏の関税計算式は比較的単純な数学に基づいている。各国と米国の貿易赤字をその国の輸入額で割る。そしてその数字を半分に割って、最終的な関税率を算出する。

 エコノミストらによると、同じ計算式をすべての国に適用することはできないという。高い貿易障壁がある国もあれば、市場が開放されている国もあるからだ。また、この計算式は海外に輸出できる物理的な商品のみを対象とし、観光、銀行、ネットフリックスやiTunesなどのハイテク関連のサービスは除外されている。

 これは、物理的な製品の米国への輸出が少なく、金融サービスが多い国には有利になる。例えば、バミューダは10%の関税を支払うが、サービスを考慮すると、トランプ氏の関税計算では37%に跳ね上がる。

 一方、米国はEUから輸入する商品の方がEUに輸出する商品よりも多いが、サービスに関しては輸出の方が輸入よりも多い。トランプ氏の方式では、関税は半減する。

 赤字ベースの関税計算は、トランプ氏支持者の間に亀裂をもたらした。

 投資信託パーシング・スクエアのCEOであり、トランプ氏の支持者としてよく知られるビル・アクマン氏は、相手国の関税に単純に合わせるのではなく、貿易赤字を関税計算の基礎とする決定を強く批判した。

 アクマン氏はソーシャルメディアに、「友好国にも敵対国にも大規模で不釣り合いな関税をかけ、それによって全世界に対して一挙にグローバルな経済戦争を仕掛けることで、貿易相手国として、ビジネスを行う場所として、資本を投資する市場として、わが国に対する信頼を破壊する過程にある」と投稿した。

 また、一部の政権メンバーが互いに敵対する原因にもなっている。ハイテク業界の大富豪でトランプ大統領のアドバイザーであるイーロン・マスク氏は、ピーター・ナバロ通商担当大統領顧問をXで、「ハーバードの経済学博士号はいいものではなく、むしろ悪い。頭脳はそこそこでも、プライドばかりが高い」と批判した。

 ナバロ氏はFOXニュースの6日のインタビューで、マスク氏が関税を「理解していない」と述べた。

 ナバロ氏は「イーロンについて一つ知っておくべきことがある。それは、彼は単なる車屋ということだ。それが仕事だ」と指摘、マスク氏は関税に反対することでビジネスの利益を守ろうとしていると付け加えた。

 一部のエコノミストは、トランプ氏の関税計画の初期のテストケースとしてベトナムを挙げた。46%の関税をかけられているベトナムの加重平均関税は5.1%だ。

 米国の関税に対し、ベトナムは米国からの輸入品に対する関税をゼロにすると申し出たとトランプ氏は述べた。

 関税率ではなく貿易赤字に基づいて算出した関税率は、ホワイトハウス内でも混乱を引き起こしている。

 トランプ氏は先週、ホワイトハウスで関税を発表した際、関税率はその国が米国に課している税率に基づいて個別に算出していることを示唆した。同氏は、インドは

「何年も何年も何十年も」米国製品に52%の関税を課していると述べた。

 これは世界貿易機関(WTO)のデータと一致しない。WTOのデータによると、昨年のインドの輸入品に対する加重平均関税の平均は7.7%だった。

 米国と自由貿易協定を結んでいる国々も関税を課された。韓国はほとんどの米国製品に関税を課さないが、25%を課された。チリやその他の中米諸国は10%の関税をかけられた。

 全米対外貿易評議会(NFTC)は先月、米通商代表部(USTR)への書簡で、「しかし、二国間の商品の貿易赤字が必ずしも不公正または非互恵的な貿易関係を示すわけではない。単に米国が貿易相手国から物品を購入した量が販売した量を上回ったことを示しているだけだ」と指摘した。

 それは、米国が裕福な大国であり、世界中で消費を牽引しているからだ。他国との貿易赤字を減らすためには、米国は消費を減らす必要がある。

 インドや中国は比較的人口が多いが、米国ほど豊かではない。

 NFTCは書簡で「経済の規模、所得、支出に大きな差があることを考えれば、米国がこれらの国々よりも多く消費しているのは当然だ。米国の企業や消費者によるこの消費が、米国の経済成長を牽引している」と指摘した。

中国依存のボードゲーム業界に壊滅の危機

(2025年04月11日)

農務長官、EUのホルモン処理肉輸入禁止を非難

(2025年04月08日)

トランプ氏、低価格輸入品への免税停止へ 中国Temuなどにも影響

(2025年04月07日)

トランプ大統領の支持率低下、経済政策に疑念

(2025年02月20日)

TikTok難民が「小紅書」に大移動 最高裁の閉鎖支持受け、大きな利益を得る

(2025年01月24日)

不正受給撲滅で赤字軽減へ

(2025年01月21日)

マスク氏「軽蔑すべき愚か者」 専門技術者ビザ巡ってトランプ支持者と衝突

(2024年12月30日)

トランプ次期大統領、ビットコインの戦略的保有を検討

(2024年12月24日)

トランプ関税は自動車部門に深刻な打撃 メキシコが警告

(2024年11月30日)

競争阻害するバイデン政権 スピリット航空が破産

(2024年11月24日)
→その他のニュース