公開処刑と犯罪者の身体切断、タリバンの厳罰統治が再開か
By Ben Wolfgang -The Washington Times-Sunday, September 26, 2021
タリバンのソフト路線を期待していた向きには、一気に現実に目覚めさせられることになった。この日曜日、米国の視聴者は、タリバンの指導者が法律違反への警告だと主張する、ヘラート市で血まみれの死体がクレーンに吊られている光景を見せられたからだ。
地域事情に詳しい専門家によると、このおぞましい映像によって、タリバンの第二次アフガン統治は昔よりも穏健になり、1990年代後半の統治期間を特徴づけたイスラム法の厳格な適用からは距離を置くだろう、とのバイデン政権の期待に水を差すことになりそうだ。
過去数日間、人権監視団はタリバンが女性の権利に関して大幅に引き締め始めたと警告してきた。タリバン指導者はまた、犯罪者への死刑執行や身体の一部切断を再開することを公に認めた。こうした懲罰はタリバンが20年前に支配した当時の司法制度を特徴づけるものだった。
米国当局者や外交政策の専門家は、タリバンが結局、厳格な政策を復活させることを懸念していた。それでも大概のオブザーバーは、先月末にアメリカ軍が完全撤退して、タリバンが国の支配権を取り戻した後、時間をかけて移行し、より穏やかな大衆イメージを示すだろうと語っていた。
しかしヘラート市からの現地情報で、タリバンが誘拐犯として告発された4人の死体を大衆の目に曝したと報告された土曜日遅く、期待は打ち砕かれた。1人の死体は、街の広場に置かれたクレーンからぶら下げられていた。この映像は週末、ソーシャルメディアを通じて拡散された。
タリバン当局者はショッキングな映像公開を認め、4人の男性は誘拐計画の関連で拘束されていたと説明したが、彼らが誘拐の実行犯かどうかは明らかでない。
ともあれ一部の専門家は、この残忍な事件はタリバンに関する最悪の懸念を裏付けるものだ、と指摘した。
「タリバンは本日、ヘラート市で誘拐犯とされる4人を殺害し、同市の雑踏数か所でクレーンを利用した絞首刑を執行した。タリバンが変わった、と主張していた人たちにとって、これは1996年から2001年までタリバンが実行した残虐行為を想起させるものだ。何が変わったというのか?」、アフガン移民相談・支援団体のアブドゥル・ガフール所長は、土曜日遅く、こうツイートした。
別のツイッターは、パンジシール渓谷に拠点を置いて活動を始めたアフガン抵抗運動を代表していると主張しているが、タリバン式の懲罰で唯一変わった点は、それが大衆の面前で執行されたことだと指摘した。
「ソーシャルメディアで目にしているのは、タリバンによる犯罪行為の二割にすぎない。それらは公の場で実行することで、人々に恐怖心を与えるプログラムの一環だ。旧アフガン政府の役人と、反タリバンの連中を殺害するのが残りの八割だ。パンジシールは真夜中に目を覚まさせられた!」、パンジシール渓谷のツイッター投稿者はそう書いた。
こうした展開により、タリバンがより近代的で融通の利く政府に進化することを想定していたバイデン政権は、そうした望みを排除することになりそうだ。先月、バイデン大統領の命令でアフガニスタンからの米軍撤退が明らかにされたとき、ホワイトハウス高官たちは、タリバン新世代がどのような性格になるか明らかではない、と言い続けていた。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官も8月の時点で記者団に対し、「タリバンは国際社会でどのような役割を演じたいのかを判断しなければならない」と語っていた。
タリバン指導者たちは過去2年続いた米国との交渉中、彼らがアフガニスタンに権力復帰してできる政権は、1990年代の残忍なイスラム統治とは異なるだろう、と語っていたものだ。
その当時の政府とは、2001年9月11日の事件後に、米国がアルカイダを打倒すべくアフガニスタンに侵攻して倒されたものだ。タリバン政府は、オサマ・ビンラーディン率いるテログループのアルカイダに隠れ家と作戦拠点を与えていたからだ。
タリバン指導者たちは交渉中、女性は自分たちの権利を保持し、学校にも通える、と約束していた。しかし、その約束はすでに破られた。先週遅く「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」とサンノゼ州立大学の人権研究所は共同声明を発表し、アフガン全土、特にヘラート市でのタリバンによる女性の扱いを非難した。
「2021年8月12日にヘラート市を抑えて以来、タリバンは知名度の高い女性を探しだし、自宅からの移動の自由を否定し、衣服規則を強制し、雇用と教育へのアクセスを大幅に制限し、非暴力集会への参加の権利を制限するなど、女性と少女に恐怖を植え付けている」、複数の人権監視団体はこう指摘した。
「ヘラート市をタリバンが支配下に置いた日、女性たちの生活は完全に混乱させられた。タリバン政府に対する正式承認の可能性を吟味している米国その他の国々の政府にとって、女性の権利尊重は重要な要素のひとつだ。今週末までにヘラートで起きた事態は、そうした承認の可能性をはるかに少なくするものだ。
一方でタリバン当局者は、犯罪者の死刑執行と手の切断を再開することを誇らしげに宣言した。そしてサッカー競技場など公共エリアでの懲罰執行は避けるとしても、非公開で実行することを示唆した。
「外国の連中は、競技場で懲罰執行をしたことについて我々を批判した。しかし我々は彼らの法律や懲罰に関して是非を論じたことは全くない」、タリバン最高幹部の一人、ムッラ・ヌールディン・トゥラビ氏は先週、米国のAP通信に語っている。「我々の適用する法律について誰かに教えてもらう必要はない。我々はイスラムを遵守し、コーランに基づく法律を制定するまでだ。」
バイデン政権はタリバンの姿勢を批判した。国務省のネッド・プライス報道官は金曜日、記者団に対して「我々はアフガン人の身体切断と処刑を復活させた、という報告を厳重に非難する」と述べた。「タリバンの主張する行為は明らかに重大な人権侵害を構成するものであり、我々は国際社会と協力して、こうした虐待行為の加害者に責任を負わせるだろう。」