炭素使用量パスポートを固辞せよ

(2021年9月29日)

Illustration on Biden’s plans to reduce carbon emissions by Alexander Hunter/The Washington Times

By THE WASHINGTON TIMES – – Wednesday, September 22, 2021

 

 ANALYSIS/OPINION:米国民は、「規則と規制の殿堂」入りすればちょうどいいと思えるような風変わりな構想をいろいろ見てきた。

 

 新たに浮上している構想は、これまでのどの悪名高い構想よりもさらにひどいものとなるはずだ。

 

 それは「個人的炭素許容量」(PCA)というもので、炭素ベースの製品の使用を規制するために政府が運営する制度である。これは、市民に新型コロナウイルスワクチン接種の証拠を示すよう要求する新たな規則からヒントを得たものだ。炭素使用パスポートが現実のものになったとしたら、米国民は「自由な国」に住むために高額のカネを払うことになる。

 

何世代にもわたる気候変動に関わる強迫観念によって、自然に発生する二酸化炭素は、人間の活動によって生成されると毒になるという考えが生まれてきた。そして、ネイチャー誌が8月に発表した論文で、個人の炭素使用量を追跡・制限するための制度設立のアイデアが提起された。

 

 「PCA構想は、平等で、取引可能な炭素許容量を受ける全ての成人に関わるものであり、この許容量は、国の目標によって時間とともに減っていく」と論文にある。把握可能な炭素排出エネルギー使用には、暖房や旅行のための電気や燃料がある。追加の使用分は、余った分を持つ人たちから買うことができ、国の総供給量は時と共に削減されていく。消費者用製品の生産など経済活動のより大きな部分を占める炭素使用量が含まれる可能性もある。この構想は、「気候への配慮の高い技術を持った選ばれた先進国」でのPCAの試みを行うことを推奨している。

 

 米政府が、米国の成人向け製品の購入を監視することで、憲法上保護されているプライバシーが失われるばかりか、自ら選んだライフスタイルで生きる自由も徐々に失われることになる。これのどこが駄目なのか。

 

 これまでのところ、PCAの提案は環境運動過激派の想像の世界でほんの少しちらついているにすぎない。しかし、夢は、たとえ悪夢であっても、時には、正夢になることがある。コロナ前に、ニューヨーク市民がレストランに入るのにワクチン接種許可証が必要になると、誰が想像しただろうか。

 

 構想の支持者らは、炭素ベースのエネルギー使用量の増加が気温を上昇させ、人類を環境破壊へと運命付ける可能性があると警告しながら、個人の炭素管理権奪取を支持している。

 

 しかし、気候変動への懸念を和らげる根拠はある。デンマークの環境問題専門家ビョルン・ロンボルグ氏は、気候災害に起因する世界的死者数は急増しておらず、人類の活動で炭素が排出される時代に入ってから急落したと伝えている。彼は次のように書いている。「1920年代、気候関連の災害による死者数は、毎年平均48万5000人だった。2010~2019年の10年の間、平均死亡者数は、年間1万8362人で、96.2%減少した」

 

 人類が、絶えず変化する環境に順応する著しい能力を持っていることは明らかだ。カテゴリー5のハリケーン・カトリーナは2005年、メキシコ湾岸を襲い、1500人以上のルイジアナ州民の命を奪った。最近、わずかに勢力の弱いハリケーン・アイダが暴風に鍛えられるルイジアナ州を襲った時の死者数は13人だった。

 

 権威を振りかざす人々は、緊急事態が起きるたびに、人間の自由を少しずつもぎ取るチャンスだと考えてきた。米国民は炭素使用パスポートなど、断固拒絶すべきだ。

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