「パーフェクトストーム」:ラウドン郡は「ウォウク主義」と闘え-ペンス前副大統領
By Valerie Richardson and Mica Soellner – The Washington Times – Thursday, October 28, 2021
マイク・ペンス前副大統領は木曜日、バージニア州パーセルビルにあるパトリック・ヘンリー大学で、教育の自由について語り、親の選択権と教育の自由を掲げる運動の震源地として知られるようになったラウドン郡に対する支持を表明した。
ラウドン郡はペンス氏が「米全土に広がる力強い社会改革の震源地」と呼ぶ場所だ。同氏は論議を呼んでいる文化的な問題、例えば批判的人種理論や露骨な性的表現をする書籍、トランスジェンダー政策などを懸念して教育委員会の会合に押しかけた保護者や地域の関係者を称賛した。
「皆さんは間違いなく、子供たちに良い影響を与えるのです。ここラウドン郡の家族たちが、教育の質を守り責任を取ろうとしている。皆さん方は国の行方に影響を及ぼしています」、ペンス氏はパトリック・ヘンリー大学に集まった聴衆に呼びかけた。
ラウドン郡は昔、ワシントンの閑静なベッドタウンとして知られていた。しかし幼稚園から高校までの、いわゆる「K12教育」をめぐって、リベラルな学区管理者と、その在り方に警戒を深める父兄たちとの論争を象徴する場所になった。しかもその論争は、司法省とバージニア州知事選挙にも波及し、ジョージ・ソロスの陰謀(?)というおまけも持ち上がった。
バージニア州で幅広い活動を長年続けてきた共和党の戦略家フォード・オコンネル氏によれば、ラウドン郡が文化闘争の矛先になったのは、政治の急速な変化や伝統的価値観を保持する上・中流階級による「パーフェクト・ストーム」によって引き起こされたものだ。
「全体像を見れば、ラウドン郡に現れた変化は速すぎたものだ」、オコンネル氏は指摘する。「同郡では、合衆国全体で共和党から民主党支持にシフトしている中、似たような人口構成の他の地域コミュニティと違い、そうしたシフトを押し戻すパワーを持てる裕福さと動機づけ、そして十分な教育を受けていると言えよう。」
実際、ラウドン郡は標準世帯収入が142,299ドルであり、個人資産調査のキプリンガー社が公表した「2021年度・最も裕福な米国の郡」リストではトップだった。標準住宅価格も556,600ドルと、バージニア州全体のほぼ2倍だ。
「そうした状況なら通常は、私が”ウォウク・アジェンダ”と呼ぶ傾向を支持しがちな、教育を受けたホワイトカラー層が多いものだが・・」とオコンネル氏は指摘する。「ラウドン郡の人々は、伝統的なバージニア価値観とでも言うものを保持し続けているようだ。」
ことはバージニア州知事戦で、民主党候補のテリー・マコーリフ氏が9月29日の討論会の際に、学校論争について尋ねられたとき、「学校が何を教えるべきか、保護者が学校側に教えを垂れる立場にはないと思う」と述べたことだ。
この発言をきっかけに、共和党のグレン・ヨンキン候補側が、幼稚園から高校までの教育に関する父兄の選択権について、民主党候補者を打ち叩くたびに沸き立った。大半の世論調査では選挙前の火曜日に統計的には同等だったのが、フォックス・ニュースが木曜日に発表した世論調査では、ヨンキン候補の大きなリードを示していた。
ヨンキン候補の応援イベントではない場所でぺンス前副大統領は言った、「テリー・マコーリフ候補が「学校が何を教えるべきか、保護者が学校側に教えを垂れる立場にはないと思う」と言い放ったが、「我々は父兄こそ(子供たちの教育に関する)最終的な権威であるべきだと信じている。」
この論争は、パンデミックで騒々しい年だったにもかかわらず、国や地方のメディアの注目を集め、知事選挙にも影響を及ぼした。
そこで議論された話題には、タナー・クロス教師が、生物学的性別と一致しないけれども生徒が求める代名詞を使用することを否定して6月に停職になり、その後、裁判官に原状回復を命じられたケースもある。
また5月に父兄たちは、「学校をめぐる闘い」として、「好色物語」と表現できる本の抜粋を読むことになった。
教育委員会のメンバー六人が解任の標的にされ、その一人ベス・バーツさんは10月に辞任した。
現在もラウドン郡は、メリック・ガーランド司法長官と全米教育委員会協会(NSBA)に対して共和党が行っている全国的な抗議活動の最先端に立っている。
ガーランド長官は、FBI(連邦捜査局)を含む連邦法執行当局に宛てた、「国内テロ」に関する9月29日のNSBAの書簡に基づき、学校に及ぶ脅威を調査するよう指示したことについて、水曜日の公聴会の場で上院司法委員会の共和党議員たちによって非難された。
その書簡には主に、粗暴な教育委員会の会合を取り上げた20件の記事がリストアップされていた。その中には、父親のスコット・スミスがラウドン郡の教育委員会の会合で逮捕された6月22日の事件など、2件の逮捕事例が書かれていた。
スコット・スミス氏が後日語ったところでは、娘が「性差別に関して態度保留」の学校のトイレで、「スカートをはいた男子生徒」に性的暴行を受けたことで、教育委員会に抗議しようとしていたのだという。
ラウドン郡は8月に、トランスジェンダーの生徒・学生が自分の性的アイデンティティに該当するトイレとロッカー室の使用を許可した。
粗暴な14歳の生徒が5月28日と、別の高校で犯した暴行について、児童裁判所で性的暴行の有罪となった。有罪判決の後、暴行事件の際の地域行政機関の対応に抗議して、火曜日にいくつかの高校で学生がストライキを起こした。
なおスコット・スミス氏は乱暴行為を理由に、連邦検察のブタ・ビベラジ検察官に起訴され、8月に有罪判決を受けている。
ジョージ・ソロス氏が拠出した「司法と公共の安全のための政治行動委員会」から約659,000ドルを受けて、2019年に選出されたビベラジ女史はその後、解任キャンペーンの対象になった。「ラウドン郡の今日」紙によると、ヴァージニア州警察は同女史に対する威嚇の有無を調査しているという。
上院公聴会で共和党のトム・コットン議員(アーカンソー州)とジョシュ・ホーリー議員(ミズーリ州)は、司法長官に学校側の指導を質し、スミス氏の訴訟について提起した。
コットン議員によればNSBAの手紙は次のようなものだ。「スコット・スミスは、自らの15歳になる娘がトイレで、女子の衣服を身に着けた男子によって暴行されたが、教育委員会は事件を件を隠蔽した。その理由はジェンダーに関する”プライド月間”にこの事件が、同委員会のトランスジェンダー方針に抵触しかねないからだった。」
「スコット・スミスは教育委員会に赴いて娘の権利を擁護しようとして、世界から非難を浴びた。スコット・スミス氏と彼の15歳の娘に謝罪しますか、裁判官?」、コットン議員は尋ねた。
ガーランド司法長官はその暴行事件について、「私が想像できる最も恐ろしい犯罪だ」と応じた。コットン・ハーレイ両議員は司法長官の辞任を要求した。
ラウドン郡の一部の親たちは、警察のスコット・ジーグラー本部長の辞任を要求している。同本部長は地区の性的暴行事件への対応について謝罪した。教育委員会は2週間前に声明を発表し、「教育委員たちは通常、懲戒事案についての詳細を知らされないものだ」と述べ、6月22日の会議の場でスミス氏が話すことを求めたという記録は見当たらなかった、と主張した。
バージニア州知事戦ではバラク・オバマ前大統領が、文化に関する諸問題を取り巻く「偽りの怒り」について批判した。
オバマ氏は土曜日、マコーリフ候補の選挙応援に訪れ、「そうした見掛け倒し、でっち上げられた文化闘争で、右系メディアが評価を高めようとしてバラまく偽りの怒りに関わっている暇はない」、と切って捨てた。
これに対して、ペンス前副大統領が演説した際に、ラウドン郡のスーザン・フリーゼンさん(62歳)は、オバマ発言に異議を唱えた。フリーゼンさんは言う、「オバマ大統領が選挙応援に来て候補者を推薦するのに、父兄たちが何でもない事柄を大げさに言い立てている、などと発言したら、テリー・マコーリフ候補とと同じことだ。」 「オバマ氏は人々に、マコーリフ候補者がどういう立場の人かを印象付けたに過ぎない。」
ヨンキン候補は木曜日公表のフォックスニュースの想定有権者に対する世論調査で、マコーリフ候補の45%に対し53%と上回った。2週間前の同じ世論調査でマコーリフ候補は5%のマイナスだったから、実に13ポイントも上昇したことになる。
世論調査から判明した二つの重要な点は、バージニア州の父兄たちがマコーリフ候補(民主党)に断固反対に回ったことと、ヨンキン候補(共和党)が、通常なら民主党の十八番である教育問題に関して優位に立ったことだ。。
そうした父兄たちの怒りは「見せかけのものではない。それは本物の怒りだ」とペンス氏は強調し、こう言った、「その感情こそ、我が国とその子供たちへの愛情に根差すものだからだ。」