米、中央アジアへの軍事拠点を模索 ロシアは「侵略」と反発
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, November 8, 2021
バイデン米大統領は、米軍のアフガニスタン撤収を受けて、周辺の中央アジア諸国への軍事基地設置を模索している。
アルカイダ、「イスラム国」(IS)などの過激組織が、タリバン政権下のアフガンをテロ攻撃の拠点とすることを阻止するためだが、一方で、中国、ロシアも戦略的に重要なこの地域への影響力拡大を目指しているとみられている。
米国のコリン・カール国防次官(政策担当)は今月に入って上院軍事委員会で、長期的なテロ対策をめぐる質問に対し、パキスタン、ウズベキスタン、タジキスタンとの交渉を進めていることを認めた。
アフガン撤収によって米国はこの地域から事実上、手を引き、中露がその空白を埋めようとしているとみられている。米軍がこの地域に基地を設けることになれば、この地域の勢力図は大きく変わることになる。
ところが、テロ対策専門家らは、米国は中央アジアに拠点をつくることに失敗し、競合国、中国を前に後手に回っているとみている。ロシアがこの地域に歴史的に影響力を持っていることが事態をさらに複雑にしており、ロシア政府は、米国の要請を受け入れないようアフガン周辺諸国に働き掛けているという。
ロシアのラブロフ外相は、米国が中央アジアへの基地設置を模索していることについて「米国の侵略」と強く非難。リャブコフ外務次官も、「このような事態を招いたのは米国と同盟国」であり、中央アジアへの「いかなる軍事プレゼンスもロシアは拒否する」と主張した。
専門家らは、現状は安全保障上、非常に危険と指摘。トランプ政権で国務省テロ対策調整官だったナタン・セールズ氏は、「ペルシャ湾から8時間かけて無人機を飛ばすという現状は、長期的には維持できない」と、中央アジアへの軍事拠点設置の重要性を指摘、「中央アジアの国々も、アルカイダ、ISが復活し、脅威となるのを望んではいない」と受け入れの可能性はあるとの見方を示している。
中国は、現状では、中央アジアへの基地設置の意図を明確にしていない。しかし、米国をしのぐ軍事大国を目指す中国にとってこの地域への軍事プレゼンス拡大は、重要な意味を持つ。