中央北極海の商業的魅力は「限定的」-シンクタンクが予測

(2025年8月8日)

2019年8月15日、グリーンランド東部のクルスック付近で、大きな氷山を航行するボート。(AP Photo/Felipe Dana, File)

By Mike Glenn – The Washington Times – Monday, August 4, 2025

 以前から、海氷の縮小によって、北極海での商業活動と軍事活動が拡大する可能性が指摘されてきた。しかし、シンクタンク、ランド研究所の新たな研究によると、今後25年間で中央北極海(CAO)での活動は限定的なものにとどまると予測されている。

 ランド研の報告書は、CAOでの主な活動は、小規模な商業輸送と観光に限定されると予測。複数の気候モデルが予測するように、CAOが夏期に氷解することで、北極点を通過し、アジアと欧州を結ぶ季節的に航行可能なルートが開かれると指摘している。

 ただし、CAOでの漁業は少なくとも2037年まで禁止されており、その後も「商業的な魅力は限定的」となる見込みだ。新たな鉱物資源の採掘機会が地域での活動促進の要因として挙げられているが、ランド研のアナリストは、沿岸に近い地域で低コストで採掘可能なため、CAOでの採掘の魅力は限定的だと指摘している。

 また報告書は、深海採掘が海洋生態系に与える潜在的な影響について「相当な不確実性」があると指摘している。

 「この不確実性は、カナダが自国の管轄区域および公海での商業的な海底採掘に反対する要因となっている。グリーンランドも自国の水域での深海採掘を禁止しており、ノルウェー議会は2024年12月に深海採掘探査計画を一時停止した」

 北極海の船舶航行量は、高緯度地域の温暖化により、従来は航行不能とされていた海上ルートが開通したことで、過去20年間で増加した。一方、環境団体は、北極での人間の存在拡大が自然環境に与える影響について、定期的に警告を発している。

 米国は新たに開かれた極地地域への関心から、沿岸警備隊の砕氷船艦隊を拡大し、米国の主権保護、法執行、同地域での経済活動保護を強化している。

 ランド研のアナリストは「CAOで先駆的な役割を果たす最も適した主体は、既に同地域での活動計画と能力を整備した者たちだ」と記している。

 CAOでの活動拡大は、新たなプレイヤーが北極諸国の排他的経済水域や領海にまで進出する可能性を意味する。これにより、沿岸付近での安全保障上のリスクが増大するとランド研は指摘している。

 「北極諸国がこれらの影響や海洋アクセス拡大などによる結果にどう対応するかは不確実であり、将来的にCAOでの軍・法執行機関のプレゼンス拡大の可能性を示唆している」

 中国、日本、欧州連合(EU)などの非北極圏国は、CAOにおける戦略的・経済的利益を有していると主張している。ランド研のアナリストによると、これらの国々が同地域の動向に注視し、CAO漁業協定の延長が戦略的利益に合致するかどうかを検討する可能性は十分にある。

 北極圏と非北極圏の国々から中央北極海域への関心と活動が拡大しているにもかかわらず、ランド研のアナリストは、北極諸国間で「資源を巡る戦争」が発生する可能性は低いと指摘している。

 商業的に利用可能なCAOの交通から、すべての国が同等の利益を得るわけではない。ランド研の研究者は、ロシアは北極海航路の直接的な競合相手が出現すれば、深刻な影響を受けると指摘している。

 「CAOにおける資源に起因する地政学的衝突のリスクは限定的だが、偶発的なエスカレーションは常に可能性として存在する。CAOでの活動を持続させるには、しっかりとした捜索救難と災害対応への措置が取られるかどうかにかかっている。CAOの航行が可能になることは、CAOにおける安全な航行を意味するものではない」

2026年1月30日(金)、東京南部の海上自衛隊横須賀地区本部で、小泉進次郎防衛大臣が韓国の安徽博防衛大臣と会談後、報道陣の取材に応じた。(AP通信/ユージン・ホシコ撮影、資料写真)

太平洋諸国が連携強化 小泉防衛相が豪訪問、米は警戒

(2026年08月19日)
2025年2月18日、スカボロー礁上空で、中国軍のヘリコプターがフィリピン水産局(BFAR)の航空機に接近飛行している。(AP通信/ジョエル・カルピタン撮影)

中国、南シナ海で支配強化 米国務省が「安定損なう」と異例の非難

(2026年08月16日)
2026年2月12日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で、ウクライナ防衛連絡グループの会合開始を待つエルブリッジ・コルビー米国防次官(政策担当)。(AP通信/ゲールト・ヴァンデン・ワインガート撮影)

米国防当局者、中国への「現実主義」政策を提示 静かな外交、抑止力を強化

(2026年08月14日)
第93ホロドニー・ヤール独立機械化旅団の報道部が提供したこの写真では、兵士たちが2026年8月4日火曜日、ウクライナのドネツク州クラマトルスク前線都市付近のロシア軍陣地に向けて、多連装ロケットシステムBM-21「グラード」を発射する準備をしている。(イリーナ・リバコワ/ウクライナ第93機械化旅団提供、AP通信経由)

対ウクライナ・米国戦争でロシア・イランが連携 兵器、情報を供与

(2026年08月08日)
2026年7月22日(水)、コンゴ共和国イトゥリ州ブニア総合病院のエボラ治療センターで、医療従事者が救急車を消毒している。(AP通信/ディロール・ロツィマ・ディウドネ撮影)

エボラ危機、中国がコンゴで影響力拡大 米国の支援減も影響

(2026年08月07日)
韓国の李在明大統領は、2026年1月7日(水)、中国・上海で韓国メディア関係者との会合で発言した。(ハン・サンギュン/聯合ニュース提供、AP通信経由)

韓国当局、保守系米国人を出国禁止に 李大統領への名誉棄損で起訴

(2026年08月06日)
米インド太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督が、2024年8月27日火曜日、フィリピンのマニラで米インド太平洋軍主催の国際軍事会議で演説を行った。(AP通信/アーロン・ファビラ撮影)

米陸軍、西太平洋テニアン島に新型極超音速ミサイルを配備

(2026年07月29日)
写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

「中国の『超限戦』への備え不十分」専門家が警告

(2026年07月27日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
→その他のニュース