バイデン政権、1年目に候補9人の指名取り下げ
By Jeff Mordock – The Washington Times – Thursday, December 30, 2021
政治情勢が緊迫し、重要なところで失敗が続いていることもあり、バイデン大統領が指名した候補者もすぐに拒否されると思われているが、ワシントン・タイムズの分析から、指名取り下げの割合は過去3人の大統領と同等であることが明らかになった。
これまでバイデン氏は就任から現在までに9人の指名を取り下げたが、このような例は過去にもある。就任から同期間中に、トランプ前大統領が13人、オバマ元大統領が11人、ジョージ・W・ブッシュ元大統領が7人の候補指名を取り下げている。
バイデン氏は、共和党と一部の穏健派民主党員が、見解が極端すぎると訴えたため、4人の候補者を取り下げた。もう1人は、国防総省の監視団の調査を受ける中で取り下げられ、1人は「個人的理由」で脱落し、3人については理由は明らかにされていない。
元上院院内総務、トレント・ロット氏のチーフスタッフとして指名承認争いに立ち会ったデービッド・ホップ氏は、取り下げられた候補者の中には、バイデン政権が責任を負うべきものもあると指摘する。
「明らかに政府の力を信奉し、その力を究極まで行使する、非常に攻撃的なリベラル派の人々を登用したことが一因だ。あえて言えば、彼らは、オバマ政権なら指名されることはなかった」
保守系のRストリート研究所で候補指名を研究するジェームズ・ウォールナー上級研究員は、指名候補者を見極める際の方法は、両党で異なると述べた。共和党は候補者の政治的見解を重視し、民主党は不正疑惑がある候補者を排除しようとする傾向があるという。
「共和党はバイデン氏の指名の場合、イデオロギー的な理由を強調する傾向がある。バイデン氏は社会主義者という共和党の主張に合わせるためだ。一方の民主党は、スキャンダルや能力不足を強調する」
実際、バイデン氏の指名候補者の半数近くは、政治的見解が理由で取り下げられたが、トランプ氏の1年目の候補者の何人かはスキャンダルが理由で取り下げられた。
バイデン氏が銀行規制当局トップに指名したサウル・オマロバ氏は、銀行制度の抜本的改革を提案した学術論文について、共和党と穏健派の民主党議員が懸念を示したことから、先月、指名が取り下げられた。彼女の意見を反資本主義的と見なす者もいた。
バイデン氏が行政管理予算局(OMB)局長に指名したニーラ・タンデン氏は、上下両院の議員を攻撃するツイートを連発し、辞退を申し出た。
アルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)の局長に指名されたデービッド・チップマン氏は、共和党から銃規制について極端な立場を取っていると非難され、9月に指名を取り下げられた。
また、内務省のナンバー2に予定していたエリザベス・クライン氏の指名も、化石燃料反対を唱えているとしてアラスカ州のリサ・マコウスキー上院議員(共和)が反対し、上院に送る前に取り下げられた。
トランプ氏の1年目は、多くの候補者が不正行為疑惑で指名が取り下げられた。
トランプ氏が労働省長官に指名したアンドリュー・パズダー氏は、女性への対応や不法移民の長年にわたる雇用をめぐって数週間にわたり精査された後、辞退した。
トランプ氏が連邦緊急事態管理庁(FEMA)の次官に指名したダニエル・アレン・クレイグ氏は、ブッシュ政権時に政府の出張記録や勤務時間管理記録を改ざんしていたと政府監視団が結論づけ、辞退した。
トランプ氏が国際開発局(USAID)に指名したマーク・モンゴメリー氏は、米海軍の調査を受け、取り下げられた。海軍の調査では、シンガポールの防衛関連業者から接待を受け、不正な贈り物を受け取ったと結論づけられた。
一方、バイデン氏は、マイケル・ブラウン氏を国防総省の次官候補に指名したが、ブラウン氏が率いる国防総省の部隊が監察当局の調査を受け、候補から外された。監察官は、ブラウン氏が雇用規制に違反したという疑惑を検証しているとされているが、調査はまだ続いている。
ブラウン氏は、調査によって疑いが晴れることに自信を示しているが、承認が1年以上遅れる可能性もあるという。
理由はともかく、候補が取り下げられることは、政権にとって痛手であり、能力に影響を及ぼすのは間違いない。
ホップ氏は「好きで候補者を取り下げる政権はない。敗北を認めることであり、プロセスのどこかでミスを犯したことを認めることになるからだ」と述べた。
敵対政党に付け込まれるようなところがないよう細心の注意を払っても、指名が取り下げられることはよくある。
ウォルナー氏は、ブッシュ氏が最高裁判事に指名したハリエット・ミアーズ氏の例を挙げて、次のように述べた。ミアーズ氏はよく吟味されていたが、中絶や社会問題に対する姿勢を疑問視する保守派の反対で政権は不意を突かれた。
ミアーズ氏らをめぐる争いは、上院が指名権を行使することで、立法を越えて政策にも影響を及ぼしてきたことを浮き彫りにしている。
ウォルナー氏は、両党の指名争いは、米国の分断をめぐる問題を反映している。例えば、バイデン氏もトランプ氏も、ATFの長官候補指名で猛反対に遭った。最終的には、両大統領とも望んでいただけの支持が得られず、指名を撤回せざるを得なかった。
トランプ氏が指名したチャック・カンタベリー氏の場合、民主党からは「銃規制に弱すぎる」と批判され、共和党からは「この問題に積極的すぎる」と非難された。
ウォルナー氏は、「両党は対立した。上院が銃規制の議論をしないからだ。上院は、立法という点では何もしていない。上院は、人事局のようなものだ。だから人々は、議員らが指名承認でポイントを稼ぐのを見るのを楽しみにしている」と述べた。