警戒すべきクロブシャー氏の反トラスト法案
By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, January 26, 2022
バイデン大統領の支持率が下がり、米国民が日を追って彼の職務遂行能力に疑問を抱いている中、一部の民主党員らが後継者として名乗り出ている。
その中の一人、ミネソタ州選出のエイミー・クロブシャー上院議員(民主)は、「大き過ぎる」企業に有利とされる、米国の反トラスト法(日本の独占禁止法に当たる)の現行の解釈を覆そうと決意を固めている。 クロブシャー夫人が作成し、上院司法委員会を通過させた最終折衝案では、時価総額や毎月のアクティブオーディエンスで測った企業規模をもとに、米政府が介入できるようになっている。
そもそも、最初の反トラスト法を作成した独禁法取締官は、市場の力ではなく、大手企業が商品の価格を設定できるようになっているため、独占は悪いことだと主張していた。現在は違う。1970年代以降、独占禁止法の施行に当たっては、消費者の利益に焦点が絞られ、消費者にとって有害となる可能性があるかどうかが注目されるようになっている。クロブシャー夫人のアプローチ、これは、官民を問わず、企業が、彼女によって大き過ぎると見なされるものに成長した時には常に、抜本的な政府の市場介入を許すというもので、それが採用されたら、経済は破壊される。
彼女の、上院2992号法案は、独占禁止法に対する最悪の欧州式保護貿易主義アプローチを取り入れている。欧州市場は、雇用創出と経済成長に関しては米国には決してかなわないため、それは、おかしい。また、欧州市場が競争力を維持できているのは、欧州連合(EU)が、米企業が太刀打ちできないほどの努力を費やしているからだ。
中でも異様なのは、クロブシャー夫人が、上院の一握りの共和党議員を――大部分はそれほどおろかではないはずだが――彼女の法案を支持するよう説得した手法だ。中には、ソーシャルメディア上で、公の目に触れないようにシャドーバンの措置が取られ、ブロックされ、対話に参加させてもらえない保守派の問題を解決してやると言われて彼女の法案に乗った者もいたかもしれない。
それでは全く問題の解決にならない。誰が考えても、リベラル派に力を与えることが、保守派の助けにはならない。自由市場経済擁護者なら、バイデン政権に、今以上に、市場を規制するより大きな権限を与えることを快く思う人はいないはずだ。そんなことはせず、不必要で、非生産的規則を廃止すべきであり、米国のエネルギー独立を破壊し、品物不足を招き、生活必需品を手に入れるための順番待ちをさせるようなバイデン氏の行政命令を引っ込めさせることなどに努力を傾けるべきだ。
特に、自由市場制度の支持者だと思っているのなら、誰一人として、1秒たりとも、象牙の塔に住んでいるいかなる政府の役人によっても、民間部門が提供するものより良い結果が生み出されると思うはずはない。元下院院内総務、博士号取得の経済学者、ディック・アーミー氏がしばしば言ったように「市場は合理的であり、政府は能無しなのである」
クロブシャー夫人の法案は、改革ではない。米国のビジネスを進歩主義的社会主義者のアジェンダと同列にするための、大きな政府を支持する社会主義者らによる戦術的攻撃だ。彼女は、大統領職を狙っている。よく言われるように、彼女の標的は「ビッグテック(大手テクノロジー企業)」だけでない。「キャットフードから棺(ひつぎ)まで」のあらゆる業界を狙っている。警戒すべきだ。