「ジェノサイド五輪」と批判
By Valerie Richardson and Matthew Paras – The Washington Times – Monday, January 31, 2022
中国は2008年北京五輪で発展する新興国としてのイメージを世界に植え付けることに成功した。22年冬季五輪でも大国・中国のアピールに余念がないが、「ジェノサイド(集団虐殺)五輪」と批判が沸き起こるなど、国際社会からの反発は根強く、選手の逮捕、拘束の可能性まで指摘される「異常事態」となっている。
人権団体アムネスティ・インターナショナルの中国研究者、アルカン・アカド氏は、「世界は08年北京五輪後の教訓を忘れてはならない。中国政府は人権状況の改善を約束したが、実行されなかった」と指摘、「冬季五輪を単なるスポーツウオッシング(スポーツイベントを利用し、悪評を浄化すること)にさせてはならない」と警告した。
五輪ボイコットを主張してきた米プロバスケットボール協会(NBA)、ボストン・セルティックスのエネス・カンター・フリーダム選手も、「中国共産党は五輪の中心的価値観である卓越、友情、敬意を代表していない。こうしている今もジェノサイドは起きている。北京五輪のメダルは恥のメダルだ」と、開催そのものを強く非難している。
米国が主導した外交ボイコットについては、米ジョージタウン大学の歴史学教授、ジェームズ・ミルワード氏が「(選手らの夢を壊すことなく)中国に『これまでと違う異常事態』というメッセージを送ることはできる」と、一定の効果に期待を表明した。
その一方で、北京冬季五輪組織委員会対外連絡部の楊舒副局長が「五輪の精神に反する」発言をした選手の逮捕、拘束の可能性を警告し、人権団体などが反発している。
ヒューマン・ライツ・ウオッチの上級研究員、王亜秋氏は、ワシントン・タイムズに対し、選手らは「安全のため、発言には慎重を期すべきだ」と述べた。
共和党のマイケル・マコール下院議員は1月31日のヘリテージ財団のイベントで、「米国内で中国共産党を批判したことのある米国人選手は逮捕され、終身刑を科される可能性すらある」と指摘、国務省に選手らの保護を求めた。