揺れるヨーロッパ戦線
By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, February 24, 2022
さあ、始まった。しかし、ロシアによるウクライナへの攻撃後のことについて問題は、それが、どこで、いつ終わるかということである。国際協定を侵して戦争に突入した人たちへの懲罰の話は後回しにすることにする。怒りと、仕返しの悪魔らは、ひとたび解き放たれると、再び捕まえて、拘束することは容易ではないからだ。
世界中の多くの人々が破壊の閃光(せんこう)を目撃するにつれ、記憶に長く残っている認識が再浮上する。弱さの結果として生まれるものが戦争である。しかし、だからといって、こんなふうに、必ずしも、事が進展しなければならなかったわけでもない。
ロシアのプーチン大統領は軍隊を派遣して、よその主権国家で暴れ回り、旧ソ連の再建に着手するという長年の夢の実現に踏み出した。ポーランド、スロバキア、バルト3国のような、他の元の衛星国は、北大西洋条約機構(NATO)の保護下にあって、まとまっていたら、プーチン氏がむさぼり食おうとすることはないだろうと思っている。防御を目的としたNATOは、創設の目的だったロシアの脅しのようなことに、いまだかつて直面したことはなかった。
高校で「歴史」がまだ必要とされ、第1次世界大戦や第2次世界大戦を勉強した世代の米国民は、次の世界的な大混乱に火が付くのを目撃することになるのだろうかと思いを巡らせている。世界の平和を享受してきた彼らは、ほとんど、この不安な瞬間を目撃することがあるとは想像したことはなかった。
バイデン大統領は、この恐ろしい出来事を和らげるために何もしてこなかったに等しい。彼は、ある声明文の中で「プーチン大統領は、破滅的な人命の喪失と、人類の苦しみをもたらす、あらかじめ熟考し、計画していた戦争を選択している」と当たり前のこと指摘したにすぎない。これまでのところ、彼の選び取った武器、すなわち、経済制裁は、プーチン氏を冷笑させているだけである。
グテレス国連事務総長は、その立場上、侵略者に対抗する十分に重みのあるツイッターを掲げている。つまり「人類の名において言うが、プーチン大統領よ、あなたの軍隊をロシアに撤退させよ。この紛争は、今すぐに中止されなければならない」。それを強制するには、ほぼ無力な類いの強い口調だったが、道徳的権限などというものは、鉄製の武器にかなうはずがない。
4分の3世紀の間、国連は地球という惑星の権威主義者らに武力衝突を止めるように懇願してきた。時には、その世界的機関は、青いヘルメットをかぶった平和維持軍を配備しさえした。しかし、最近の国連の主な関心事は、気候変動から地球を救うことに移っている。
ウクライナに対して世界から警告が発せられている最中であるが、世界を支配している平和を打ち砕いている責任はプーチン氏に課さなければならない。もっとも、米国の筋肉がたるんでいるとロシアがしゃきっとする事実は否定できない。モスクワの独裁者は、バラク・オバマ大統領が「背後から指導する」と訴えていた時代にクリミアを併合したが、四角いあごのドナルド・トランプが出馬した時には、手も足も出さなかった。
バイデン氏が2021年にアフガニスタンから無策な撤退をしたことを受けて、ロシアの熊は、再び檻(おり)から放たれて暴れだしている。悲しいかな、弱さのために、戦争をする機が熟した。