砲撃受け避難、家族と離れ離れも-ウクライナ
By Joseph Clark – The Washington Times – Wednesday, March 2, 2022
【プシェミシル(ポーランド)】ポリーナ・マカロバさん(29)は、人生の中で最も難しい選択を下した。2月24日早朝、ウクライナ東部のハリコフの自宅近くで発生した爆発の音で目覚めた。
ポリーナさんによるとこの8年間、戦争の脅威がなくなることはなかった。しかし、ロシア軍の砲兵隊の砲弾が市内に着弾し始めた時は驚いたという。ハリコフは、首都キエフに次ぐ、同国第2の都市だ。
「いつも戦争の話をしていた。でも、砲撃で目覚めた時、現実とは思えなかった」
侵攻初日の午前5時、アパートで必需品を集め、女性の家族6人と共にハリコフの南西にある別荘に向かった。
夫のオレクシーさんはアパートに残った。
運転中、ラジオで情報を集めた。一緒にウクライナを離れなければならなくなるということが分かったという。すぐにポリーナさんは、オレクシーさんにはもう会えないかもしれないと思った。やむなく、西に向かい、4日間でポーランド国境に到達した。
この1週間、数十万人のウクライナ人が、家を出たり、家族と離れ離れになったりするかどうかの厳しい選択を迫られた。ロシアの侵攻によって、この数十年間で最大規模の欧州への移民が発生するのではないかと懸念されている。
国連の3月1日の発表によると、侵攻開始以来、女性、子供を中心に83万人以上が隣国へと避難した。ポーランドだけで、50万人以上を受け入れている。ウクライナとの国境線は約530キロあり、ポーランド当局は、毎日、5万人超の避難民が到着するとみている。
国境から数キロ、ポーランド南東部にある古くからの交易の町には、人道的な惨状をめぐる証言が相次いでいる。
ポーランド、モルドバ、スロバキア、ルーマニアの国境検問所は、何とか戦闘を逃れてきた人々であふれている。ポリーナさんのように、車で来る人も多い。何時間も、時には何日間も車列で待ち、ようやく国境に到達する。込み合った列車やバスに何日も乗って来る人もいる。歩かざるを得ない人もいる。いつ帰ってこられるかも分からないまま、身の回りのわずかの物だけを持って祖国を出てきた。
ポリーナさんも、家族、近親者ら6人が乗った車で終わりの見えない旅をした。その間、家族、友人、知人らと一緒にいた。夜は不気味な空襲警報のサイレン、上空を飛び交う軍用機やロケットの音で眠れなかった。
国境に到達してようやく安心感が得られるようになったと言う。
ポリーナさんは「ポーランド国境に近い人々の列を爆撃することはないだろうと思っていた」と話した。