勢いづく共和党、大統領のお膝元でも上下両院の議席を確保?

(2022年4月26日)

2019年12月19日(木)、ワシントンのキャピトル・ヒルで日の出前に、ワシントン記念塔の下部(左)の隣に見える米国連邦議会議事堂(中央)。(AP Photo/Julio Cortez)

By Susan Ferrechio – The Washington Times – Wednesday, April 20, 2022

 合衆国議会・上下両院の共和党は、11月の中間選挙で予測される共和党優勢の波が、2020年選挙でバイデン候補を支持した民主党の基盤までも飲み込む、と鼻息が荒い。

 その強気ムードを後押しするように、水曜日、二つの著名な選挙予想機関が、合衆国議会の16議席をめぐる選挙レースを共和党優勢に変更した。

 バージニア大学・政治センターのラリー・サバト氏が運営するクリスタル・ボールは、11議席をめぐる選挙戦を共和党優勢に改めた。クック政治レポートとクリスタル・ボールが見通しを下方修正した現職の民主党議員のうち、6人は2018年または2020年に選出された。

 トム・エマー議員(ミネソタ州、共和党)は最近の記者ブリーフィングで、「ニューイングランド州でも議席を獲得する、今から断言しておく!」と言い切った。同議員は共和党議員団の選対部門にあたる全国共和党議会委員会の委員長だ。

 上院・共和党も野心的な選挙目標を掲げている。上院の野党幹部ミッチ・マコーネル議員(ケンタッキー州、共和党)が握っている政治行動委員会の上院幹部基金は、共和党が11月に奪還を目指している各州での選挙関連広告に1億4,100万ドルを費やす計画だ。

 その対象にふくまれるアリゾナ、ジョージア、ネバダ各州では、民主党の現職議員たちが、バイデン大統領と民主党の政策に不満をならす有権者に苦慮している。

 共和党の上院幹部基金は、2021年1月のジョージア州での決選投票で、民主党のラファエル・ワーノック氏に引っくり返された議席を取り戻そうと、同州だけで3,710万ドルという多額の資金を費やす計画だと、同基金関係者が月曜日に公表した。

 共和党議員たちは、2020年にバイデン氏に持っていかれた選挙区で、60議席を確保するという大胆な目標を掲げた。その中には、ニューイングランド州で民主党が保有している6議席、ニューハンプシャー州の2議席、コネチカット州の2議席、そしてメーン州とロードアイランド州で各1議席を見込んでいる。

 下院・共和党の選挙目標には、バイデン大統領が10ポイント以上の差で制した32選挙区がふくまれている。

 それに該当する議席のうち2議席はコネチカット州で、ジョー・コートニー議員とジャハナ・ヘイズ議員が再選を目指す。ロードアイランド州での1議席は、現職ジム・ランゲビン議員(民主党)が引退して空いた議席を共和党が狙っている。

 コネチカット州では、2005年にナンシー・ジョンソン議員が2期目で最後の任期に再選されて以降、共和党議員を下院に送れていない。ロードアイランド州でも30年間、共和党員を下院に選出できずにいる。

 超党派の選挙分析サイト「インサイド・エレクション(選挙の内幕)」の編集・発行人ネイサン・ゴンザレス氏がワシントンタイムズに語ったところでは、共和党のグレン・ヨンキン氏をバージニア州知事に選出し、ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事を敗北の瀬戸際に追い込んだ2021年の選挙で、民主党は次のメッセージを受けるべきだった。共和党は2022年選挙の標的に、バイデン側が勝利した選挙区を追加するだろう、というメッセージだ。

 「共和党はできるだけ多くの選挙区で、信頼できそうな候補をなるべくたくさん立てて、彼らの知名度を上げる機会に利用すべきだ」、ゴンザレス氏は語った。「共和党が候補者リストを絞り込み、お金を掛けるべき選挙区を特定するには少なくとも数か月かかるだろう。今のところは、せいぜい高望みをしていればいい。」

 実際、共和党の標的には、かなり野心的な議席がある。ゴンザレス氏が見込みあり、と示唆したのは、民主党が確保しているニューイングランド州の2議席と、コネチカット州のヘイズ氏と、メーン州のジャレッド・ゴールデン議員(共和党)だけだ。そのヘイズ氏に関しても、民主党が制する可能性もある、と付記している。

 ロードアイランドの選挙区では、ランゲビン氏の引退で空席になり、トランプ大統領に対抗したバイデン氏が14パーセントの得票差をつけて勝った。ニューハンプシャー州の下院の2選挙区からは、民主党のクリス・パッパス議員とアン・クスター議員が選出され、大統領選挙でもバイデン氏がそれぞれ6ポイントと、約9ポイントの差をつけて制した。

 うねりを挙げる共和党優位の波に同党が期待している背景には、バイデン大統領と合衆国議会の民主党が執心している政策課題に、有権者がうんざりしていることを示す世論調査がある。議会が増税・歳出政策と、気候変動対策に焦点を置く結果、高インフレとエネルギー価格の高騰を招いている、多くの国民がそう感じていることだ。

 コロナウイルスによる封鎖・義務が延長され、南部の国境からは数万人の不法移民が数か月も続いて流入しており、一部調査でのバイデン支持率は30%後半にまで押し下げられた。

 民主党内の声高で影響力のあるリベラル派への不満、例えば警察への予算抑制をしたり、批判的人種理論やLGBTQ問題などで「目覚めた」学校カリキュラムを適用することに高まる不満の波に、共和党は乗っているのだ。

 「率直に言って、民主党も我々と同じものを見ているはずだ」、共和党のエマー議員は言う。「有権者は、価格高騰、犯罪の急増、南部の国境を危機にさらしている過激な左翼的アジェンダを支持などしていない!」

 一方、民主党の選対関係者は、自信満々の共和党を嘲笑している。民主党側に言わせれば、11月の選挙でバイデン氏の名前は投票用紙に載らないが、民主党候補者は結構いい線を走っている。

 民主党議会選対委員会のクリス・テイラー広報担当は、民主党候補者は最も弱い選挙区でも8千万ドルの手持ち現金がある有利さを指摘した。

 テイラー氏はさらに、民主党はそれらの資金を使って、バイデン政権下での経済成長を促し、共和党のアジェンダ、中もリック・スコット上院議員(フロリダ州)の提案を暴露すると主張した。上院・共和党キャンペーン部門のスコット議長は、最低所得レベルの人々にも税金支払いを要求し、5年ごとに全ての連邦法を廃止していくことを提案した。共和党幹部でさえ、その計画には反対している。

 「合衆国議会の民主党は、アメリカに危険なアジェンダを暴き出して、経済再生し790万人の雇用を創出したのは民主党だということを有権者に納得させる軍資金を確保した」、テイラー氏は明言した。

 民主党は予備選挙中に、トランプ氏が推薦した候補者と、伝統的な共和党候補者とが対決している事実を指摘した。

 ウィスコンシン州の合衆国議会第3選挙区では、退役・海軍特殊部隊出身のデリック・ヴァン・オーデン氏が、引退間近のロン・カインド民主党議員に長年占められてきた議席を目指して、共和党予備選に勝利する構えだ。

 トランプ氏の推薦を受けたヴァン・オーデン氏は、2021年1月6日の暴動の際には合衆国議事堂にいなかった。しかし民主党は連邦選挙委員会に対して、ヴァン・オーデン氏が合衆国議事堂への旅行費用に選挙資金を不適切に使用した、との訴状を提出した。

 「あなたはウィスコンシン郊外で、候補者に選挙運動をさせるつもりか?」、民主党の選対幹部は語った。

 ヴァン・オーデン氏は自らが議事堂にいたことを認めたが、群衆が警官隊を押し戻し、議事堂に突入したとき、その場を離れたと説明している。

 ところでテキサス州で、民主党の政治的視界がいくぶん明るくなった。庶民に人気のある民主党の穏健派、ヘンリー・クエラー議員が長い間抑えてきた合衆国議会第28選挙区を、共和党が狙い続けてきた。

 連邦捜査局(FBI)は一月、アゼルバイジャン関連の捜査の一環として、クエラー議員宅を捜索した。その数週間後、クエラー議員はテキサス州の民主党予備選挙で投票の50%ラインをクリアできず、ジェシカ・シスネロス女史との決選投票を余儀なくされた。

 「グリーン・ニューディール政策」のような極左的思考を受け入れるシスネロス女史なので、穏健な選挙区での予備選は、共和党候補にとって実に容易だったはずだ。彼女はFBI捜査の件を大々的に取り上げ、クエラー議員が地域に利益をもたらさなかった、と非難した。

 しかしクエラー議員の弁護士は先週、FBIが同議員への疑いを晴らし、当局の捜査対象ではない、と発表したのだ。クエラー氏は5月24日の決選投票で、シスネロス女史と対戦することになる。民主党の消息筋はワシントンタイムズに語った、「彼(クエラー議員)は地域への忠誠心と絆を保持している」、「彼はうまくやるだろう!」

トランプ次期大統領、就任初日に「女子スポーツから男を締め出す」

(2024年12月25日)

米新型砕氷船の建造計画に大幅な遅れ 北極圏で安全保障上のリスクに

(2024年12月20日)

性自認巡りハリス氏を批判 トランプ氏の勝因に-調査

(2024年12月03日)

トランスジェンダーの女性トイレ使用禁止 共和議員が決議案

(2024年11月20日)

トランプ新政権、2期目も「ハネムーン」なし

(2024年11月19日)

トランプ氏再登板は東南アジア各国に利益

(2024年11月15日)

トリプルレッド、第2次トランプ政権も政策目標達成に障害か

(2024年11月14日)

猫を飼う女性はハリス氏、犬派はトランプ氏-大統領選調査

(2024年11月12日)

トランプ陣営が次期政権の人選開始 国防長官候補にポンペオ氏の名も

(2024年11月09日)

トランプ氏の地滑り的勝利で政界激変

(2024年11月08日)
→その他のニュース