ハイテク化する戦場、無人機がウクライナ戦争を一変
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, May 16, 2022
巨大な装甲車団を一般の道路に沿って移動させるという100年来のコンセプトは、ハイテク化した今日の戦場ではあまりにも危険かもしれない。監視能力と精密兵器の飛躍的な進歩により、軍の補給線はかつてないほど脆弱(ぜいじゃく)になっている。
おそらく最も重要なのは、小型で安価な武装無人機だろう。無人機は戦争を根幹から変え、従来の軍事思考を覆してしまった。無人航空機は、世界中の軍隊に優先順位の再検討を迫り、突如脆弱になった部隊や車両、装備を無人機攻撃から守る技術に多額の投資を行わせている。
戦闘が始まってからわずか11週間だが、これらは戦略家や司令官たちがロシア・ウクライナ戦争からこれまでに得た教訓のほんの一部にすぎない、と専門家は指摘する。
これらの技術は、ロシアがウクライナで遭遇したのと同じ悲劇を米国と西側同盟国が避けるのに役立つだろう。短期間での勝利が想定されたが、収穫がほとんどない血みどろの行軍になってしまった。実際、ロシアとウクライナの戦争は、過去10年間で戦闘の性質がいかに大きく変化したかを浮き彫りにしている。
それはロシア軍の戦車部隊の惨状を見れば明らかだ。ウクライナ軍が配備した比較的安価なトルコ製無人機と米国製対戦車ミサイル「ジャベリン」によって破壊されたのだ。ウクライナ侵攻前、古びた戦車の将来が疑問視されていたが、ロシアは戦車を守れず、新世代の対戦車能力に対抗できなかったことが、ウクライナで苦戦する一因となった。
「現代の『キルチェーン』がこの種の車両や車列を非常に脆弱にしていることは確かだと思う。位置や場所が固定、または予測可能な場合は特にそうだ」。ブルッキングス研究所の上級研究員で外交政策調査部長のマイケル・オハンロン氏はこう指摘した。
威信を誇っていたロシア軍がこれまでのところ、事実上、すべての目標で失敗している戦争から、オハンロン氏や他の専門家たちは明確な教訓を引き出している。ロシア空軍はウクライナの空域を支配することができず、ロシア軍はキーウ攻撃から撤退し、広く宣伝されている東部ドンバス地方の地上攻撃でさえも、実際の成果を挙げられないでいる。
軍隊が戦場でロシアの悲劇を避けようとするなら、多くの新しいアプローチを採用すべきだと、オハンロン氏は主張する。「無人機など現代の兵器は、見えれば殺せるというところまできており、指揮・統制・サイバーなどへの攻撃を通じて敵のキルチェーンを断ち切ることをより重視する」ことなどだ。
言い換えれば、司令官たちは隠れる場所がほとんどないことを承知で軍を指揮しなければならなくなる。
オハンロン氏は、21世紀の軍隊は「下車歩兵で守れる場合を除き」、舗装道路の使用を減らすべきであり、戦車、兵士、補給線をより保護するために、紛争初期に航空優勢を確立することにもっと資源を投入すべきだと指摘した。
兵站(へいたん)(部隊に食料や兵器を提供し、戦える状態に保つこと)についても、ウクライナの経験に基づき厳しい目が向けられている。
補給線の脆弱性は、ロシア軍がウクライナで予期せず直面した最も重要な課題の一つだ。戦争初期にロシアがキーウ攻略に照準を合わせていた時、戦車の燃料切れによりロシア軍の大規模な車列がウクライナ首都郊外の高速道路で立ち往生した。ハリコフや他の東部の戦場では、ウクライナ軍がロシアの補給線を執拗(しつよう)に狙い、部隊からガソリンや食料を奪って進軍を止めた。