ロシア軍、数週間ぶりに首都キーウ攻撃
By David R. Sands – The Washington Times – Sunday, June 5, 2022
首都キーウ(キエフ)の住民は5日早朝、ロシアのミサイルが郊外の二つの地区に落ちたことで、ウクライナがまだ戦争中の国であることを思い知らされた。
両国は、キーウへの攻撃は4月下旬以来、初めてであることを認めた。
ロシアが2月24日に隣国ウクライナに侵攻した後、首都への直接攻撃が計画されたが、ウクライナ軍によって阻止され、ここ数カ月の戦闘はほとんどすべて、キーウから遠く離れたウクライナ東部と南部地域に集中している。
ロシア国防省は声明で、「精密」攻撃は、東欧諸国から供給されたT72戦車や自動車修理工場にある装甲車など、侵略者を撃退するためにウクライナに流入する米国や西側の軍事援助を狙ったものだと発表した。
AP通信によると、ウクライナ政府は、国営鉄道会社ウクルザリズニッツァの施設も攻撃されたと発表した。
東部の都市ドルジキフカでもロシア軍の空爆で建物が破壊され、少なくとも1人が死亡したと、ウクライナ当局者が5日に発表した。AP通信によると、ロシア国防省は、ウクライナ東部のドネツク地域で、破損したウクライナ軍の装備を修理していた作業場を破壊することを目指していると述べた。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナに入る物資、特に米国と英国からの長距離ロケット砲に苛立ちを示した。これによって、ウクライナの紛争地ドンバスで現在進行中の消耗戦の流れを変えることができると言う人もいる。
プーチン氏は国営テレビ「ロシヤ」に対し、「まだ攻撃していない標的を攻撃する。武器の追加供与に関するこの騒ぎは、私の考えでは、目的はただ一つ、武力紛争をできるだけ長引かせることだ」と述べた。
キーウ当局によると、ロシアの TU95戦略爆撃機がカスピ海で発射した長距離空中発射ミサイルが攻撃に使われたようだという。ロイター通信によると、首都近郊の二つの地区で黒煙が確認されたという。
戦闘が他の地点に集中していた間、首都の生活はこの1カ月でサービス再開や公共交通機関の路線再開など、平常に近い状態に戻りつつあるとされた。欧米のトップが首都を訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、米国は外交官を戻し、大使館を再開した数ある国のうちの一つとなった。
ウクライナ大統領顧問のミハイロ・ポドリャク氏は、「クレムリンは新たな陰湿な攻撃に手を染めている。きょうのキエフへのミサイル攻撃の目的はただ一つ、できるだけ多くの人を殺すことだ」」とツイートした。
この攻撃による死者はまだ報告されておらず、攻撃後1人が入院したと伝えられている。
ウクライナ側は、東部の戦闘で勢いを取り戻したと主張し、ロシアに支配されていないドンバス地域最大の都市セベロドネツクへの激しい攻撃で、ロシア軍からいくつかの地点を奪還したとしている。
戦闘に関する最新情報を毎日発表している英軍情報部は、ウクライナの反撃が、この地域における最近のロシアの進撃の勢いを「鈍らせた」としている。最初の侵攻部隊に大きな損失を出したため、ロシアの司令官は親モスクワのウクライナ分離主義勢力から予備役を配備し、戦いに慣れたウクライナ政府軍に対抗しようとしていると言われている。
英軍の発表は、「これらの部隊は装備や訓練が不十分で、ロシアの正規部隊に比べて重装備が不足している」とした上で、この動きは「ロシアの正規部隊が受ける被害を抑えることを狙ったものだ」と指摘した。