コーヒーメーカーまでも中国スパイ活動の道具に
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Tuesday, June 14, 2022
起床時の最悪の事態は、あなたのコーヒーカップの中で中国のスパイ活動が行われることかもしれない。
米国の研究者クリストファー・ボルディング氏は、中国は同国で製造されたスマートコーヒーメーカーを通じて集めたデータを吸い上げているという証拠を見つけたことを明らかにした。
(中国のデータ収集活動を調査している)「ニュー・カイト・データ・ラボ」のボルディング氏の報告書によると、インターネットに接続されたコーヒーメーカーの問題は、セキュリティーが低く、データポリシーが不明確なIoT(モノのインターネット)機器を標的にした、広範なデータ収集活動の一部になっていることだ。
IoT家電には、ロボット掃除機や機械学習で快適な温度を保つサーモスタットなどがある。
「中国は本当にありとあらゆるデータを集めている」とボルディング氏。「世界の製造拠点として、中国はこの機能をあらゆる種類の機器に搭載し、世界中に送り込むことができる」
ボルディング氏は、問題のコーヒーメーカーは、中国江蘇省のカラーム社製だと指摘。ニュー・カイト・データ・ラボの報告書によると、このコーヒーメーカーは製品情報、支払いデータ、場所や時間に関する顧客情報を収集しているという。
このデータから、ユーザーの名前、相対的位置、使用パターンを知ることができる。ホテルの朝食ビュッフェなどの商業施設では、コーヒーメーカーが支払いの種類や経路情報を収集する可能性がある。
ボルディング氏は、同氏の調査会社がどのように情報を入手したかは公表しないと語った。中国のデータ収集の実態をもっと知ることを中国に止められたくないためだ。
ニュー・カイト・データ・ラボの報告書は、データが中国の消費者から収集されたものであることを明記している。しかし、この製品は米国や欧州で広く販売されており、中国の機器から流出したデータは、米国の機器から取得された可能性が高いとしている。
報告書は「この会社が中国人以外のユーザーのデータを収集しているとは言えないが、同社の機器が中国本土以外のユーザーのデータを収集し、そのデータを中国で保存できることを示すすべての証拠がある」と指摘。「データはコーヒーメーカーに組み込まれたソフトウェアから操作の時点で収集される」という。
ニュー・カイト・データ・ラボは、中国政府がカラーム社によって集められたデータを使用していることを示す証拠までは示していない。
それでも、中国の軍民融合政策は、企業に共産党政権への協力を義務付けている。つまり、中国で保存されたデータは政府に渡されるのだ。
カラーム社にコメントを求めたが、応じなかった。
隠れたデータが危険にさらされる脆弱(ぜいじゃく)なインターネット接続機器は、スマートコーヒーメーカーだけではない。スマートフォンに接続したり、またはカメラやマイクを内蔵して音声命令を感知・応答する機器もあり、メーカーが利用できるデータは増えている。
ロボット掃除機の中には、マイクを使ってユーザーの命令に応答するものがある。これらの掃除機は、アップルやグーグルのアプリストアから入手可能なアプリで操作することができる。
ボルディング氏は、中国はできる限りのデータを集め、それをどう使うかは後で決めるという明確な立場で活動していると指摘する。
「ある程度の規模があるほとんどの国は、おそらくこのような機器に関心を持っている。それは間違いない」とボルディング氏。「中国がユニークなのは、そのデータ収集活動の幅と深さだと思う」