アフリカでクーデター多発、中露の影響拡大が一因
By Guy Taylor – The Washington Times – Thursday, June 16, 2022
アフリカで軍事クーデターが増加している。専門家らは、この地域での中国とロシアの影響力の拡大と、米国が一貫性のある政策を取ってこなかったことが一因と指摘している。
この2年間にアフリカ7カ国でクーデター、クーデター未遂が発生した。発生のペースは過去40年で最も早い。チャド、マリ、スーダン、ブルキナファソ、ギニアでクーデター、ギニアビサウとニジェールでは未遂に終わった。いずれも、天然資源が豊かな国々だ。
民族紛争、腐敗、政府の統治の失敗などさまざまな原因が考えられているが、あまり指摘されていないのが、中露の影響だ。両国は、アフリカで影響力を拡大し、経済的利益を獲得することを目指しており、中露への接近が脆弱(ぜいじゃく)な体制内で反民主主義的な勢力が力を付ける一因となっているという。
米シンクタンク、平和研究所アフリカ・センターのジョセフ・サニー所長は、国連安保理常任理事国である両国が、アフリカでクーデターを起こしやすい環境をつくり出したと指摘する。「クーデターに対して安保理が制裁を科そうとしても、中露が反対することが分かっているからだ」(サニー氏)。
最も顕著なのはマリだ。2年前のクーデターで軍事政権が権力を奪取すると、2021年末に中露は、選挙の実施や民政復帰の約束を守らなかった軍事政権への国連制裁に反対した。
だが、クーデターによって、国内が経済的、政治的に安定することはほとんどない。テキサス州のアンジェロ州立大学助教、ウィリアム・テイラー氏は、「多くの場合、クーデターで安定は損なわれる。権力を握った軍部は、統治の経験がなく、権力に執着するため意味のある改革ができないからだ」と指摘した。
米国は軍事協力に積極的で、経済支援も最大だが、外交、経済的関与という点でこの10年間、中国に後れを取っている。
サニー氏は、アフリカで中露に対抗するには、「戦略的ビジョンとリーダーシップが必要であり、それには米国からの一貫性のあるアフリカ政策が必要だ」と訴えた。