安倍晋三元首相暗殺後の攻撃的なメディア報道に対する旧統一教会の反論
By Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, August 10, 2022
統一教会(「現:世界平和統一家庭連合」)は水曜日、安倍晋三元首相の暗殺後に日本で行われている、いわゆる「偏向報道」に反対し、この1カ月間の「悪意ある攻撃的な報道」には「ヘイトスピーチ」と「宗教的差別を助長する内容」が含まれていると主張した。
主に左寄りの報道機関から発信される報道は、「宗教的迫害」とも呼べるもので、信者に対する暴力を引き起こす危険性すらあると、世界平和統一家族連合(FFWPU)の日本の会長である田中会長は述べている。
「全国の教会に『殺すぞ』と叫ぶ脅しや脅迫電話、街宣車での大音量による罵声、そして集会妨害、一般信徒の自宅にまで,夜に朝に押しかけてのメディアからの過剰取材が行われている」と、 田中会長は東京での記者会見で語った。
安倍氏暗殺事件の後遺症の真っ只中でFFWPUが警察に協力する過程において、驚くべき展開が起こっている。この事件が、日本における宗教と政治の微妙な交わりにスポットライトを当てることになったのである。 当局によると、7月8日の殺害事件の捜査は依然進行中で、安倍氏の銃撃犯とされる山上哲也容疑者に対する精神鑑定が少なくとも11月下旬まで続くという。
元首相と保守的なFFWPUとの関係に腹を立てて安倍氏を標的にしたという41歳の容疑者の主張は、日本で活発な議論を引き起こしている。
教会の関係者らは、不当な取材により、まだ捜査が継続中であるにもかかわらず、日本国内のFFWPUに対する批判が、暗殺容疑者に対する批判よりも激しくなる「奇妙な状況」が続いていると話す。
「未だ容疑者の犯行に及んだ動機の詳細に関しては捜査本部からも正式に発表されておらず、私どもも、現在なお、捜査本部からの要請を受けて全面的に協力させていただいているところであります」と水曜日、田中会長は述べた。
銃撃事件容疑者の精神の正常さに関する疑問があるにもかかわらず、マスコミは、山上氏が母親が統一教会に多額の寄付をしたことに憤慨して暗殺を実行したという話を続けている。
日本のメディアは、山上氏が暗殺の数日前に書いたとされる手紙を発表した。この手紙では、献金が家族を破産させたと主張している。
しかし、なぜ容疑者が直接FFWPUではなく安倍氏に憎しみを向けたのかその理由は依然不明だ。ある記事によれば、元首相を日本で最も著名なFFWPUへの協力者の一人と見なしていたことや、また、ある教会関係者を標的にしようとしたが失敗したことを理由に、安倍氏を教会への復讐行為の標的にしたとある。”
安倍氏は、日本の伝統的慣習の復興を推進したナショナリスト、保守主義者として広く評価されていた。 彼はFFWPUの会員ではなかったが、自民党の保守派の支持を得ようとして、他の多くの信仰基盤組織とも積極的に関係を築いてきたことが知られている。
元首相は昨年9月、FFWPUの友好団体であるUPFが主催した「希望前進大会」というイベントに事前録画された映像メッセージを提供した。
主催側は、当該行事は、自由と世界平和、保守的な家族の価値形成を促進するため、国際的な著名人を一堂に集めるためのものであり、同時に、南北の非暴力的な統一に向けた努力にも注目を集めるためのものだと述べた。
安倍首相はその集会で、「日本、米国、台湾、韓国など、自由と民主主義の価値を共有する国々のさらなる結束が求められている」と述べた。
彼は事前に録画したビデオメッセージで、「自由と民主主義の価値を共有する国々の団結、台湾海峡の平和と安定の維持、そして朝鮮半島の平和的統一の実現を成し遂げるためには、とてつもない情熱を持った人々によるリーダーシップが必要です。この希望前進大会が大きな力を与えてくれると確信いたします。」と述べた。
このメッセージは、中国と中国共産党の軍事的、経済的な動きに対する国際的な懸念が高まっている中で、世界中の保守派の反響を呼んだ。
しかし、暴力的な事件が極めてまれな国で起きた安倍氏の衝撃的な暗殺は、共産主義政府による宗教的抑圧に抵抗してきた長い歴史を持つ統一教会と与党自民党との間の交流に関する新たな疑念を引き起こした。
日本共産党内の一部を含む日本の左派の政治活動家たちは、FFWPUと日本の国会議員の「癒着」に関する調査を要求している。
教会はそのような証拠はないと主張している。 しかし、複数のメディアと政治的圧力のキャンペーンは、政府と日本における統一教会の活動の関連性を明らかにするようにという左派議員の圧力に直面した岸田文雄現首相にまで及んでいる。
岸田首相は水曜日、内閣改造を発表した。これは、政府に対する支持率の低下に拍車がかかっているからであることと、東京の政界関係者が言うには、FFWPUと過去に関係性を持つ人々を再配置または降格させるためのものであるとした。岸田首相は、統一教会との関係を見直すことに同意した閣僚だけを任命したと述べた。
「宗教の自由は保証されなければならない」と彼は言った。 「しかし、政治家は問題視されているグループとの関係を築く際には注意する必要がある」
だが、自民党の中にはそうした方針に批判的な議員もいる。 党の若手重要人物である福田達夫氏は7月下旬、「正直に言って、何が問題かよく分からない」と記者団に語った。
田中会長は東京での記者会見で、安倍首相や自民党指導部のような保守的で反共的な政治家と、同じような価値観を共有する教会とが、共通する主義主張を持つことは当然だと語った。 彼は統一教会による「政治的干渉」はないと否定し、岸田氏の発言を「遺憾である」と語った。
「私たちは、より良い国を作るために、共産主義に反対する明確な見解を持つ政治家たちと協力してきました」と田中氏は言った。 「私たちは、日本だけでなく、共産主義に反対する世界的なネットワークの一部として、この活動を続けていきます。」
FFWPUの文書は、数十年に及ぶ組織の良き経験として、安倍首相の祖父であり1957年から1960年まで首相を務めた岸信介氏と信頼関係を築き、日本における共産主義の拡散に対する米国の懸念を共有して、共に歩んだことを誇りに思うと表明している。
統一教会は1954年に文鮮明師によって設立された。 彼は共産主義の北朝鮮の抑圧の中で育った、宗教の自由の為に戦う冷戦下の戦士である。 文師の令夫人である韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏は2012年に文師が死亡した後、FFWPUを率いてきた。 2人は、世界平和と朝鮮半島の統一のために生涯を捧げてきた。
韓国で、文師によって始まった小さな教会は、今や、数十年の歳月を経てグローバルな精神運動を行い、同時に病院、大学、ワシントンタイムズをはじめとする新聞など、50カ国余りで数百件のベンチャー企業で構成された複合企業へと発展した。
統一教会は1959年に日本初の支部を開設し、現在では約30万人の信者を持つようになった。1980年代の日本の経済力の発展とともに、会員数と会員からの資金援助も増加した。
田中会長は水曜日、教会が献金に関する訴訟に直面していることを認めたが、2009年の改革では「財産に比しての高額な献金が行われないよう」コンプライアンス対策が確立されたと述べた。
「振り返って、私どもの法人にとって、13年前の2009年が大きな分岐点でした。一部信徒の経済活動が刑事事件として検挙され、それに関して当法人の地方施設等に警察の家宅捜索が入った」と彼は述べた。また、「当時の当法人会長が世間を騒がせた道義的責任を取って辞任した。」と述べた。
会長は「残念ながら、信仰が薄れることによって一度捧げた献金を返してほしいと要請してくるケースがある」と話し、また、 「こうした要請には、個別に適切に対応を重ねてきた」と話した。
会長は、現在進行中の訴訟事件は5件で、「1998年に裁判係争中が78件」よりはるかに少ないと述べた。前回の記者会見で田中会長は、山上氏の母親は1990年代後半に統一教会に入ったと述べた。
報道によると、銃撃容疑者の叔父は、母親は約1億円を教会に献金したと語っている。 ニューヨーク・タイムズ紙によると、教会の代表者たちは、山上家に対して、数年間にわたって献金したもののうち約5000万円を返済することで、2009年に合意したと話している。
一方、日本のメディアは、安倍首相暗殺後、母親が警察に「息子がこの恐ろしい事件を起こして申し訳ない」と語ったとも伝えている。
山上氏はFFWPUのメンバーではなかった。 暗殺の前に書いたとされる手紙の中で、山上氏は教会を直接攻撃することは価値がないと判断したと主張した。
捜査当局は、山上氏が「本来の敵ではない」「最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎない」と評している安倍氏を標的にした容疑者の本当の動機を解明しようとしている。
その間、教会の代表者たちは、日本のマスコミによる激しい非難が続くことを警戒していると述べている。「多くのメディアがFFWPUを犯罪集団のように報道して、視聴者の不安や恐怖、偏見を煽っている」と田中会長は水曜日に話した。
「心無いメディアのフェイクニュース、暴言が、宗教的差別を助長するヘイトスピーチとして、個人の人権を傷つけ、強いては信教の自由を侵害していることを強く訴えたいと思います。」と、彼は述べた。