沖縄のF15撤収、米共和党 「戦闘力低下」を懸念
By Mike Glenn – The Washington Times – Tuesday, November 8, 2022
沖縄県の米空軍嘉手納基地から戦闘機F15を撤収させる計画に米共和党議員らが懸念を表明している。挑発を強める北朝鮮、覇権拡大を進める中国に対し「間違ったメッセージ」を送り、地域の不安定化につながる可能性があるからだ。
米国防総省は、F15撤収は空軍の近代化計画の一環と主張。嘉手納基地に常駐配備のF15を退役させるとともに、現在欧州に配備されているステルス戦闘機F22などを巡回配備することで、沖縄での戦闘機の「継続的なプレゼンス」を確保するとしている。
ルビオ上院議員ら共和党議員4人はこの計画に反発、オースティン国防長官への1日付の書簡で「中国人民解放軍(PLA)の脅威に対抗するために空軍部隊を近代化する必要性には合意する」とする一方で、「代わりとなる常駐配備がないことを懸念する」としている。
さらに、沖縄の戦闘機のプレゼンスを縮小し、「インド太平洋に前方展開する米軍の戦闘力が実質的に低下」することになると訴えている。
書簡に署名したマコール、ギャラガー両下院議員は、次期下院で軍事委員長、軍事委人事小委員長に就任することになっている。
米軍当局者によると、交代するF22の一部はすでに、アラスカから嘉手納に到着している。
国防総省は後継機を配備し、戦闘力は維持するとしているが、元軍人らからも懸念の声が上がっている。
F15の元パイロットで、現在はミッチェル航空宇宙研究所所長のデービッド・デプトゥラ氏は、現在、ロシア軍に対抗するために欧州に配備されているF22を嘉手納に暫定的に配備することが計画されていることについて、新型の戦闘機は他の地域でも必要とされており、「航空機、パイロット、整備員らにとってストレスになる」と指摘。歴代米政権がこの30年間、空軍の予算を削減し、戦闘力を削(そ)いできたため「古く、小さく、即応能力のない空軍になった」と空軍力強化の必要性を訴えた。
さらに、F15撤収計画は、バイデン政権のインド太平洋地域への関与強化の指針とも矛盾すると批判されている。
共和党議員らは、撤収が「中国共産党だけでなく、同盟国、パートナー国にも間違ったメッセージを送ることになる」と主張、台湾併合に意欲を見せる中国に有利な情勢となる可能性に懸念を表明している。
一方で、撤収を支持する専門家もいる。
米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)の上級研究員ステイシー・ペティージョン氏は先月、F15はすでに古く、「高度で重層的な防空網を敷いている中国との戦争ではあまり役に立たない」と指摘した。