米信教の自由委員会、インドの宗教弾圧に懸念
By Mark A. Kellner – The Washington Times – Updated: 3:42 p.m. on Tuesday, November 22, 2022
米国の「国際信教の自由に関する委員会(USCIRF)」は22日、インドのナレンドラ・モディ首相の政権下で成立した宗教に関する法律や規制が「宗教的少数派に対してますます敵対的な環境を造成している」との調査結果を発表した。
海外の信教の自由の監視を任務とするUSCIRFは、13億人以上の人口を抱えるインドの宗教的少数派の状況をまとめた最新報告を発表し、インドの政策が「宗教的少数派への不寛容を可能にし、共同体の分裂を拡大し、暴力、殺人、傷害、性的暴行(および財産の破壊)につながっている」と指摘した。
この調査結果によって、バイデン政権の政治的ジレンマが強まる可能性がある。バイデン政権は、モディ政権の権利と市民的自由に関するインド国内の状況を調査しており、その一方で台頭する中国を封じ込めるための重要な同盟国としてインドとの関係を強化してきたからだ。
報告書は、モディ氏が率いるヒンズー民族主義のインド人民党(BJP)による宗教政策は、「インドを明白なヒンズー教国家として確立しようとするもので、インドの世俗的基盤に反し、インドの宗教的少数派にとって重大な危険をはらむ」と指摘。その上で宗教的権利や信仰に基づく組織を擁護する人々を含め、「その政策やイデオロギーに対する批判者を抑圧」し続けていると訴えた。
国連児童基金(ユニセフ)は、おそらく信教の自由に対する最大の危険は、国内のほとんどの州にある「改宗禁止法」であり、この法律は「ヒンズー教の信仰を保護するという名目で、ヒンズー教の民族主義者が宗教的少数派を差別することを可能にし、助長している」と指摘している。
権利擁護団体「国際キリスト教コンサーン(ICC)」の南アジアプログラムコーディネーターのリアム・リード氏は、「(インドの)裁判所が最近、国レベルの改宗禁止法を定めることを検討し始めており、今後は各州だけに任せられなくなる」との情報を入手していることを明らかにした。
リード氏は、この取り組みは「自身の使命を果たすことに専念しているキリスト教徒の希望を奪う」ことになると指摘、「彼らは誰かを強制的に改宗させようとしているわけではない。…キリスト教徒は少数派であるため、それに対抗する術はない」と述べた。
またユニセフは、カルナタカ州でイスラム教徒の女子学生がヒジャブを着用することを禁止されたことも問題になっていると指摘した。この問題をめぐって2月、宗派間の衝突が発生した。
USCIRFは米国務省にインドを「特定懸念国」に指定するよう求めており、ユニセフも同様の主張を展開している。
USCIRFは「そのような指定をすることで、この国に関する最新報告の中で議論されている状況に関する米国の懸念を補強し、インド政府に、信教の自由を侵害し、共同体の分裂を促進する政策から転換するよう促すことができる」と主張している。
宗教の自由と市民の自由に関してインドが非難されるのは、今月2回目となる。
六つの国際的人権団体が、国連人権理事会によるインドの現状に関する定期的なレビューに盛り込まれている批判に対処するようインド政府に強く求めた。レビューで表明された懸念事項には、少数民族コミュニティーの保護強化の必要性、ジェンダーに基づく暴力の増加、市民社会の自由の維持、人権擁護者の保護などが含まれている。
インド政府はこのレビューに対し、「人権の促進と保護にしっかりと取り組んでいる」と反論している。しかし、ヒューマン・ライツ・ウオッチやアムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、モディ政権が過去の改革の約束を守らなかったと指摘している。
国連のレビューに参加した約21カ国は、モディ政権に対し、宗教の自由と宗教的少数派の権利の保護を改善するよう求め、一部の国は、暴力やヘイトスピーチの増加、政府が改宗禁止法などの差別的政策を採用していることに懸念を示した。