北核実験巡り割れる観測 中国の影響力に疑念も
By Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, November 23, 2022
米情報機関は、北朝鮮の7回目の核実験が差し迫っていると警告してきたが、実験は実施されていない。北朝鮮専門家らは、隣国中国との複雑な関係が影響しているとの見方を示す一方で、核実験の準備が進んでいるという観測が間違っていた可能性も指摘されている。
バイデン政権は、北に核実験を行わせないよう中国に働き掛けてきた。だが、専門家らは、北朝鮮の金正恩総書記は、中国の影響下にあるとみられることを嫌っており、効果は期待できないという。
米情報機関は5月、2006年~17年に6回の核実験が実施された豊渓里核実験場で地下核実験の準備が進められていると警告した。
専門家は、10月下旬に実施される中国共産党党大会前の実施は、中国の反発を招くと金氏は考えていたのだろうと指摘していた。だが、党大会が終わり、習近平総書記(国家主席)がその地位を盤石なものにした後も実施されていない。
中国が水面下で圧力をかけたのか、金氏自身が決定を下したのかが、米情報・安全保障当局者らの間で議論されているが、核実験が迫っているという見方自体が間違っていたのではないかという見方も出ている。
ヘリテージ財団の上級研究員、ブルース・クリングナー氏はワシントン・タイムズに、「米国と韓国は3月以降、北が核実験の準備を完了し、実験が『差し迫っている』と表明してきた」と指摘した上で、「それは、核爆弾が設置され、放射性のガスが漏れないようにするためにトンネルが、ふさがれたことを意味する。だが、専門家らによると、核爆弾をこれほど長くトンネルの中に置いておくことはない」と、核実験の準備が進められていた可能性に否定的な見方を示した。
オバマ、トランプ両政権で北朝鮮政策の策定に当たってきたアリソン・フッカー氏は、今月初めに行われたワシントン・タイムズ財団主催のセミナーで、バイデン政権は、北への圧力を継続すべきだと主張、「言葉だけではないと思わせられなければ、北はさらに大胆になり、どこまでが大丈夫かを探ることになる」と、圧力強化の必要性を訴えた。