バイデン氏の石油備蓄放出は意図的か

(2023年6月1日)

2020年4月21日(火)、デトロイトの製油所にて貯蔵タンクが映し出される。ホワイトハウスは20日、エネルギーコストを引き下げるため、戦略的予備費から5000万バレルの石油を放出するよう命じたと発表した。(AP Photo/Paul Sancya, File)

By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, May 25, 2023

 バイデン大統領はエネルギー不足のようだが、足らないのは、80歳の自分を動かすためのエネルギーだけではない。バイデン氏は、国の緊急石油備蓄の半分近くを放出した。必要不可欠な燃料であり、補充する義務があるが、今のところ一滴も補充されていない。大量の石油を補充する気はなく、備蓄の減少は、化石燃料との闘いの中でバイデン氏が意図的に起こしたものではないかと思えてくる。

 エネルギー省は今月に入って、「戦略石油備蓄のために最大300万バレルの石油を購入する」と発表した。これは「購入しようとする」と言った方が正確だ。昨年12月に入札を募ったが、購入できなかった。これによって、石油備蓄の活用というバイデン氏の考えに少なからず疑問が投げ掛けられることになった。ガソリン代は1ガロン(約3.8リットル)当たり40セント節約できたが、政府は不測の事態に備えることができないままだ。エネルギー省のグランホルム長官は3月、「今年中にそのプロセスを開始するが、全量を補充するのは不可能だ」と認めた。

 「不可能」と断言するのは言い過ぎではないかと思うのだが、事実であることが証明されるかもしれない。バイデン氏が提示した最高1バレル72ドルは、現在の市場価格よりも低い。この低価格で多少は入手できるかもしれないが、そのような方法で備蓄を満たすことができるとは到底思えない。

 バイデン氏は、米国の生産者から消費者への石油製品の流れを阻害することを大統領職の指標としている。昼があれば夜があるように、需要と供給の法則によって、昨年、ガソリン価格は5ドルを超え、米史上最高値を記録した。

 ガソリンスタンドには、バイデン氏の画像を使ったステッカーが貼られ、「おれのせいだ!」という説明が付けられている。バイデン氏は与えられた権力を行使し、米国の戦略石油備蓄(SPR)から何百万バレルもの石油を放出するよう命じた。エネルギー情報局(EIA)によると、ルイジアナ州とテキサス州の海岸の地下にある広大な岩塩洞窟には、1975年以来、非常用の石油が蓄えられてきたが、バイデン大統領が就任した当時、6億3800万バレルだった備蓄は、現在は2億7900万バレルも不足している。

 ここから、バイデン氏の反石油計画が垣間見える。忘れてならないのは、バイデン氏が化石燃料、とりわけ「ブラックゴールド(石油)」の廃止を宣言していることだ。そのため、金を使うように、気前よく石油を放出してきた。SPRから100万バレル近くを、米国の最大の敵国である中国に売却したことは、そのことを物語っている。

 確かに、他の大統領も石油備蓄に手を出している。クリントン、ブッシュ(子)、オバマ大統領は、世界的な石油供給の混乱に対応するために石油備蓄を利用した。いずれも緊急事態に対応したものだ。

 それに対して、バイデン氏は、まず国内の石油産業の危機を宣言し、その生産能力を阻害する政策を実行することによって、国家のエネルギー混乱をつくり出した。

 もし、SPRの補充が本当に「不可能」だとしたら、それは、世界の歴史の中でも特に不安定な時期に、国をエネルギー危機に陥れようとしているバイデン大統領のおかげだ。化石燃料との闘いを考えれば、バイデン氏の石油危機は意図的なものであると考えるのが自然だ。

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