電気自動車に新たな負担もたらす猛暑
By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Friday, July 14, 2023
気候変動の抑制に資するはずの電気自動車(EV)だが、本来解決すべき課題である猛暑の影響を受けやすい。
地球が記録的な猛暑に見舞われ、熱波が数千万人の米国民を覆う中、EV所有者は車を駆動するバッテリーの長期的な損傷を避けるよう忠告を受けている。
この警告は、公共の充電スタンド不足、バッテリーに使われる重要なリチウムの中国依存、電力網の信頼性、そして高い店頭価格など、従来のガソリン車と比較したEV特有の課題を増大させるものだ。
業界は、2030年までにガソリン車の新車販売を段階的に停止し、自動車メーカーをEVの販売に専念させるというバイデン米大統領の提案の実現可能性について懸念している。
「(環境保護局が)電気自動車の規制を推進するタイミングで、今週の南西部の猛暑はEVにとって悪いニュースだ」。石油・天然ガスのロビー団体「ウェスタン・エナジー・アライアンス」は、ツイッターにこう投稿した。
業界アナリストやEVメーカーは、EVバッテリーの過熱を防ぐために、以下の方法を推奨している。
▽日なたに駐車することを避ける。
▽急速充電を避ける。
▽涼しい時間帯に充電する。
▽エアコンの使用を控えめにする。
▽充電中にエアコンを使用することで、充電電力でバッテリーを冷やす。
▽テスラはバッテリーを20~80%に保つことを推奨している。
猛暑の中での充電、特に急速充電器での充電は、長期的なバッテリー容量の低下につながる可能性があると、専門家は指摘する。
MoveEVの共同設立者でマーケティング責任者のケイト・ハリソン氏は、不便さよりメリットが上回るとしながらも、いくらか調整が必要だと述べた。同氏のEV移行会社では税制優遇措置を利用し、雇用主に対してガソリンを大量消費する車両から電気自動車に替えるようアドバイスしている。
「一般的にEVを敬遠する層がいるのは確かだ」。同氏はインタビューでこう語った。「EVはスマートフォンのようなものだ。誰も充電のことを心配していない。スマートフォンの充電は日常の一部になっている」
ハリソン氏は、ガソリン代やメンテナンス費用の節約による生涯コストの削減と税制優遇措置が、街乗りや毎日の通勤でEVを選ぶ要因になっていると指摘した。
「新しい技術なので、慣れるまで多少時間がかかる」とハリソン氏。「外気温が華氏108度(摂氏約42度)になることは通常ない。たいていの場合、家に帰ったらプラグを差し込めばいい。計画的な長距離移動の時以外は、急速充電器を使う必要は全くない」
民主党は、バイデン氏が昨年署名して法律が成立した税と気候の支出パッケージに、新型EVに対する最高7500㌦の税控除を盛り込んだ。この税控除は、今後ますます厳格化されるメーカーの国内調達要件に基づいている。
EV所有者にとって夏の最大の難関は、充電の習慣だ。急速充電を避け、特定の時間帯に充電するには計画が必要となり、長距離旅行ができなくなる可能性が高い。
寒さもまた、EVの1回の充電で走行できる距離を大幅に縮め、満充電に達するまで時間がかかるといった影響を与える。それでも、低い気温は猛暑のように長期的にバッテリーを弱めることはない。