戦闘疲れか ウクライナ支援で欧米の団結に亀裂
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, October 2, 2023
ウクライナは依然、自国の領土深くにまで侵入した世界最大の軍隊の一つをにらみつけている。しかし、長期的には同様に危険な別の敵に直面することになりそうだ。西洋の決意の弱体化だ。
ロシア高官は2日、米国と北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ「疲れ」に苦しみ始めているとの見方を示した。というのも大西洋の両側の国々の国内政治が、これまでウクライナを戦闘で生かし続けてきた安定した経済的、軍事的支援の、ゆっくりとした侵食への扉を開くことになるかもしれないからだ。クレムリンからのそのような非難は新しいものではない。プーチン大統領は、時間とともに最終的には西側の同盟国にひびが入り、徐々にウクライナを放棄するとの推測に基づいてウクライナ攻撃を行った。
1年半の紛争で、これまでのところその予測はうまくいっていない。欧州連合(EU)の外相は2日、キエフを訪れ、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、反ロシア同盟に摩擦は生じていないことをお互い確認した。
バイデン米政権はまた、同盟国の団結が揺らいでいるとか、ロシアが反ロシア連合を辛抱強く待つことできるという考えの誤りを示すのに躍起だった。
ジャンピエール大統領報道官は2日の会見で、「ウクライナの背後には非常に強い国際的連携がある」とし、「もしプーチン大統領がわれわれよりも持ちこたえられると思うなら、彼は間違っている」と語った。
ウクライナを支援する米国とその主要な同盟国によって示された強固な団結が無期限には続かないという兆候も出始めている。
米国では、トランプ前大統領を含む共和党の大統領候補指名の有力候補者が、今後のウクライナに対する米国の無制限の支援に懐疑的立場をとっている。先週末、共和党議員らはまた、政府の閉鎖を回避した土壇場の予算からウクライナ支援を除外した。
混乱は欧州でもますます明らかになっている。先週末のスロバキアの選挙では、ロベルト・フィツォ元首相と彼のスメル党が第一党に浮上した。フィツォ氏はウクライナへの軍事支援を終わらせ、ウクライナとロシアの間の即時和平交渉を支持すると語った。その姿勢は米国の一部の共和党大統領候補が取った立場を反映している。彼らは、米国は膨らむ軍事支援での際限なき戦争ではなく、平和を推進するための影響力を行使する時だと述べた。
一部のアナリストらは、これらの動きにあまり影響を受けないよう警告するとともに、ウクライナへの西側の支援は続くと考えるとしている。しかし彼らも、懸念の理由が高まっていることを認めている。何千㌔と離れた地で、何年も続く戦争にかかわりたいとは米国民も思ってはいないからだ。
オバマ政権時代、欧州とNATO政策の元国防副次官補だったジム・タウンゼント氏は「恐怖には十分な根拠があると考える」と述べ、「アフガニスタンやイラク、バルカン半島での疲弊など、いずれにしても疲弊はどんな戦争においても自然に起こるもの。とりわけ米国や民主主義が関与する場合において疲れは早い。われわれは早期の結果を望んでいる」と語った。