移民が臓器密売の餌食に 米議会で証言

(2023年12月5日)

2021年8月21日、トルコのヴァン県で、主にアフガニスタンから流入する移民を食い止め、人身売買を阻止することを目的とした作戦で、彼らを逮捕したトルコの治安部隊の光に照らされる移民の集団。(AP写真/Emrah Gurel)

By Stephen Dinan – The Washington Times – Sunday, December 3, 2023

 腎臓、肝臓、肺など、違法に売買される人体の臓器の市場は、小さいながらも拡大している。その供給源の一部は、米国を目指す移民をターゲットにした人身売買業者によって提供されているようだ。

 犯罪学の専門家でアメリカン・ミリタリー大学のジャロッド・サダルスキー准教授は11月、この問題について議会で証言、主要な移民密入国ルートで行われている臓器売買、特に子供の臓器売買について悲惨な現状について語った。

 サダルスキー氏は下院国土安全保障委員会で、更生した中米の犯罪組織のメンバーから聞いた12歳の少年の事例について語った。この少年はメキシコで誘拐され、眼球を摘出された。それに対して誰かが1万5000㌦を支払ったという。

 「この臓器密売人は、ホームレスのいる場所、シェルター、野営地、子連れの家族が滞在する麻薬密売人の拠点などに頻繁に出入りしていた。親に金を渡し、子供をそのような環境から連れ出すが、連れ出された子供は決して戻らない」

 米国での移民問題を巡る議論の多くが、国境を越えて捕まり、地域社会に解放される人々を中心に展開される一方で、サダルスキー氏らは、その過程で死亡したり、人身売買業者に誘拐されたりする人々に注目している。

 性的搾取と労働力のための人身売買は大きな市場であり、移民の急増もその要因となっているが、サダルスキー氏は、臓器売買という懸念すべき事例も発生しており、注意を払うべきだと訴えた。

 この犯罪組織の元メンバーは、「子供の臓器の市場が存在する」とサダルスキー氏に話したという。

 臓器売買市場の規模はまったくの推測にすぎない。誘拐された移民がそのうちのどれほどの割合を占めているのかとなると、把握するのはさらに難しく、性的人身売買と同様、移民が占める割合はごく一部だろう。移民から臓器が摘出されるケースは通常、性的人身売買と同様、密入国経済そのものと比較すればわずかでしかない。

 サダルスキー氏がワシントン・タイムズ紙に語ったところによると、これらの組織は移民のグループ内部に人を送り込み、誰が標的になりうるかの情報を収集する。

 まず、米国境まで到達する資金を持っていない人を探す。移民は通常、いくらかを前払いし、移動の途中や目的地でさらに借金をする。サダルスキー氏によれば、こうして資金もなく、行き詰まってしまった移民は人身売買業者に売られる。

 サダルスキー氏は電子メールで、「人身売買の目的は、性的搾取であったり、強制労働であったり、臓器狩りであったりする。密入国業者と人身売買業者は、米国につながる同じルートにいて、互いを知っている」と指摘した。

 2019年の学会誌「米生物医学科学研究ジャーナル」によると、臓器市場での腎臓の価格は5万~12万㌦、肝臓は9万9000~14万5000㌦、肺、心臓、膵臓はさらに高額で取引されている。

 また、眼球は5000~10万㌦だという。

 この犯罪組織の元メンバーがサダルスキー氏に話した1万5000㌦は妥当な数字だ。

 この証言に公聴会の場は騒然とした。

 ジョシュ・ブレッチン下院議員(共和、オクラホマ州)は「目一つが1万5000㌦。こんなことがあっていい訳がない」と述べた。

 昨年、国連は臓器狩りは「あまり知られていないが、拡大しており、世界中の人身売買の中で行われている」と指摘した。その恐ろしさは「まだ知られていない」としながらも、臓器売買は北アフリカ、南アジア、東南アジア、欧州、中米で報告されているという。

 市場を動かしているのは、増大する臓器需要と限られた供給とのミスマッチだ。さらに医学的な難しさが市場を制限している。臓器移植には熟練した医師が必要だからだ。

 国連によれば、売買される臓器は腎臓が最も多い。肝臓がそれに続くが、腎臓よりはるかに少ない。「(被害者は)極度に弱い立場に置かれた人々が多い。不法移民、難民、収容されたり、苦難や極度の貧困にあえぐ人々などだ」

 臓器狩りの一部は、以前から摘発されてきた。

 グアテマラでは今年、当局が女性の腎臓狩りに関与したとする4人の医師を逮捕した。

 この女性はグアテマラシティの病院で手術を受け、その後違和感を覚えたため、再度診察を受けた。別の医師が診察し、女性が承認していないにもかかわらず、その手術で腎臓が摘出されていたことが分かった。

 10年前にコスタリカで起きた事件では、臓器の売人が腎臓を一つ3000~6000㌦で集め、イスラエルや東欧の顧客に10万㌦もの値段で売っていた。

 サダルスキー氏によれば、この犯罪組織のメンバーは、個人的なニーズが市場を動かしていると指摘したという。

 「彼は、『買い手には死にそうな家族がいるのかもしれない。愛する人のためならいくらでも払う。オーダーメイドのようなものだ。臓器密売人は、その弱みに付け込み、それを仕事と思っている』と話した」

トランプ氏再選で日韓に緊張感

(2024年11月23日)

トランプ氏再登板は東南アジア各国に利益

(2024年11月15日)

中国国営メディア、米民主主義を批判 マルクス主義推進の一環か

(2024年11月11日)

賭けに出る北朝鮮 米国の影響力は低下-ギングリッチ元下院議長

(2024年11月06日)

イラン・ロシア、大統領選後の米社会分断を画策か

(2024年10月24日)

中国・イラン、オープンAIのツール利用しサイバー攻撃

(2024年10月21日)

輸入規制に抜け穴、安価な中国製品に健康被害懸念 若い世代が標的に

(2024年10月18日)

宗教の「中国化」推進 イエス像を習主席に差し替え命令

(2024年10月15日)

米軍、インド太平洋にドローンを大量投入へ 中国の攻撃を阻止

(2024年10月05日)

中国で残虐な動物実験 研究所に米が補助金

(2024年09月27日)
→その他のニュース