ウクライナ支援の難問
By Editorial Board – The Washington Times – Tuesday, April 2, 2024
マイク・ジョンソン下院議長は窮地に立たされている。共和党が一票差で多数派を維持する中、ロシアと戦うウクライナへの資金援助についてどのような選択をしようとも、議会が休暇明けとなる来週には、内紛が起きる可能性が高い。
ルイジアナ州選出の共和党議員であるジョンソン氏は、復活祭の3月31日に放映されたFOXニュースの司会者トレイ・ガウディ氏とのインタビューで、いくつかの考えを示した。ジョンソン氏が説明したように、この状況で同氏にできることは、一歩ずつ前進することである。
同氏は「合意を築く必要がある」と述べた。「もし共和党単独で進めたいなら、文字通りすべての議員の賛同を得ないといけない」
ジョンソン氏は、バイデン大統領による不誠実な610億㌦の提案には乗っていない。この提案はウクライナ支援を、イスラエル、台湾、南部国境へ資金提供も含めたパッケージにしたものだ。ジョンソン氏は「彼らは意図的に国境を開放した」と述べた。
その代わり、彼はいわゆる国家安全保障法案に、ロシア市民の財産を事実上取り上げてウクライナに送るREPO法案のような「重要な革新」を求めている。「ロシア人オリガルヒの差し押さえた資産を使ってウクライナ人が彼らと戦えるようになれば、実に素晴らしい」と彼は言った。
もちろん、キューバやベネズエラのような国が米国の資産を差し押さえたとき、米国は当然報復した。このような動きが近視眼的でないとは考えにくい。外国人が米国に資産を託すことを思いとどまらせることになるからだ。
もう一つの選択肢は、ウクライナの指導者ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に資金を送り、それを融資とすることだ。ジョンソン氏は、「彼らは時が来れば、我々に資金を返済することができる」と述べた。その結果がどうなるかは分かっている。
ロシアによる侵攻前は、トランスペアレンシー・インターナショナルの汚職指数でロシアとそう変わらない下位に位置付けられていた同国の役人が所有する海外口座に、すでに何百万もの資金が隠されているのか、監査がなければ知る由もない。
恐らくジョンソン氏が打ち出している最も有望な案は、ウクライナ問題を活用してバイデン大統領を説き伏せ、米国の天然ガス資源の輸出禁止を撤廃させるというものだろう。
左派はこれに応じることをためらっている。なぜなら、化石燃料のコストを上げることが、効率の悪い風車やソーラーパネルを魅力的に見せる鍵だからだ。バイデン政権のエネルギー政策は、米国に次いで世界第2位の天然ガス生産国であるロシアの思うつぼとなるだけだ。一方、エネルギーコストの削減は米国人にとって有益であり、ウラジーミル・プーチン氏の戦争を支える主要な資金源を圧迫することになる。
7万人ものウクライナ人の命を奪った紛争に資金を提供することに反対する人々は、おそらく、さらなる援助が単に軍需企業の利益のために流血を永続させることにならないという青写真を見たいのだろう。
意見が割れる共和党をまとめるために、ジョンソン氏はイスラエルやボルチモアのフランシス・スコット・キー橋の再建にウクライナ支援を結びつけるべきではない。プーチン氏のエネルギー収入を減らすことでウクライナを支援するか、米国の国境警備の強化を迫り、民主党議員を窮地に追い込むのだ。結局のところ、自国の国境をないがしろにしてまで、他国の国境に投資すべきではないのだ。
勝ち目のない状況に追い込まれた下院議長だが、不法移民やエネルギー問題を改善するような法案を作成できれば、合意を得られるかもしれない。ウクライナへの援助に強硬に反対する人々でさえ、その取引に応じるかもしれない。