民主党、2028年大統領選へ新たなアプローチ模索

AP通信のインタビューに答えるエマニュエル駐日米国大使(当時)。エマニュエル大使は、経済力を武器に世界各地で政治的変化を起こそうとする中国の試みに対抗するため、日本や志を同じくする国々と協力していると語った。(AP Photo/Eugene Hoshiko)
By Seth McLaughlin – The Washington Times – Tuesday, March 18, 2025
民主党はすでに2028年の大統領選に向けて布陣を整え始めてているが、どちらに向かうべきかは分かっていない。
トランプ大統領の大逆転勝利によって民主党はずたずたになり、誰が党を灰燼から救い出すのに最適かをめぐって党内での激しい戦いの火蓋が切って落とされた。
メアリー・ワシントン大学の政治学教授、スティーブン・ファーンズワース氏は「民主党は今後、何を目指すべきかをめぐって、大きな困難に直面する。この議論は、2028年の民主党候補指名争いまで続くかもしれない」と述べた。
候補者の中には、ホワイトハウスと融和的な論調をとる者もいれば、トランプ政権を、憲法を蹂躙し、国家を不況に導く無能で残酷な権威主義政権と批判する者もいる。
前シカゴ市長のラーム・エマニュエル氏は、クリントン、オバマ両大統領の下で経験を積んだベテラン政治家であり、昔ながらの強硬な政治手法が、勝利を求める民主党支持者に響くかどうかを試している。
ピート・ブティジェッジ前運輸長官は、4年前の選挙戦で期待以上の結果を残し、再び民主党のリーダーになることを目指している。彼は、地元ミシガン州での上院選と州知事選を見送った。
2024年民主党大統領候補のカマラ・ハリス氏は、カリフォルニア州知事選に出馬するかどうかを検討している。副大統領候補だったミネソタ州知事ティム・ウォルズ氏は、条件が整えば出馬もありうるとしている。
他の候補者には、民主党の知事がずらりと並ぶ。ケンタッキー州のアンディ・ベシア、イリノイ州のJ.D.プリツカー、メリーランド州のウェス・ムーア、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム、コロラド州のジャレド・ポリス、ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事らだ。
コネティカット州のクリストファー・マーフィー上院議員は、全米の舞台で存在感を増している。一方、ニューヨークのアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は、83歳の民主社会主義者、バーナード・サンダース上院議員(バーモント州)の地盤を引き継ぐ可能性がある。サンダース氏は、2016年と2020年の大統領候補指名争いで健闘し、出馬に否定的だった人々を驚かせた。
2028年を見据えることは、民主党にとって一時の息抜きにはなる。同党は、11月の選挙での敗北から立ち直れず、国民にどのようなメッセージを送るべきかもまとまらず、トランプ氏率いる共和党に対してもそれほど強い抵抗勢力を形成できずにいる。
ミルウォーキー郡民主党の前議長クリス・ウォルトン氏は、「意識の高い中流階級では盛んに議論がなされている。28年までいかに生き残るかではなく、28年がどのようなものになるかを考えようとしている」と述べた。
多くの人々の間で浮上しているのは、おそらくJ.D.バンス副大統領との対決だろう。民主党は、バイデン大統領の4年間の政権運営から距離を置き、大きく変わろうとしているようだ。
週末に発表されたCNNの世論調査によると、民主党の好感度は過去最低を更新し、29%だった。この調査では、民主党支持者は党指導者がトランプ氏を阻止するためにもっと努力することを望んでいることが分かった。
共和党主導の歳出計画をめぐる最近の攻防や、トランプ氏とイーロン・マスク氏による政府縮小策への懸念の高まりによって、民主党内の深い亀裂が露呈した。党幹部がバイデン氏を2024年の選挙戦から追い出し、ハリス氏を大統領候補として立てて以来、こうした亀裂は日々拡大している。
ファーンズワース氏によると、バイデン氏が民主党の大統領候補になろうとして失敗したことで、民主党候補を目指す人々が急増し、せめぎあっている。
「たしかに、大統領を目指す人は増え、前回の大統領選の開票が終わるとすぐに動きだした。大統領選にかかわることは、リスクでもある」
直近では駐日米大使を務め、シカゴ市長、下院議員、オバマ元大統領の首席補佐官を歴任したことでよく知られるエマニュエル氏は、国政の話題について率直な評価を下して再び表舞台に登場した。
エマニュエル氏はシカゴ経済クラブで、「読解力も、数学の成績も過去30年間で最低だったというのに、トイレやロッカールームの話をしている。私たちは国民を失望させた。皆怒っている。なぜだ。彼らを怒らせたのは、他でもない私たち自身だ」と述べた。
カリフォルニア州のリベラル派の代表格ニューサム氏は、最新のポッドキャストで「米国を再び偉大に(MAGA)」派の重鎮、チャーリー・カーク、スティーブン・バノン両氏を迎え、急に右にかじを切った。また、民主党の路線に反し、トランスジェンダーの選手が女性スポーツに出場するのは「非常に不公平」だと発言した。
ホイットマー氏はトランプ氏との共通点を見いだそうとしており、最近ホワイトハウスでトランプ氏と会談し、経済と関税について話し合った。
富豪のプリツカー氏は来月、全米で最初に予備選挙が行われるニューハンプシャー州を訪れ、民主党の年次資金集め集会で主賓を務める。彼は18日、ワシントンのアメリカ進歩センターでスピーチし、トランプ政権を揶揄した。
「支持してくれている有権者の信頼を取り戻したいのであれば、民主党は成果を出さなければならない。確かに、共和党が広めているでたらめは非難しなければならないが、その一方で民主党は人々の生活を向上させなければならない」