中国とエジプトが初の軍事演習

中国のJ-35戦闘機(出典:中国国防部)
By Richard S. Ehrlich – Special to The Washington Times – Tuesday, April 29, 2025
万里の長城からピラミッドまでは遠い道のりだが、中国とエジプトの空軍がナイル川上空で初めて合同軍事演習を実施したことで、中国の勢力範囲はアフリカにまで広がった。
エジプトの砂漠地帯にあるワディアブリシュ空軍基地を離陸した中国の戦闘機、空中早期警戒管制機、空中給油機、武装ヘリコプターは、エジプト空軍のミグ29戦闘機などの航空機と共に轟音を上げて上空を飛び回っている。
中国とエジプトの合同空軍演習「文明の鷲2025」は4月19日に始まり、5月上旬に終了する。この演習により、アフリカ最強の軍事力を持ち、米国の戦略的同盟国でもあるエジプトが中国との連携を深めると予想される。
中国はアフリカ東部、紅海岸のジブチに海軍基地を擁している。
エジプトは多様化を望んでおり、中国による関心と武器販売を歓迎している。
中国国防省の張暁剛報道官は先週の記者会見で、「これは両国空軍の技術的・戦術的能力を高め、中国軍とエジプト軍の実質的な協力を深めるのに役立つだろう」と述べた。
中国人民解放軍空軍の航空機はエジプト空軍の軍備とともに訓練に使用されている。
空中戦闘演習では、中国の運20U空中給油機による空中給油、航空支援、戦場捜索救助が行われ、空警500早期警戒管制機が参加した。
中国はまた、北大西洋条約機構(NATO)で「ファイアバード」として知られる中国の戦闘機「殲10」(ビガラスドラゴン)も派遣した。この戦闘機は、ドッグファイトにおける機動性、精密攻撃能力、空対空・空対地兵器を搭載できる能力が高く評価されている。テレグラムチャンネル「China3Army」を引用した報道によると、訓練では中国製の対レーダーミサイルと23ミリ機関砲も使用された。
エジプトのミグ29M/M2フルクラム多用途戦闘機をはじめとする航空機が、北京から約4500マイル(約7200キロ)、スエズ湾の西約60マイルの砂漠にある演習中の基地上空を埋め尽くした。
中国中央電視台は「(中国の)航空部隊は空輸と航空輸送を組み合わせた混合部隊編成を採用し、人員と装備の完全な展開を確保した」と報じた。
米フロリダを拠点とする軍事ウェブサイト「ウォー・ゾーン」は、「中国は今回の演習をインド空軍と海軍の主力戦闘機である比較的近代的なミグ29戦闘機に対する訓練として利用した可能性がある」と伝えた。
同サイトによると「エジプトのミグ29M/M2は航空電子機器などにおいてインド空軍とインド海軍のミグ29UPGおよびミグ29Kと多くの類似点がある」という。
中国とインドは1962年に短期間の戦争を繰り広げた末にインドが敗れ、双方がヒマラヤ山脈の領土を奪い合っている。
「米国の対外援助の大幅削減が現実的に起こり得るため、エジプトは中国を米国の寛大な援助とそれに伴う条件の代替とみなす可能性がある」とウォー・ゾーンは報じた。
ニューヨークに拠点を置くオンライン軍事サイト「ブレイキング・ディフェンス」は「歴代の米国政権が人権問題とさまざまな地政学的危機におけるエジプトの支援能力を比較検討する中、米国によるエジプトへの多額の軍事援助は近年、凍結と解除を繰り返している」と指摘している。
一方、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」のもと、エジプトのインフラ建設に熱心に取り組んでいる。
元イスラエル諜報部員でエジプト専門家のエリ・デケル中佐は、イスラエルのマアリブ紙に対し「エジプトの新首都を建設しているのは中国であり、美しさ、建築、富、そして壮大さにおいて、国際的な宝石となることを目指している」と語った。