中国が空挺部隊による台湾奇襲を計画 ロシアが協力か

(2025年8月22日)

2015年9月3日、中国の習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領は、北京の天安門から日本の第二次世界大戦敗戦70周年を記念するパレードを見学した。(AP Photo/Ng Han Guan, File)。

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, August 20, 2025

 欧州のハッカーグループが、中国がロシア政府と協力して、将来の台湾侵攻のような上陸作戦のためのロシア製の自動指揮統制システムを開発していることを示す文書を入手した。

 ハッカー組織「ブラックムーン」は7月にロシアと中国政府の内部文書を入手し、「ソード208」と呼ばれるロシアと中国の共同プロジェクトがあることを暴露した。文書は、中国人民解放軍(PLA)の空挺部隊を管理するための自動通信システムに関する作業が進められていることを明らかにしている。

 このプロジェクトの主な目的は、PLAの空挺部隊を台湾奇襲に使用する準備を整えることだ。

 その文書の一つは、国営輸出企業ロソボロネクスポルトの防衛・宇宙技術部門のディレクター「V・ジューロフ」が、軍需企業の通信制御システム研究所の「V・オドリンスキー」ディレクター代理に宛てた公式書簡だ。

 この書簡でジューロフ氏は、安全なビデオ会議でのこのプロジェクトに関する中国当局者との交渉の計画について説明している。協議には中国側当局者として、南京電子学院や中国国防省の代表者も参加している。

 Xに投稿された2つ目の文書は、国営防衛電子企業の中国電子科技集団(CETC)社長の上級顧問グー・シン氏が、ジューロフ氏に宛てた書簡だ。

 国防総省は、CETCを中国の軍需企業リストに記載している。商務省は、国家安全保障上の理由でCETCをブラックリストに載せた。

 2021年10月5日付のCETCからの2番目の書簡では、プロジェクトの準備について説明されている。

 これらの文書は19日に投稿されたもので、ブラックムーンのXアカウントで公開された一連の内部文書の一部だ。

 欧州の調査報道機関インサイダーは先週、文書が本物であることを確認し、軍事協力のさらなる詳細を明らかにした。

 ロシアから中国に送られた文書には、中国が奇襲作戦に必要な指揮統制システムのための物資と協力に430万ユーロ(510万ドル)を支払ったことが示されている。

 文書の送付は2020年から2024年にかけて行われた。

 このシステムによってPLAは、安全なデータ伝送、戦術・作戦情報の共有、任務計画、目標指定を通じて、空挺作戦を管理・調整する能力を手に入れると言われている。

 文書では、台湾侵攻へのPLAの軍事計画の予想外の側面が強調されている。空からの奇襲だ。

 国防当局者らは、PLAが取る最も可能性の高い侵攻シナリオは、部隊を民間フェリーや商用の車両運搬船で輸送する海上強襲とみている。

 PLAの作戦に空挺攻撃が追加されれば、台湾とその同盟国による台湾防衛の取り組みはさらに複雑になる可能性がある。

 PLAは、台湾や米国、地域の同盟国に対抗するため、陸海空などあらゆる軍事領域を統合した非常に困難な作戦の訓練を行っていると、国防当局者がワシントン・タイムズに明らかにした。この作戦は「敵の抵抗が予想される海域全体での上陸作戦」であり、通常戦としては特に困難とされる。

 この当局者は、PLAはそのような侵攻のための能力を間もなく持つことになると述べた。

侵攻のための取り組みについては、軍隊や戦車を上陸させる特殊なはしけを使った演習を示す写真を最近、PLAが公開した。

 ハッキングによって入手した文書によると、空挺攻撃システムは、ロシアのKShM-E指揮統制車両用、KAS-E統合通信システム用の器材とソフトウエア一式で構成される。どちらも空挺部隊向けに配備されるもので、前者は指揮官や参謀が部隊を統率するためのもの。後者は部隊間の通信を統合・管理するために使われる。

 他の文書には、野戦指揮所用の標準的な自動化モジュールや、空挺戦闘車BMD-Eの器材とソフトウエア一式の詳細が記載されている。また、人が持ち運べる器材とソフトウェア一式も提供されている。

 ブラックムーンの文書に加えて、インサイダーは中国の特殊要員向けの訓練に関する追加文書を入手したと報じた。

 訓練には、PLAの軍人60人を対象に152時間の講義、130時間のグループセッション、150時間の実技訓練が含まれている。

 カリキュラムには、ロシアの無線機R-187BE、R-188E(UKUS-E)、衛星通信システムInmarSat-BGAN Explorer

727システムの使い方を学ぶ内容も含まれている。

 プログラムに関するある文書には、「中国人民解放軍空挺部隊の基幹通信・戦術指揮自動化システムの装備運用と実戦運用訓練」と書かれている。

 文書からは、ロシアがウクライナとの戦争のためにハードウエアを売却する能力が限られている一方で、中国が軍事技術と専門知識を求めていることが分かる。

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