中国人技術者、MS通じ国防総省データにアクセスしていた

2021年7月20日、北京のマイクロソフト社屋近くに設置された監視カメラ。マイクロソフトは、アメリカの敵対勢力がサイバー空間で壊滅的な攻撃を仕掛けてくることを恐れており、中国とロシアが協力してハッキングを行い、機会があればイランや北朝鮮とも協力すると予測している。(AP Photo/Andy Wong, File)
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, August 28, 2025
ピート・ヘグセス国防長官は、中国人プログラマーがマイクロソフト社を通じて国防総省の機密データにアクセスしたと主張、セキュリティーの不備についてバイデン政権を非難した。
ヘグセス氏は27日に国防総省のウェブサイトに掲載されたビデオメッセージの中で、「デジタルエスコート」として知られる制度が先月公開され、見直しの結果中止されたことを明らかにした。
同氏はさらに 「マイクロソフトは10年近くにわたり中国人プログラマーを使用してきたが、このプログラマーは、機密性の高い(国防総省の)クラウドシステムのサポートを委託していた米企業が、リモートで管理していた」と指摘、この制度は、軍事関連事業委託の規則を順守するようつくられたものであることを強調した。
しかし、中国人技術者の使用は「国防総省を許容できないリスクにさらすことになった」とヘグセス氏は述べた。
「つまり、米国第一主義と常識について言うならば、どちらのテストにも不合格だ」とヘグセス氏は語った。
ヘグセス氏は、この疑わしい制度はバイデン政権とオバマ政権に責任があると主張した。
先月、脆弱性の見直しが開始され、国防総省のクラウドストレージのサービスに中国人が使われることはなくなったと同氏は述べた。
また、マイクロソフトにも正式な懸念の書簡が送られ、ヘグセス氏はマイクロソフトによる「背信行為」だと述べた。
中国籍のプログラマーが提出したプログラムをチェックするため、外部機関による監査が実施され、マイクロソフトによる中国人の使用については、国防総省による別の調査が進められている。
ヘグセス氏は、「これらの調査は、このデジタルエスコートという次善の策がどのような影響を与えたかを判断するのに役立つだろう。われわれの知らないところで、彼らはコードに何か仕込んでいたのだろうか。われわれはそれを突き止める」と述べた。
国防総省はまた、すべてのソフトウエア供給業者に対し、防衛ネットワークへの中国の関与を特定し、それを排除するよう命じた。
「このようなことを言わなければならないこと自体、驚きだ。…そのようなことをずっと許してきた。だからこそ、懸命に取り組んでいる」
さらにヘグセス氏は、国防総省に協力している供給業者は、利益の最大化よりも米国の国家安全保障上の利益を優先することが期待されていると述べた。
「私は、大統領と同じように、国家安全保障ネットワークの安全を確保することに全力を注いでいる。繰り返すが、これは米国第一主義であり、常識だ。そもそも、このようなことはあってはならない。だが、このようなことがあることが分かったのだから、徹底的に調査する。すべて調査し、対処する」
マイクロソフトが国防総省のコンピューターシステムの保守に中国人技術者を起用していたことは、7月15日付の独立系報道機関プロパブリカの調査報告書で初めて明らかになった。
この制度のもとで、スパイ行為や妨害行為を防止するために、セキュリティークリアランスを持つ米国人が中国人技術者の作業を監督していた。
しかし報告書によると、国防総省の職員が、中国人プログラマーを管理するために必要な技術的専門知識を持っていないことがよくあったという。
マイクロソフトは、国防総省のクラウドシステムに関して、中国国内のエンジニアリングチームの使用を終了したことを明らかにした。
マイクロソフト広報は声明で、「今後も国家安全保障パートナーと協力するなど米政府に可能な限り安全なサービスを提供していく。必要に応じて、セキュリティープロトコルを調整する」と述べた。
中国は依然、サイバースパイ活動を国家として積極的に支援しており、20年以上にわたって米政府のコンピューターネットワークを攻撃し、損害を与えてきた。
重要インフラネットワーク、軍事ネットワーク、ビジネスシステム、大学ネットワークなど、ほぼすべての政府系コンピューターネットワークが中国のサイバー攻撃を受けている。
マイクロソフトのデジタルエスコートでは機密情報を扱っていなかったが、機密性の高い非機密情報も含まれていた。
バイデン政権時代に国防総省の最高情報責任者だったジョン・シャーマン氏は、中国籍保有者の使用を知って驚き、懸念していると述べた。
「このことについて知っているべきだった」
マイクロソフトは、この取り組みでの中国人の使用について、国防総省に十分な報告をしていなかったと報じられている。
上院情報特別委員会のトム・コットン委員長(共和党、アーカンソー州)は7月、この問題に対する懸念を国防総省に書簡で伝えた。
コットン氏は「中国が国家として支援するハッキング活動は、長い間マイクロソフトのシステムを通じて米政府関係者を標的にしてきた」と指摘した。
「米政府は、中国のサイバー能力が米国にとって特に攻撃的で危険な脅威であることを認識している。それは、重要インフラ、通信ネットワーク、サプライチェーン(供給網)への侵入によってはっきりしている。国防総省は、下請業者からの脅威も含め、サプライチェーン内のあらゆる潜在的脅威に対処しなければならない」