台湾防衛費、GDPの10%に 国防次官補候補が証言

(2025年10月10日)

2024年10月10日(木)、台湾・台北の大統領府前で、国慶節の祝賀行事に参加する軍儀仗隊。(AP通信/Chiang Ying-ying)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, October 7, 2025

 台湾は防衛費を大幅に増額すべきだが、米国から台湾への武器供給は継続される見通しだと、国防総省の高官候補者が7日、上院委員会で述べた。

 インド太平洋安全保障担当国防次官補に指名されたジョン・ノ氏は、トランプ大統領が昨年提唱した「台湾の国防費を国内総生産(GDP)の10%に増やす」方針を支持すると表明した。

 ノ氏は上院軍事委員会で「台湾は自らの責務を果たし、防衛費を増額すべきだと強く確信している」と述べた。

 また、台湾が中国人民解放軍によって「存亡の危機」に直面しているとし、「そのため、台湾はGDPの10%以上を防衛費に充てるべきだ。私はこれを強く支持する」と語った。

 台湾政府当局者は、防衛費をGDP比10%に引き上げることは財政的に不可能だと表明している。政府は2025年にGDP比約2.45%を防衛費に充て、2026年には3.32%を支出する計画だ。

 トランプ氏は先月、中国との貿易・関税交渉を進め、来年の中国での習近平国家主席との首脳会談を実現させるため、台湾向け4億ドルの米国製兵器供与を保留にした。

 下院中国共産党特別委員会の元スタッフだったノ氏は、兵器供与停止についての質問に対して、指名が承認されれば、台湾への兵器供給を加速させる創造的な方法を見つけるための最善の助言と提言を提供すると述べた。

 「ただし台湾は確実に、その責務を果たし、防衛費を増額し、侵攻シナリオに最も有効な非対称戦力を獲得しなければならない」

 議会は2015年から2025年にかけて、台湾に対して280億ドル超の対外有償軍事援助を行うことを通知されてきた。

 議会は、生産の遅れや納入期間の長期化により多くの兵器・装備の納入が遅れていると不満を表明している。

 中国は台湾を自国領と主張し、米国の軍事援助を安定を損なうものとして非難している。

 米国は中台政策で、台湾が直面する脅威に応じて防衛兵器を提供することを決めている。ノ氏は、台湾は訓練、兵力動員、軍民統合、インフラ強化、サイバーセキュリティーの強化について重大な軍事改革を実施する必要があると強調した。

 「兵器供与に加え、台湾が侵攻シナリオに備えて直ちに実行可能な対策、実行すべき対策は数多くある」

 米軍司令官らによると、中国軍は2027年までに台湾を武力制圧できる準備を整えるよう命じられている。

 中国はまた、米国の同盟国フィリピンに対し、南シナ海で攻撃的な軍事活動を展開しており、これは意図せぬ軍事的エスカレーションの火種となっている。

 ノ氏は、中国が通常戦力と核戦力の大規模な増強に取り組んでおり、さらにサイバー戦や宇宙戦能力も強化していると指摘、これらはその速度と規模において前例のない脅威だと強調した。

 「これは第2次世界大戦後で最も急速かつ最大規模の軍備増強だ」

 ノ氏によると、中国の軍備増強は重大な懸念事項であり、この脅威に対処するため国防総省は先進兵器を日付変更線以西に移動させ、中国との紛争を抑止するとともに必要に応じて戦争に備えるよう取り組んでいる。

 ノ氏はまた、バイデン政権時に決定されたオーストラリア、英国との原子力潜水艦共同建造計画の見直しを進めていると述べた。トランプ政権が進めている国防計画との整合性を検証するためだ。

 軍事委員会からの質問への書面回答でノ氏は、「米国第一主義」と「力による平和」政策への完全な支持を表明した。

 「指名承認後、取り組むべき最大の課題は、中国がもたらす軍事的脅威への対応だ。中国は前例のない歴史的な軍備増強を進めている。米国は危険に直面しており、現状は決して平和とは言えない」

 中国の経済力の拡大と急速な軍備増強によって、地域の勢力バランスは根本的に変化している。

 ノ氏は同時に、南シナ海への軍事的攻勢や中国軍による台湾への威嚇が、地域諸国に重大な懸念を引き起こしていると述べた。

 この中国の軍事的脅威に対抗するため国防総省は、中国海軍に対して非対称的な脅威となる長距離精密攻撃兵器の増強を進めている。

 また、戦闘に必要な兵器やプラットフォームが紛争時に存続できるよう、軍隊の再編も進められている。

 「インド太平洋地域の抑止力強化のために最も優先して備えるべき軍事的能力は、第一列島線内での信頼性の高い拒否型防衛を可能とするものでなければならない。そのためには、先進潜水艦部隊、長射程で高い機動力を持つ精密攻撃システム、航空ミサイル防衛統合ネットワーク、困難な環境下でも効果的に運用可能な強靭な指揮統制体系が必要となる」とノ氏は述べた。

 優先的に配備されるべき兵器は新型潜水艦と長距離ミサイルだ。

 防衛力、軍事力で特に重要なのは、防衛産業の問題だ。戦う上で不可欠な弾薬、兵器を国土防衛と中国沿岸域における中国軍の活動を阻止するために必要な規模と速度で生産できない。

 「特に顕著に不足している能力があると思っている。それは、長距離精密攻撃兵器と防空用弾薬を十分な量製造する能力、紛争地域に前方展開した海軍・航空資産の維持・修理能力、自国の作戦遂行上、必要な要件と地域同盟国・パートナーが必要とする要件の両方を満たすために必要なペースで先進潜水艦やその他のハイエンドプラットフォームを生産する能力だ」とノ氏は述べた。

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