トランプ政権、先端技術開発で新指針「米国のリーダーシップを確保」

2025年5月12日(月)、ワシントンD.C.のホワイトハウス、ルーズベルトルームでドナルド・トランプ大統領によるイベントに先立ち、提案されているミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカ」のポスターが展示されている。(AP Photo/Mark Schiefelbein)
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, September 25, 2025
24日にすべての連邦政府機関に送付されたホワイトハウスの覚書によると、トランプ大統領は人工知能(AI)や量子通信などの先端技術の開発を促進するための新政策を採択した。
覚書は行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長と科学技術政策局のマイケル・クラツィオス局長が作成したもので、米国の科学技術開発を推進する力は世界最強であり、それを維持する必要があると強調している。
米国の敵対国が国家全体で科学技術政策を推進しているのに対し、米国は、連邦政府の研究開発への予算を「人工知能、量子科学、原子力、バイオテクノロジー、国家安全保障にかかわる技術、宇宙探査などの分野に的を絞った革新的な投資」に注ぐという。
政府は、産業界、学界、研究機関が採用すべき明確な優先事項を設定することを目指している。
「連邦政府は長年、(人種差別などに過敏に反応する)ウォークイデオロギーや『多様性、公平性、包括性(DEI)』プログラムに圧迫され、投資の焦点を絞ることができずにいたが、私たちは、すべての国民のために経済成長と高賃金を推進し、生活の質を高め、国家安全保障にとって重要な分野で米国のリーダーシップを確保するという重要な目的を果たすために、連邦政府の研究開発ポートフォリオを再調整している」と覚書には書かれている。
優先事項としては、重要技術や新興技術の開発促進、エネルギー分野での優位獲得、米国の安全保障の強化、健康とバイオテクノロジーの保護、宇宙での優位性の確保が挙げられている。
安全保障強化に関するセクションでは、「戦略的競争相手や敵対的脅威によってもたらされ、刻々変化する課題を緩和し、対応するための強固で柔軟な能力」に的を絞った投資を行うよう各機関に求めている。
新たに開発される軍事能力としては、攻撃的、防御的な極超音速兵器、無人・自律システム、国家安全保障を強化するための宇宙システムが含まれる。
また、技術面では、近代的で柔軟な戦略的、非戦略的核兵器とそれらの能力とともに、インフラの近代化を追求する。
「政府機関は、AIを活用した情報収集、監視、偵察のための研究開発を進め、すべての領域で意思決定と状況認識を強化できるようにする必要がある」と覚書は述べている。
宇宙システムの開発では、「紛争において決定的な優位性をもたらす」自律型自動システムなど、新たな国家安全保障能力を開発、強化し、兵員を支援することに焦点を合わせる。
宇宙やサイバー空間を含む全領域での新たな脅威に立ち向かうために、新たな軍事能力も開発される。
優先順位が高いプログラムとして、トランプ氏が提唱した国家ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」が挙げられている。
このシステムのための新技術には、情報収集と状況把握、信頼できる自律性、宇宙での機動性、指向性エネルギー兵器、先進的な材料、優れた拡張性が盛り込まれる。
「各機関はまた、ゴールデンドームのリスク低減や能力強化に向けて、研究機関と独自のリソースをどのように連携させることができるかを綿密に評価し、ゴールデンドームが提供する優れた能力を軍民で共用できるようにする必要がある」と覚書には書かれている。
科学技術政策には、月と火星への有人ミッションが含まれている。
各機関は、宇宙探査の研究開発に優先順位を付け、そこには、長時間に及ぶ移動と居住、宇宙空間での構造物の建設、現地資源の利用、宇宙気象災害予測、宇宙原子力システム、バイオテクノロジーの宇宙での応用などが盛り込まれる。
覚書は「国家安全保障のための研究開発は、基礎研究と応用研究に重点を置き、現在は実現が難しくても、将来の革新的な宇宙能力を切り開くことを目指すべきだ。たとえば、新しい観測・センシング手法、宇宙と地球近傍環境の高精度の予測、放射線帯の除去、高精度で小型の周波数標準器、高度な電力・推進システムなどが含まれる」としている。