英気象庁、不都合な気候データを削除していた

気候変動左派が猛暑を悪用イラスト:グレッグ・グロッシュ/ワシントン・タイムズ
By Editorial Board – The Washington Times – Friday, October 10, 2025
独立系メディアの時代にあって、うそをつき通すことは次第に難しくなっている。とりわけリベラル派は、地球はもうすぐ溶けてしまうという神聖な信念を守るのに苦労しているようだ。なぜなら言うことを聞かない庶民が多目的スポーツ車(SUV)を運転し、冷房を使い続けているからである。
気候変動を信奉する人々は、この信仰を守るためならうそをつくこともいとわない。技術者のレイ・サンダース氏は、英気象庁が出す予測を検証する中で、そのことに気付いた。
気象庁は、明日の天気を当てるだけでなく、50年先の気候まで大胆に予測することで知られている。「2018年の猛暑のような熱波は、気候変動によって30倍も起こりやすくなっている」と同庁は主張している。
サンダース氏は、この主張の根拠となった気象庁が気温を測定する観測地点を一つひとつ調べた。その結果、駐車場の真ん中や発電用の太陽光パネルに囲まれた所など、気温を高める要因のある場所に温度計が設置されている例が見つかった。
しかし、より深刻だったのは、全国平均気温の算出に使われた302の観測所のうち、実際には3分の1が存在していなかったという事実である。気象庁の公式サイトには、すでに何年も、あるいは何十年も前に閉鎖された103の観測所が、なお平均値算出の基礎データとして掲載されていた。
気象庁は不足分を補うため、「元の地点とよく相関する近隣の最大6地点」から「比較可能なデータ」を作成したと説明する。だがサンダース氏は、海辺の町ローストフトを例に挙げ、この手法の妥当性を疑問視した。というのも、「比較可能」とされた観測点は40㌔以上も内陸にあり、海風の影響をまったく受けない地域だったからだ。
誤りを認める代わりに、気象庁は2010年に閉鎖された建物で記録された「ローストフト」のデータをこっそり削除した。同様の処理は、ペイズリーやネアンの閉鎖済み観測所にも及んでいる。
それでもファクトチェックを名乗る組織は、サンダース氏を誤情報の流布者と非難した。彼らはそろって、気象庁とその業績を称賛する権威ある科学機関を引き合いに出した。
この科学界の権威は、政府資金によって成り立っている。研究者たちは、学術誌に論文を掲載し終身在職権を得るためにも、公的研究費を確保するためにも、体制の方針に従わざるを得ないのだ。
こうした背景があるからこそ、気象庁は疑問視された記録を、説明も謝罪もなく削除したのだろう。本来の科学は公開のもとで行われるべきであり、特定の目的を持った研究者によって入力値が調整されたブラックボックスのコンピューターモデルの中に隠されるべきものではない。
サンダース氏は、より健全なデータ検証の手本を示した。彼はケント州にある適正な観測所の公式データ(1959~2006年)を集め、平均気温をグラフ化した。その結果、数十年にわたって上下の変動はあるものの、全体的な傾向はほぼ横ばいであることが分かった。
もしこのごまかしがBBCの天気予報番組のためだけなら、誰も気にも留めないだろう。しかし気候危機をあおる動きは、いまや数十億㌦規模の産業となっている。政治家たちは、非経済的なエネルギー政策に公金を注ぐ口実として、常に恐ろしい話を必要としているのだ。
破滅を予言する気候モデルの基礎が、でっち上げられた気温データにあるのだとすれば、懐疑的になるのは当然である。だからこそ、米国人たちは「専門家」の言葉にかまわず、今日も冷房を利かせたSUVを走らせているのだ。