激化するイスラム過激派の暴力 襲撃、子供の誘拐が多発-ナイジェリア

(2025年12月29日)

2025年12月22日(月)、ナイジェリア・ミナにある政府庁舎に到着したパピリ地区の聖マリア・カトリック学校の解放された生徒たちが写真撮影に応じる。(AP通信/サンデー・アランバ撮影)

By Joseph Hammond – Special to The Washington Times – Thursday,December 25, 2025

 【英ロンドン】混乱が続くアフリカ・ナイジェリアで迎えたクリスマスは、信仰を持つ人々にとって、祝福と悲しみが交錯するものとなった。誘拐されていた子供が解放されたことに感謝の声が上がる一方、24日夜にはモスク(イスラム教礼拝所)が爆破され、5人が死亡する新たな悲劇も起きた。

 警察によると、ナイジェリア北東部マイドゥグリのモスクで起きた礼拝者を狙った攻撃は、自爆犯による可能性が高く、死者のほかに35人が負傷した。

 ナイジェリア北部では政府とイスラム過激派ボコ・ハラムやその分派である「イスラム国西アフリカ州」(ISWAP)など複数の武装組織との戦闘が止まず、不安定な情勢が続いている。

 国内各地では、キリスト教、イスラム教双方の宗教指導者が、宗派間の暴力拡大へ懸念を強めている。

 迫害を受けるキリスト教徒を支援する米アイオワ州拠点の団体「イクイッピング・ザ・パーセキューテッド(迫害される人々への支援)」の創設者、ジャド・ソール氏は、ナイジェリアの状況は特に深刻だと語る。

 ソール氏は「フラニ族民兵が集結しているという情報を得ている」と述べ、複数の目撃証言や地元教会のネットワークを通じて、その情報の裏付けが得られていることを明らかにした。

 「彼らは集結し、いつでも攻撃できる状態にある。国内各地で民兵らが動員されているのを目撃したという証言によってそれらは確認されている」

 ナイジェリアで続く流血の多くは、数多く存在するジハード(聖戦)主義テロ組織や、西アフリカ最大級の民族集団フラニ族によるものだとされている。

 ソール氏によれば、現地の情報筋は、小銃AK47で武装しオートバイに乗った多数のフラニ族の集団が、要衝に集結しているのが目撃されているという。

 著名なナイジェリア人説教師のジェームズ・ウイエ牧師は22日、ワシントン・タイムズに対し、武装したフラニ族の集団がここ数日、大量のオートバイを盗んでおり、キリスト教徒がナイジェリアの「ミドルベルト地帯」で新たな攻撃に使われるのではないかと懸念していると語った。ミドルベルトは、イスラム教徒が多数を占める北部と、キリスト教徒が多数の南部が接する地域だ。

 フラニ族はアフリカ最大級の民族集団で、大部分は他の集団と平和的に暮らしている。しかしキリスト教指導者らによると、武装フラニ民兵はイスラム過激派のボコ・ハラムや「イスラム国」(IS)とは一目で違いが分かることが多く、今年に入ってミドルベルトのキリスト教徒の農村へ組織的攻撃を強めている。

 ウイエ牧師は「私たちは、フラニ族の牧畜民が、ホリデー期間中に土地を収奪する目的でキリスト教徒への攻撃を指示していると考えている。ホリデー中に移動するキリスト教徒は、誘拐されるのではないかと恐れている。実際、今週は国内路線の一部で航空運賃が2倍以上に跳ね上がった例もある」と語った。

 この懸念は現実になった。

 北西部ニジェール州パピリにある聖マリアカトリック学校は、11月21日に集団誘拐の標的となった。オートバイに乗った武装集団が未明に学校を襲撃し、警備員を瞬時に制圧した。4歳の子供を含む約253人の生徒が森へ連れ去られ、学校職員12人も拘束された。

 ナイジェリア当局は、この襲撃はこの地域に多い強盗団によるものだとしたが、同国のカトリック関係者はテロ攻撃だと主張している。当局によると、人質は段階的に解放され、最後のグループは今月21日に解放された。

 ウイエ牧師は「子供たちがクリスマスを迎えられることは喜ばしい」と語る一方、「この事件には多くの疑問が残る。身代金が支払われた可能性が高く、それは国家との共謀を含め、さらなる疑問を生む」と述べた。

 ウイエ牧師らナイジェリア人キリスト教指導者は、こうした「誘拐」は、政府資金を武装勢力に流すための隠れみのだと考えている。

 24日のモスク攻撃は、治安悪化が信仰を問わず市民を危険にさらし続けている現実を改めて浮き彫りにした。

 ナイジェリア中部プラトー州では、クリスマスは賛美歌や礼拝で迎えるだけでなく、2023年12月の4日間で武装していない男女や子供295人が殺害された悲劇を追悼する場ともなっている。この惨事は今も、地域の人々の祝祭の在り方に影響を及ぼしている。

 カトリック信徒のライリー・ムーア米下院議員(ウェストバージニア州)は、今月初め、現地のキリスト教団体の支援を受けてナイジェリアで調査を行った。

 ムーア氏は12月10日、フェイスブックに投稿した声明で、「ベヌエ州では、家を追われ、凄惨な暴力にさらされ、現在は国内避難民キャンプで暮らす多くのキリスト教徒に会った。彼らの語った恐ろしい体験は、生涯忘れることができない。ベヌエ州だけでも60万人以上のキリスト教徒が避難民キャンプにいる。彼らは、フラニ族からのジェノサイド(大量殺害)の恐怖にさらされることなく、祖先から受け継いだ土地で暮らすべきだ」と訴えた。

 トランプ大統領は政権返り咲き後、ナイジェリアのキリスト教徒の現状に繰り返し言及し、現地の状況を「ジェノサイド」と表現してきた。

 匿名を条件にワシントン・タイムズに語ったナイジェリアのキリスト教徒らは、トランプ氏の発言によって、勇気を出してキリスト教徒の権利を訴えられるようになったと述べた。一方で、こうした発言は分断をあおるものではなく、ナイジェリア人としての強い一体感を感じる人々もいるという。

 ナイジェリア政府当局者は、キリスト教徒が信仰を理由に標的にされているという主張を繰り返し否定しており、農民と牧畜民の対立に起因するもの、犯罪的な強盗として説明されることが多い。

 「市民的自由と法の支配のための国際協会」によると、2009年以降、少なくともキリスト教徒10万人とイスラム教徒6万人が殺害されている。

 ナイジェリアのモハメド・イドリス情報相は22日、「最近の米国との外交的摩擦は、毅然とした態度と敬意ある対話を通じておおむね解決され、米国とナイジェリアのパートナーシップは強化された」と述べた。

 ナイジェリア人キリスト教徒の起業家スティーブン・アキンタヨ氏は、信仰を前面に出して投資顧問として活動しており、ナイジェリアのキリスト教徒迫害についてのトランプ氏の発言に慰めを感じたと語る。

 「イスラム教徒も多数殺されている。私たちが直面しているのは、犯罪的で、過激なイスラム主義というイデオロギーだ。つまり、過激な思想に同調しない者はイスラム教徒であっても、彼らは殺す」

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