米宇宙軍、誤認による中国との宇宙戦争勃発を懸念

米空軍が発表したこの写真では、2020年9月1日、カタールのアル・ウデイド空軍基地で、米空軍から米宇宙軍への異動の宣誓を行った後、ライアン・ヴィッカース大尉が新しい軍歴テープを誇らしげに見せるためにポーズをとっている。(スタッフ軍曹ケイラ・ホワイト/米空軍、AP通信経由、ファイル)
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, September 24, 2025
米宇宙軍の情報当局者は今月下旬、中国との宇宙空間での衝突の危険性について、大きな懸念を示した。宇宙での試験や事故などが、一気に宇宙空間に大量のデブリ(宇宙ごみ)を生む大規模な戦闘に発展し、宇宙の利用そのものが深刻な打撃を受けかねないからだ。
宇宙軍の情報担当宇宙作戦副部長のブライアン・シダリ准将は、米空軍・宇宙軍協会が主催する「航空・宇宙・サイバー会議」で、「最大の懸念の一つは、意図しないエスカレーションが宇宙空間での大規模な衝突につながる可能性があることだ」と述べた。
シダリ氏は「空域であれば見えるが、宇宙では誰もが見えるわけではない。つまり問題は、統合部隊が実施する作戦、活動、運用によって、…(敵対国から見て)エスカレーションの段階が上がることになるのか、われわれはそれにどう対処すべきなのかということだ」と述べた。
宇宙での活動は、敵対国に誤って解釈される可能性がある。
中国はすでに複数の宇宙兵器を配備しており、衛星を破壊するミサイル実験も行い、数千個に及ぶ危険なデブリを発生させた。さらに、衛星を破壊できるロボット衛星、衛星を妨害するレーザー、宇宙空間の施設を標的とするサイバー能力も保有している。
こうした兵器による試験や演習は、攻撃の前兆と誤認され、戦争を引き起こす恐れがある。
そのような危険を抑制するため、宇宙軍は「責任ある活動」、つまり中国やロシアが行ってきたような、危険なデブリを発生させる宇宙ミサイル実験を制限する枠組みづくりに取り組んでいる。電子妨害やレーザー兵器演習についても、エスカレーションの危険性に配慮して実施している。
宇宙軍のこの戦略は「競争的持続性」と呼ばれており、壊滅的なデブリや大規模被害につながるエスカレーションを回避し、日常生活に不可欠な衛星の利用を守ることを目的としている。
シダリ氏は、これは特に中国に関して大きな課題だと述べた。「中国人はわれわれの言うことを信じない。彼らは『見たもの』しか信じない。だからこそ、何が許容範囲かを理解させるために、実際の作戦行動を見せなければならない」と語った。
「それによってエスカレーションの管理が可能になる。話ができなければ、相手の意図を推測するしかなくなるが、それは最悪の事態だ」とシダリ氏は述べた。
宇宙軍はその危険性を認識しており、演習や訓練の際には常に、エスカレーションを管理し、「双方が互いの責任ある行動を把握できる」ように配慮しているという。
宇宙軍の情報担当宇宙作戦副部長室の最上級下士官顧問ロン・ラーチ上級曹長も、現在の「管理されていない競争」は極めて危険だと述べた。
ラーチ氏によると、冷戦時代と同様、現在も中国との間で宇宙空間におけるリスクの高い競争が続いており、それが衛星を破壊する「熱戦」に発展すれば、全地球測位システム(GPS)からウーバーの配車に至るまで、あらゆる分野に影響を及ぼす可能性があるという。
「われわれは非常にリスクの高い世界に生きている。最後に実効性のある枠組み、条約が締結されたのは1967年の宇宙条約だが、その内容は『(大量破壊兵器を)軌道上に配備しない』という程度のものだ」
現在では、核・通常を問わず多様な宇宙兵器の脅威が存在しており、中国は複数種類の衛星破壊ミサイル、指向性エネルギー兵器、ロボット衛星を保有している。
宇宙軍は、そうした脅威に対抗するため、「責任ある宇宙防衛作戦キャンペーン」によって戦いに備えている。これは現在の宇宙空間でのリーダーシップの空白を埋める試みでもある。
「米軍としては、宇宙が誰にとっても利用可能であることを望んでいる。長期的安定こそが重要であり、われわれは宇宙で戦争をしたいとは思っていない。だが、やらねばならない状況になれば、喜んでそこへ行く」
元海軍士官で北京駐在武官を務めたJ・マイケル・ダーム氏は、過去に中国人民解放軍の将校と対話した経験から、「理解の障壁は単なる言語の問題以上のものだった」と述べている。
ダーム氏は「会話がすれ違い、本来シグナルとして発したものが完全に誤解されてしまうことがよくあった」と指摘、「緊張緩和のシグナルを送ったつもりでも、彼らはそれを挑発と受け取ったこともあった」と対話の難しさを強調した。