敵国へのエネルギー依存に向かうバイデン氏
By THE WASHINGTON TIMES – – Monday, July 19, 2021
ANALYSIS/OPINION:つらい経験が人を強くすると言われる。
その一方で、つらい経験の中には、あなたを死の病に追い込むものもある。
バイデン大統領は、その高い地位を生かして経済競争を促進するとともに、米経済の主要なエネルギー源から手を引こうとしている。「気候変動」の名の下で取り組んでいるバイデン氏の化石燃料との闘いで、米国が強くなることはない。敵対国にエネルギーを依存させることは、国の経済的未来を不安定にするだけだ。
バイデン氏は先週、ホワイトハウスの慣習に従った派手なセレモニーと共に、大統領令「米経済の競争促進」に署名した。ここで大統領はこう述べた。「米国の資本主義の核心は単純明快だ。すなわち、オープンで公正な競争にある――ということは、事業で勝利したければ、外に出て、腕を磨き、より良い価格とサービスを提供し、新しいアイデアや製品を開発しなければならないということだ」。この話に異論はないだろう。
同時に、バイデン氏の下の民主党は、2035年までに全米で炭素をまったく排出しない電力供給を義務付けるインフラ支出(投資)法案制定を求める運動をしている。米エネルギー情報局(EIA)によると、バイデン氏らは、2020年に国のエネルギー供給量の79%を占めている石油、天然ガス、石炭について、エネルギー生産部門から全化石燃料産業を締め出そうと考えている。それを「オープンで公正な競争」が行う。
さらに、バイデン氏は、キーストーンXLパイプラインの建設を中止し、連邦政府所有地での石油・ガスの新規掘削許可を取り消すなど、国内のエネルギー生産の将来を圧迫する一方で、高騰した米国のガソリン価格を下げるために、海外での生産拡大を事実上推進している。
ガロン当たりの平均価格は3.16㌦に達している――これは、12カ月前より44%高く、7年間で最高値である。石油生産高を若干増やす方向で14日に決着した石油輸出国機構(OPEC)加盟国の交渉の結果は、ホワイトハウスには安堵(あんど)を持って迎えられたに違いない。もっとも、EIAが、年内の1バレル当たりの原油価格は、72㌦ほどで推移すると予測しているが、ガソリンの店頭価格は高騰しており、当分の間、ドライバー泣かせが続くと思われる。
また、国務省はまるでタイミングを合わせたように、韓国と日本で凍結されていたイランの石油収入に対する経済制裁を解除した。その行為は、トランプ大統領がイランの非核化を強制的に実行させるために狙い打ちしたイランの国際石油貿易を、イランが再開できるようにするための一歩前進となる。
バイデン政権の最も重要なモットーは「より良い復興を」だ。競争を盛り上げることは「長期的成長を確実にする」ための鍵だと彼は言う。無論、それは正しいが、疑問も生じる。バイデン氏はどの国をより良く復興させるつもりなのだろうか。産油国のサウジアラビアなのか、ロシアなのか、それとも、イランなのだろうか。
バイデン氏の燃料をめぐるでたらめは、アメリカ合衆国を敵対国への依存の道に後戻りさせるものである。まさに、反米そのものである。