バイデンはクレムリンに強硬策を、米共和党
By Joseph Clark and Guy Taylor – The Washington Times – Thursday, January 13, 2022
共和党の議員たちは、ロシアとの緊張緩和を目指す一連の重要な交渉に当たって、バイデン大統領に対ロ強硬姿勢を求めている。
上下両院の軍事および外交委員会の共和党幹部は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が米国および欧州の同盟国に対して攻撃的態度を強めるなかで、バイデン政権が採っている対モスクワ戦略は「宥和政策にすぎない」と指摘した。
「バイデン政権はロシアに一つも意味のある制裁を課しておらず、プーチンの仲間が運営する悪質な地政学的プロジェクトとも言うべき「ノルド・ストリーム2」の完成に途を開いてきた」、議員たちは月曜日に発出された声明でこう指摘し、次のように続けた。
「その間、プーチン大統領はクリミア半島を不法占領し、ドンバスの分離主義者に保護と支援を提供し、キエフに対するサイバー攻撃を続け、ヨーロッパ全域で暗殺キャンペーンを展開し、さらに「移民」と「エネルギー」を兵器化して、東ヨーロッパの不安定をかき立て続けてきた。 」
この声明に署名したのは、上院では外交・軍事委員会のそれぞれの幹部であるジェームズ・E・リッシュ上院議員(アイダホ州)と、ジェームズ・M・インホーフ上院議員(オクラホマ州)だ。下院でも外交・軍事委員会のそれぞれの共和党トップであるマイケル・T・マコール議員(テキサス州)と、マイク・ロジャース議員(アラバマ州)が署名した。
ロシアはウクライナとの国境に約10万人の軍隊を集結させており、2014年のクリミア半島併合に似た侵略の構えを示し、それを懸念する米国と欧州の同盟国との交渉を引き出した。
交渉に先立って先月ロシア外務省は、米国と北大西洋条約機構(NATO)に対する要求リストとも言うべき協定案を公表した。
それに盛り込まれたロシアの要求は、米国とNATOが、ウクライナのNATO加盟を拒否すること、東欧でのNATO側の軍事態勢を引き下げることだ。また旧ソビエト連邦の加盟国で、まだNATOに加盟していない国々に、米国は軍事基地を建設しないよう要求している。いずれの要求も米国にとっては話にならないものだ。
ここに来て水曜日の時点で、プーチン大統領がウクライナ侵攻に本気だ、という懸念が高まった。それは米国とNATOの高官がロシア側と話し合った際に、米国と連携しながら民主主義を発展させているウクライナとの国境に沿って、ロシアが増強している軍隊の撤回について、モスクワから確約を引き出せなかったからだ。
バイデン政権とNATOの高官たちは、重大な交渉にあたり、建設的な姿勢を示そうと努めた。だが観測者たちは、今週ブリュッセルとウィーンで開かれる会議をクレムリンは利用して、軍事作戦のための時間稼ぎをするだけではないか、と警告した。
米国務省のウェンディ・R・シャーマン副長官は記者団に対し、米国とNATO当局者はウクライナとの緊張緩和のためにロシアが提示した主要な安保関連の要求を拒否した一方で、モスクワとのさらなる交渉の可能性を残したと語った。
ブリュッセルで開かれた特別会合は、NATO諸国とロシアとの衝突を防ぐために設置された「NATO・ロシア評議会」を2年ぶりに開いた形だ。シャーマン副長官はこれを「外交力の目覚ましい表れだ」と形容して見せた。
合衆国議会の共和党と一部の民主党議員は、今回の緊張が沸騰する前から、バイデン政権の対ロシア姿勢に批判的だった。
夏には両党の議員たちが、ロシア・ドイツ間の天然ガス海底パイプライン「ノルド・ストリーム2」にトランプ政権が課した制裁を放棄する、という政府決定を非難した。議員たちは同パイプラインによって、ロシアがヨーロッパのエネルギー市場に支配力を強めるだろうと指摘した。
上院では今週、この件に関する制裁を再度課すため、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州、共和党)が提案した法案が採決される運びだ。
バイデン政権は同法案を押し戻すべく、上院の民主党議員に反対票を投じるよう働きかけている。対ロシア制裁を課すことは、現在進行している交渉における米側の政治的梃子を失わせる、と主張した。
この投票次第では、民主党政権に逆らわない形でロシアに強硬姿勢をとり続けようとする民主党議員たちを難しい立場に置くことになろう。
水曜日に上院外交委員会のロバート・メネンデス委員長(ニュージャージー州、民主党)は、ロシアがウクライナ侵攻をした場合に、対ロシア制裁を課す趣旨の法案を提出した。
「我々は直ちにノルド・ストリーム2に関する制裁を課して、さらにウクライナに対して対艦兵器システムをふくむ重要な追加的支援を即刻提供し、NATOの東側正面を強化する必要がある」、共和党議員たちは声明で述べた。
「本来、数ヶ月も前にするべき措置を、改めてバイデン政権に求めたい。抑止力は力に由来する。ウクライナの主権を護持するため、その防衛と国益のために具体的な援助を提供するべきだ」、議員たちはこう付け加えている。 「大統領閣下、我々はあなたが決意を固めて、ロシアが侵略行動を採る前に、東ヨーロッパの同盟・提携諸国を支援するよう強く訴える。ロシアが行動を起こしてからでは遅いのだ。」