ロシア ウクライナ支援阻止狙い偽情報
By Guy Taylor – The Washington Times – Tuesday, June 14, 2022
「米兵器がシリア闇市場に」
ウクライナ侵攻をめぐるロシアによる偽情報が続いている。ロシア高官が今月に入り、米国がウクライナに供与した対空ミサイルがシリアの闇市場で売られていると発言した。西側からのウクライナ支援を阻止するためのロシアの取り組みの一環だ。
ウィーン軍事安全保障・軍縮交渉のロシア代表コンスタンチン・ガブリロフ氏は9日、ロシアメディアに対し、「これらの兵器が闇市場に現れ、中東、特に(シリアの)イドリブへと運ばれている証拠がある」と主張、「テロに使用される可能性がある」と西側を非難した。
米国務省高官はこの報道についてワシントン・タイムズに、「非常に深刻に」受け止めているとした上で、「兵器が確実に移転されるよう、ウクライナ政府側と密接に連携している」と強調。「ロシアの偽情報はこれまでもよく知られている。侵攻から目を逸(そ)らそうとしている」と述べた。
米国など北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、大量の武器支援を行っており、すでに少なくとも対戦車砲ジャベリン5000発、対空砲スティンガー1400発を供与している。
米中央情報局(CIA)の元モスクワ支局長ダニエル・ホフマン氏は、「ロシアはこの発言をきっかけに、影響下にある第三者にシリアへ兵器が流れているという『証拠』を作らせるはずだ」と指摘。米政府当局者も、ロシアが捕獲した兵器を利用してこの偽情報を補強する可能性があると警告している。
中国も、これに加担する動きを見せている。
ロシア国営タス通信がガブリロフ氏の発言を報じた日、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、「米とNATOが供与した兵器がネットの闇市場に流れ、テロリストの手に渡っている」と報じた。
中国とロシアが似た偽情報を流すことはよくあり、相乗効果を狙ったものとみられている。4月には、米情報機関がシリアで民兵を訓練しウクライナに送り込んでいるというロシアの偽情報を中国が報じた。
米国務省グローバル・エンゲージメント・センター(GEC)の当局者らは、この数カ月間、同様のパターンが繰り返されていると指摘、警戒を求めている。